六畳間の中心で涙を流す NEW

ルーキー選手の、プロ入り一年目を振り返る

2010年大学選手権 三日目 神宮球場レポート

2010-06-10 12:54:00 | 状況説明
第一試合 東海大 VS 同志社大

東海大は、緒戦で先発したエース・菅野 智之(東海大 3年)投手が先発。今日は、まだ疲れが抜けないのか、少し肘が下がって出てきているのが気になるところ。それでも5回まで無安打に抑えているところはさすが。

一方の同志社大は、エースの藤井 貴之(同志社大 4年)投手ではなく、平川 貴大(上宮太子出身 3年)投手が投げ、5回まで一失点。平川は、135~140キロのストレートに加え、チェンジアップ・フォークなどの縦の変化が厄介投手。それほど凄みがないが、目が馴れるまでは少してこづるタイプか。

しかし試合は、6回以降・平田を捉えた東海大打線。菅野が7回ノーヒットノーランを達成。東海大は、3試合連続でコールド勝ち。同志社で明るい話題は、2番手で投げた山添 良太(松阪出身 3年)右腕が、MAX142キロと鋭いスライダーで存在感を示したことだろうか。

第二試合 中央学院大 VS 慶応大

中央学院大の先発は、連投で榊原(3年)左腕。慶応は、山形 晃平(土佐出身 1年)右腕。山形は、中背の正当派右腕で、バランスの取れたフォームから、常時130キロ台後半~勝負どころでは140キロ台中盤を叩き出す強弱を付けたピッチング。更に変化球には、カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォーク・カットボールと実に多彩。春のリーグ戦でも6試合に登板するなど、将来の慶応を支えて行く有望株。

ただ高校時代よりも、確実に成長を遂げているものの、すでに多くの引き出しを使っての投球だけに、今後どのぐらい秘めたるものがあるかは微妙。1年秋~2年生ぐらいまでがピークで、それ以後はと言うパターンに陥らないことを祈りたい。慶応は、その後1年生の金子周作(彦根東出身)や田中宏典(佐賀西出身 4年)とつないで、完封リレー。

中央学院大は、昨日も少し投げた林 哲也(松商学園出身 2年)投手が、均整の取れたフォームから、MAX144キロの速球を投げ込むなど、将来的に明るい話題を提供。最後には、今日もエース秋吉を投入するも、6-0で破れた。ここまで中央学院大は善戦してきたが、試合を重ねるごとに疲弊。選手層の充実が、全国上位への条件となりそうだ。


2010年大学選手権 二日目 神宮球場レポート

2010-06-09 11:47:00 | 状況説明
第一試合 大阪体育大 VS 東海大

白鴎大を破って2回戦に勝ち上がってきた東海大の先発は、高山 亮太(東海大相模出身 4年)左腕でしたが、球速も120キロ台ぐらいで、こんなに球の遅い選手だったけ?と首を捻りたくなる内容でした。それでも大体大の打線をのらりくらいと抑え込みます。

今日も東海大は、ドラフト候補の伊志嶺翔大(4年)外野手や坂口真規(智弁和歌山出身 2年)の活躍などで、2試合連続のコールド勝ち。

大阪体育大は、村田透(巨人)の3年時に、この大学選手権で日本一になったチームです。その大体大の先発は、松葉 貴大(2年)左腕と言う投手。正当派のサウスポーで、球速は130~MAX137キロと並でしたが、球速以表示以上にス~と伸びてくる球筋が良い投手でした。ただ残念だったのは、変化球がスライダーぐらいで、持ち球や武器になる球が少なく、中盤戦まで強打・東海大をなんとか抑えるも、相手の目が馴れられると捕まります。もう少し攻めのバリエーションを増やすことが、今後の課題でしょうか。まだ2年生なので、更なる進化を期待します。

2番手で登板した宮川 将(2年)は、大体大波商時代に、大阪NO.1右腕として注目された投手です。バランスの取れたフォームから、球威と球速を兼ね備えたボリューム感のあるストレートに、スライダーとのコンビネーションが光ります。

ただ今日は、雨で手が滑ったり、足場が踏ん張れないのが気になったのか?持ち味の地に足の着いた投球ができませんでした。球速は130キロ台後半~MAX145キロを記録。ただそれほどスケールで圧倒するタイプではないので、今後は如何に全国で通用するだけの、実戦力を高めて行けるのか?ただ素材としては、プロ入りした村田透以上になれる可能性を秘めているので、今後の更なる進化に期待したいところ。

ただドラフト的な観点で言えば、それほど目新しい選手がいる試合ではありませんでした。せっかく大量リードをしたのだから、東海大では高山以外の投手が観たかった気が致します。試合は、中盤以降、東海大の大量リードで緊張感に欠けるワンサイドゲームになってしまったのが、非常に残念でした。

第二試合 同志社大 VS 東日本国際大

同志社大の先発は、ドラフト候補の藤井 貴之(同志社大 4年)投手。かなり捻りを入れた癖のあるフォームながら、序盤こそ130キロキロ台後半~140キロ台中盤ぐらいだったのですが、3回ぐらいからエンジンがかかり、150キロを連発するほど。ただこの投手のストレートは、いわゆる空振りを誘うような綺麗な回転ではなく、手元でナチュラルして曲がるような癖球で、かなり汚い回転のストレート。そのため空振りよりもバットの芯を外す打ちにくい球質。

ただその代わりに、スライダーのキレが良いので、この球で空振りを誘うことができる。他にもチェンジアップだかフォークのような縦の変化もあり、荒れ球ながら的を絞らせない投球が持ち味。馬力がある選手で、上位指名とは言わないまでも、中位指名ぐらいは期待できるだけのものがありそう。昨年よりも、かなりパワーアップしているのではないのだろうか。

一方の東日本国際大の先発は、昨日2回で降板した浜崎 浩大(2年)投手。こちらも少し立ち投げ気味のフォームから、ストレートはコンスタンに140~MAX144キロを記録。やや球威に欠ける面はあるが、カーブ・フォーク・縦スラ?だか110キロ台で小さく沈む球もあり変化球は多彩。この多彩なコンビネーションで相手を翻弄するイヤラシイタイプの好投手。こちらも藤井とはタイプが違うが、相手の的を絞らせない投球が身上。それなりのピッチングはできる選手だけに、来年までにもう少しボールにボリューム感が出てくると、面白い存在になり得るだろう。

野手では、同志社大の松原 匡志(4年)中堅手が、2安打を放ち力のあるところを示す。天理時代から定評のあるミートセンスは確かで、低めの球を上手く捉えて左中間に。ただ三拍子の総合力が求められる好打者タイプで、走力などのポテンシャルが並なだけにプロとなると物足りない。

また捕手の小林 誠司(3年)捕手は、怪我でシーズンの大半を棒に振ってようやく復帰。ディフェンス力は図抜けているが、まだ打撃が本調子ではないのかも。ただ打撃での立て直しに成功すれば、来年の捕手の目玉になる存在だと改めて強く実感させられる選手。今や学生球界NO.1の捕手と言っても過言ではないだろう。

第三試合 中央学院大 VS 金沢学院大

中央学院大は、130キロ前後の速球の技巧派・榊原(3年)と金沢学院大は、サイドから130キロ弱のストレートで両サイドを突く護摩堂(2年)投手の先発で、序盤戦は投手戦。しかし中盤戦以降は、両チーム投手をつなぎ、前日に登板した秋吉(中央学院大 4年)投手と荒木(金沢学院大 2年)の両エースへ託す形に。

秋吉 亮(都立足立新田出身 4年)投手は、ゆったりとしたフォームのサイドハンドで、雰囲気的にはルーキーの加賀 繁(ベイスターズ)投手に似たテイストだが、あまり速く見えないその球速は140キロ台~MAX148キロと球速が想像以上に出るのが特徴。その上ナチュラルシュートするような癖球に、低めにスライダー・シンカーを集めて来る、ねちっこい投球が身上だ。加賀よりも繊細さはないものの、球速・癖がある分、大学からプロへ行ける可能性を秘めた素材だろう。プロ側が、彼をどう評価するのかは興味深い。短いイニングならば、プロも打ちあぐねる可能性も否定できない。

