六畳間の中心で涙を流す NEW

ルーキー選手の、プロ入り一年目を振り返る

2021年ルーキー回顧13 元 謙太(中京大中京3年)遊撃手

2021-12-31 09:18:00 | 状況説明
元 謙太(オリックス2位)遊撃 (中京大中京出身)

蔵の入団前評価:☆☆☆(上位指名級)

まだまだ荒っぽいものの、イケイケのマインドは、何処か二松学舎大付属時代の 鈴木誠也(広島)を彷彿とさせるものを持っていました。果たして、彼の一年目とはどういったものだったのでしょうか?

高卒ルーキーということもあり、一軍出場はなし。2軍では、111試合(334打数) 4本 30点 2盗(3失) 打率.138厘 といった内容に。まず、111試合・334打数と充分な経験を無事積めたことは評価できます。

高卒ルーキーの打率の目安である、2割から遠く離れた.138厘 というのは、想像以上に厳しかったのも伺えます。そんな中でも、4本塁打・30打点を残せたのは、首脳陣が我慢強く使い続けたからでしょう。

盗塁に関しては、走る勇気はあるけれど、技術や走力がどうなのかイマイチわからなかっただけに、現状こんな気はします。守備は、サードで63試合(守備率.908厘)、ショートでは50試合(守備率.905厘)と、安定感という意味ではかなり低かったことが伺えます。そのためフェニックスリーグでは、センターを守っていました。

打撃をもう少し詳しく見てみると、334打数で119三振。三振比率は、35.6%とかなり高いです。それだけ振ったバットが、イメージどおりには当たらなかったということ。一軍で対応するためには、20%以内が一つ目安になります。強打者でも、やはり25%以内には持って行きたいところ。彼の場合は、来年30%を割るぐらいになって欲しいところです。

四死球は33個で、四死球は 9.9% と、目安である10%とにわずかに届かず。ただし、ボール自体はかなり見えていた可能性があります。そのため当たらないのは、技術的な問題が大きいということ。慣れや技術の成長次第で、まだまだ良くなる可能性は高いのではないのでしょうか。

とにかく、高校時代は荒っぽいだけでなく投手もやっていたこともあり、走攻守素材は良いけれど、相当プロとのレベルの差があったということ。そのことを自覚し、早くから目の色を変えて取り組めるかどうかではないでしょうか。こと一年目に関しては、想像以上に荒かった印象ですが、多くの経験を積めたことを今は評価したいところです。

蔵の印象:△ (この経験を前向きに捉えて欲しい)

 

2021年ルーキー回顧12 平内 龍太(亜細亜大)投手

2021-12-29 10:33:00 | 状況説明
平内 龍太(巨人1位)投手 (亜細亜大出身)

蔵の入団前評価:☆☆☆(上位指名級)

元々150キロ級のボールは投げていたのですが、最終学年になりさらにワンランク球威・球速が上がって150キロ台中盤を連発するまでにパワーアップ。本当の制球力がないので危うくは感じられましたが、スプリットがフォーク並に落ちる決め手もあり、高く評価してみました。ただし、1位というのは、ちょっと荷が重いかなと思える部分もありました。

そんな平内選手は、一軍では 3試合(5回) 0勝1敗 防 14.40 と、即戦力とは程遠い成績でした。38試合 5勝4敗6S 防 3.13 とそれなりの内容ではありました。

もう少し数字を二軍の成績を詳しくみてみると、60回1/3イニングで被安打は47本。被安打率は、77.9% と基準である80%以下であり、総合力では一軍に定着しても不思議ではない数字です。

四死球は25個で、四死球率は 41.4% とやや高いです。いつも言うように、四死球率の目安は投球回数の1/3(33.3%)以下であり、アバウトなことがわかります。それでも三振が多くとれる選手であれば、40%以内ぐらいが二軍の許容範囲かと思います。

その三振なのですが、56個奪えており、1イニングあたり 0.93個 と、リリーフ投手の基準である0.9個以上を奪えていました。被安打の少なさ・三振の多さからも、ボールの力だけで言えば、一軍に定着できてもおかしくはありません。

ただし、この数字の割には、防御率が 3.13 と物足りない。打たれてはいけない場面で失点するのとアバウトな制球力が、一軍に定着できなかった要因ではないかと。この辺を、2年目に改善できれば、来年は一軍定着も望めると思われます。

ただこの投手、リリーフ向きに見えて実は先発の方が合っているのではないかとみています。来季どうやった起用法になるかわかりませんが、そういった機会も与えてほしいかなと思う部分も。ドラフト1位の大学生で即戦力になれなかったのは残念ですが、悲観するほど悪いシーズンではなかったのではないのでしょうか。2年目の飛躍に、期待をもたせます。

蔵の印象:△ (2年目の飛躍が見えてきた)



2021年ルーキー回顧11 井上 朋也(花咲徳栄)三塁手

2021-12-27 11:36:00 | 状況説明
井上 朋也(ソフトバンク1位)三塁 (花咲徳栄出身)

蔵の入団前評価:☆☆ (中位指名級)

2学年上の 野村 佑希(日ハム)に比べると、野村よりも対応力はあるけれど、長打力は野村のほうがあるといった、中距離打者の傾向を強く感じました。そのため、1位での指名には正直驚いた記憶があります。

そんな井上選手の一年目は、二軍では 45試合(133打数) 3本 11点 0盗(0失)打率.246厘 といった成績でした。ちなみに三軍では、70試合(242打数) 8本 41点 4盗 打率.256厘 という成績でした。

まず、二軍・三軍合わせて 375打数 を経験できたことは大きかったかと。高卒ルーキーの打率の目安は、2割。それを、大卒ルーキーの目安である 打率2割5分に迫る 打率.246厘を二軍で残せた対応力は合格点かと。二軍でのホームランは3本でしたが、3軍では8本を放ち、長打力の片鱗も魅せました。

ちなみに二軍での守備は、一塁として14試合(守備率1.000厘)、三塁としては22試合で(守備率.936厘)は、少し低いです。サードの選手の守備率の目安は、.960厘以上あれば信頼のおける選手だと言えます。三軍でも失策は11個あったので、まだ守備に関してはもうワンランク・ツーランク引き上げて、安定感を身につけて欲しい感じはします。

それでも数字を見る限りは、高卒ルーキーとしては順調。それなりに、チームでも存在感を示せたのではないのでしょうか。もう一年ぐらいファームでじっくり鍛えられると、再来年あたりは一軍も見えてくるかもしれませんね。

蔵の印象:◯ (順調な一年目だったのでは)



2021年ルーキー回顧10  高橋 宏斗(中京大中京)投手

2021-12-25 09:52:00 | 状況説明
高橋 宏斗(中日1位)投手 (中京大中京出身)

蔵の入団前評価:☆☆☆☆☆(1位指名級)

外角一杯に決まった時の真っすぐの爽快感と、ここぞの場面での底から湧き上がるような馬力。変化球やマウンドさばきも良く、歴代の高校生投手の良さを継承している投手として、最高評価をした選手でした。

そんな高橋投手の一年目は、高卒ルーキーということで一軍登板無し。二軍では、14試合に登板し、0勝5敗 防 7.01 と、正直ここまで通用しないとは全くの想定外でした。少しファームで彼の投げているボールなどを観ていても、そこまで悲観する内容ではないように見えたのですが ・・・ 。

二軍成績をもう少し詳しく観てみると、34回2/3イニングを投げて、被安打は51本、投球回数を遥かに上回ります。すなわち、真っ直ぐが来るなと待ち構えられており、その球がくれば打ち損じられることなく、プロの打者に捉えられていたのではないかと。

四死球に関しては12個で、四死球率は 34.6% と、極端に悪くありません。確かに基準は投球回数の1/3(33.3%)以下ではありますが、四死球で自滅するような危うさではなかったはずです。決まって欲しいときにストライクが取れなかったり、ストライクゾーンの枠の中で甘くなって打たれてしまった、そんなアバウトさが残ったということでしょうか?

