原題: Maiko: Dancing Child
監督: オセ・スペンハイム・ドリブネス
出演: 西野麻衣子 、西野衣津栄
鑑賞劇場: ユーロスペース
2015 / ノルウェー
公式サイトはこちら。
トーキョーノーザンライツフェスティバル2016『Maiko ふたたびの白鳥』ページはこちら。
15歳でイギリスの名門ロイヤルバレエスクールに留学し、19歳でノルウェー国立バレエ団に入団、そして25歳で同バレエ団初の東洋人のプリンシバルとなった西野麻衣子。私生活ではオペラハウスの芸術監督を務めるノルウェー人男性ニコライと結婚し、30代を迎えて出産とキャリアの間で揺れていた矢先、妊娠したことがわかる。(映画.comより)
わーまた下書きのまんまになってた(苦笑)
今年のノーザンライツでは3本観てきました。
どうしても人気作品とかはチケット取れなくて(別に構わないんですが)、あとは夜遅い作品、
平日しかいけないかなーな作品などなど。結果3本でしたけどそれでもいいかな。
ノルウェーのバレエ団で活躍する日本人プリンシバル、それだけでも十分興味深いですが、
この、麻衣子さんの瞳の中に見える強靭さですね。これに惹かれてしまいまして、日本公開間近ではあったのですが観てみようかなと思い立ちました。
人生に起こることの、可能性があること全てにチャレンジしたい。それは誰しもが思うことだけど、でも女性だってそうしてみたいと願ったっていい。しかしそれを叶えている人は一体どれだけいるだろう。
麻衣子さんはそれを叶えている数少ない日本人女性の1人である。理由はいくつもあるけど、彼女の場合はバレエという特別な才能の芽があり、幸いにしてそれを育ててくれる環境に恵まれたことは大きい。
夢に向かって自分で自分の才能を育てたいと思っても、時にどうしようもない場合もある。その壁にぶち当たりながらも必死に夢に向かって進むには、周りのサポートが欠かせない。家族、職場、そして社会的な支援があってこその女性の社会復帰なので、ここな日本とノルウェーの意識の大きな差を見せつけられてしまう。国立のバレエ団員には年金が支給されるなんて!絶対日本で活動するよりも、ノルウェーで働いた方がお得じゃないですか・・・。ラッキーだなあ、いいなー!とも思うのですが、日本でその環境を求めることは困難でしょう。意識改革への取り組みがされることはない日本において、一度社会からドロップアウトした女性の完全なる社会での活躍はまず絶対実現することはないだろうと私は考えているので、比べてもしょうがない。それはまあ置いておいて。
本作の主役、西野麻衣子さんにとっての、仕事と出産の両立。産後どのように身体が変化するか予測がつかない中、プリマの座を追われるかもしれない不安との闘いや、家族への愛情、様々な事から湧き上がる感情とのせめぎ合いを抱えながら再開するトレーニングのハードさ。体力の限界までやり尽くす原動力はやはり家族への愛なのだろう。やさしく包み込みながら支えてくれるご主人も素晴らしい。
そして麻衣子さんに深くインスピレーションを与えた、お母様の表情も必見。仕事に家庭に、両立を抱える女性たちにとっては永遠の悩みでもある出産からの復帰とその後の子育ては、問題ばかりが出てきてしまう。そこを明るく大胆に乗り越えてきたお母様の生き方には、女性たちへのヒントになる事がたくさん詰まっている。主婦、母の顔から、勝負を賭ける人間への表情の変化には、それまでの厳しさをかいくぐってきた人にしか現れないものがあった。社会が、家族が自分の働き方を解ってくれない、そう思う女性たちも多いことだろうが、それでも道は開けてくるのかもしれないということを、あの表情から読み取ることができる。そしてその血が確実に麻衣子さんの中にも流れていることを、彼女のゆるぎない言葉から感じることができる。
★★★☆ 3.9/5点
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます