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【EU Film Days 2013】『ドイツの空から』 (2012) / ドイツ

2013-06-04 | 洋画(た行)


原題: Deutschland von oben (Germany from above)
監督: ペトラ・ヘーファー/フレディー・レッケンハウス

EU Film Days 2013 公式サイトはこちら。

この日からようやく、EU Film Days 2013に参加です。
昨年は4作品しか行けなかったので、今年はもっと観たいなと思いつつも、場所は去年よりも微妙にアクセスが不便になったイタリア文化会館。。
駅からの時間も考えて、到着するまでの時間を計算しないといけないですが、それでも綺麗なホールでの上映はなかなか嬉しいことです。フィルセンよりも見やすい構造ですし。


【EU Film Days 2013】『ドイツの空から』 ページはこちら。

日本初公開作品を、初回上映で観ることの貴重さを味わいました。開映が夜なので結構お客さん入ってます。
映画の説明や予告動画からして、「世界の旅」みたいな美しい情景の紹介動画にも似たもの?と予想していましたが、それとはまた一味違う。

ドイツの12カ月を空撮を中心に追って行く映像。その中にはドイツ各所の四季折々の風景はもちろんのこと、そこに動物の生態、工業、商業、文化、イベント、歴史、街の様子、人々の様子など、様々な事象を織り込んである。
ベースとなっているのはドイツの空から撮影した風景の美しさ。1月から12月までの1年間を彩る風景は臨場感たっぷりで、こんな景色が見てみたいと本気で思わせてしまう力がある。見た目の綺麗さだけではなく、気温や天気のことを語ることによって、自然界の厳しい部分も感じさせてくれる。
自然ももちろんなのだが、それと対比する形で美しさを出しているのが空中から見たドイツの各都市の風景。計画的に作られた数々の都市の眺めは一見に値する。都市自体、道路から含めてきちんと作られ、その建築物、特に普通の家に関しては恐らく条例でもあるのだろうか。地方都市に関しては家の屋根の色や建物の高さ、外観等が一定の基準に沿って統一されており、それが上空からの眺めを美しくさせている要因なのだろう。主要都市や大都市ではこの限りではないものの、それでも例えば日本のように無秩序に雑多な建物が並ぶことは少なさそうだ。街自体を「公共物」とする考え方が徹底している故だろう。

その街の中にある歴史部分にもスポットを当てているところも面白い。第2次大戦では敗戦国だったドイツは当然空爆も受けており、その被害などを記した映像は貴重な記録ともなっている。第2次大戦中の被害の部分が大きく知れ渡ることはあまりないのだろう。そこからも計画的に都市を復興させていく試みがあったからこそ、奇抜だったりごちゃごちゃした街になることなく、空爆の面影を感じさせない現在になっている。この計画性は国民性なのかもしれない。日本のように、所有地内なら何をしても構わない的な発想は通さないという強い信念があるからこその都市計画である。

固い話だけではなくて、ドイツの人々の暮らしもちゃんと伝えられていて、例えば夏は海水浴を楽しんだり、オクトーバーフェストを堪能する人々の様子も描かれている。これらも基本的には空撮によるもので、細かい映像も撮れているのでわかりやすい。カメラをヘリコプターからだけではなくて、他の空中にも設定しているからこそできる映像だろう。本場のオクトーバーフェスト、きっと楽しいんだろうな、行きたい・・・ などと単純に考えてしまう。そうかと思えば都市からスカイダイビングに挑戦する人達なども面白く、秩序を守るべき所は守る、弾ける時は思いっきり弾けるドイツ人の姿がそこにある。

近年、自然を描いた劇場公開映画によくあるようなコマーシャリズムも一切なく、淡々とドイツを空から撮っているだけなのに、それでもドイツの魅力をたっぷりと伝えることに成功している。これは映画の構成力もさることながら、ドイツという国土や自然、国民性が魅力的だからなのだろう。そして製作者たちもドイツをとことん愛しているからこそ、単なるカレンダーのような映画ではなく、ドイツに引き込まれたくなるように仕上げることができるのだ。


★★★★ 4/5点






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