奪三振も23個に留まり、1イニングあたり 0.66個 と平凡な数字に留まります。被安打や四死球が多く出塁を許しても、三振が多く取れる選手は意外に失点を少なく抑えることができます。それが、現時点での彼ではできなかったということでしょう。

全てのファクターで、基準を下回っており、防御率が7点台だったのも致し方なかったということだと思います。一番の改善の近道は、ボール自体の走りは一定レベルあると思われるので、三振が取れるようになることで、投球内容も変わってくるのではないかと感じられます。

高校時代の寸評(上記の氏名をクリックすると当時の寸評が無料で読めます)をみると、制球の危うさと、合わされやすいフォームであることも把握していました。それでも、彼の馬力でアマ時代は圧倒できたのですが、プロではそれができなかったことが伺えます。

体格的にそれほど肉体余力や上積みが望めるかは微妙なだけに、これからは技術的な部分で改善してゆかないと、同じことを繰り返す恐れがあります。ことルーキーイヤーとしては、残念な一年であったとは思います。しかし、ある程度の経験を実戦で積めたことは、一定の評価をしても良いのではないかと。あとは、この経験をいかに来年以降に活かせるかではないのでしょうか。

蔵の印象:△ (成績は残念だが経験は積めた)



2021年ルーキー9 鈴木 昭汰(法政大)投手

2021-12-23 09:17:00 | 状況説明
鈴木 昭汰(ロッテ1位)投手 (法政大出身)

蔵の入団前評価:☆☆☆ (上位指名級)

常総学院時代は、典型的な高校野球の好投手といった感じでした。法大に進んでからは、かなり球速が上がり、プロを意識できる存在に。そのぶん制球力が悪くなり荒っぽくなったのですが、変化球で三振がとれたり、フォームは実戦的な投手として一定の評価しました。ただし、1位でゆくほどの選手かだったのかには、疑問は持っていました。

そんな鈴木投手の一年目は、一軍で 23試合 1勝4敗1H 防 4.08 と平凡な成績に終わります。二軍では、3試合 2勝1敗 防 3.46 と、こちらも登板数が少ない可も不可もなしといった成績ですが、個人的にはこんなものなのかなといった気はしています。

もう少し一軍の成績を細かく観てみると、79回1/3イニングで78安打。被安打率は、98.3% とほぼ投球回数と同じぐらいにヒットを打たれています。一軍の被安打率の目安は、90%以下ぐらいですから、やはり総合力で、やや一軍では苦しかったことが伺えます。

四死球は30個で、四死球率は 37.8% 。ややアバウトなところはありますが、一軍であれば40%以内ぐらいであれば、そこまで問題ではありません。元々がまとまった好投手タイプだっただけに、そういった部分で大学時代よりは丁寧な投球を心がけていたのかもしれません。

三振は76個で、1イニングあたりの三振比率は 0.96個 と、投球回数に近い数でリリーフの基準である0.9個も充分にマークできていました。

四死球率や奪三振率は一軍の基準を満たし、若干被安打率が高いぐらいで、かなりファクターに近い内容でした。その割に、防御率 4.08 は、やや高い気がします。というのは、多少ヒットで出塁を許しても、四死球はそれほど多くないので、ランナーを背負っても三振で得点に結び付けないで済むのが一般的だからです。そういった意味では、踏ん張りが効かなかったのかもしれません。

信頼できるリリーフというのは、基本的に防御率2点台以内。そのへんが、4点台ということもあり、そこまで大事な場面を任される信頼はなく、ドラ1選手ではあるものの23試合の起用に留まった要因なのかもしれません。

特に可もなく不可もなしといった1年目の成績なのですが、こと1位指名としては物足りない成績です。特に、今後爆発的な成長をといったタイプではないだけに、もう少しやれないと今後尻窄みになる危険性があります。プロの環境に慣れた2年目には、なんとか爪痕を残して欲しいものです。

蔵の印象:△ (ドラ1としては物足りない)