荒木は、オーソドックスな右上手投手で、それでいて2年生ながら140キロ台を越えて来る球速の持ち主。凄みはないが、今後更に成長が見込めるならば、最終学年では北陸の逸材として候補に名前があがってきそうな選手だった。現状、球速ほどの有り難みのある速球ではないだけに、もう少し存在感のあるストレートに磨きをかけたい。試合の方は、接戦の末、中央学院大が勝利した。チーム一丸で勝利を目指す、中央学院大ナインの意識の高さには感服する。

第四試合 慶応大 VS 桐蔭横浜大

この試合は、連投となった 東明(桐蔭横浜大 3年)と福谷(慶応大 2年)の投げ合いとなった好試合。

本音で言えば、東明以外に人材が豊富な桐蔭横浜大の他の投手も観たかった。ただオープン戦やリーグ戦でも観戦してきるので、彼等が全国の舞台で、どんな投球をするのかが興味の対象だったのだが、惜しくも登板なく敗戦。

慶応の福谷は、愛知で横須賀高校時代に、中川大志(桜丘出身-楽天2位)との対戦を観に行った懐かしい選手。

福谷の高校時代は、気持ちが勝った中背の力投派といった感じで、非常に荒々しい選手でした。かなり大学に入り身体ができたのか、無理しなくてもコンスタントに145キロ前後投げられることで、投球に余裕ができてきたようです。この桐蔭横浜戦でも、9回を投げて4安打、11奪三振を奪い、失点は1と言う、地に足の着いた投球もできつつあります。リーグ戦でも実績を重ね、今や六大学を代表する投手に成長しつつありますね。個人的には、思い出深い選手なので、その成長が垣間見られて嬉しい限りです。

今年の慶応には、あえて日本一を目背して欲しいと思いますし、その力は充分あると思います。


2010年大学選手権 初日 神宮球場レポート

2010-06-08 10:54:00 | 状況説明
今日から、二つのブログを利用して、大学選手権の簡単な感想などを書き込んでみたいと思います。まず、こちらのブログでは、神宮球場の模様から。ただこの神宮球場の模様を録画したHDDは、自分の部屋の機械ではないので、後日ゆっくり観られたら、またレポートしたいと思います(ここに内容補充をする形にするかも)

第一試合 東海大 VS 白鴎大

早々援護してもらって、精神的にも余裕を持てた来年の目玉・菅野 智之(東海大 3年)投手が、気持ち良く投げ込む展開を作れました。 ストレートもコンスタントに140キロ台後半~MAX154キロ。それでも、けして力一杯投げていると言う感じがしなくても、これだけの球を平均して投げられる投手は、アマ広しといえども数えるほどしかおりません。

変化球も、カーブ・スライダー・フォーク・カットボールと多彩で、その球が中々切れて、上手くコンビネーションに馴染んでおります。精神的に追い込まれている状況でも、ジャパンの守護神を務めたようにピンチで動じるタイプでもありません。今までリリーフ向きかなと思ってみていたのですが、適度にペース配分も刻めますし、何より追い込んでから、散々クビを振って自ら選んだ球種がカーブ。こういった芸当は、150キロ台の速球を投げ込む投手が、中々できることではありません。憎々しいまでのその投球で、先発での可能性も強く印象づけられた試合となりました。時々甘い球もあるのですが、まあ学生相手ではエンジンが違うのかな?と言った圧巻の投球でした。

野手では、リーグ戦でもちょっと今シーズンは違うなと言う印象を感じさせてくれていた伊志嶺 翔大(4年)中堅手が、今日もヒットを連発。痛めていた足も回復したのか、盗塁も決めておりました。今シーズンは、格段にスイングが強くなった印象はないのですが、甘い球を逃さない「鋭さ」に磨きがかかり、右に左へとヒットを連発いたします。アマを代表する韋駄天だけに、荻野(ロッテ)の活躍もあり、こういったタイプもアピール次第では、指名の可能性が高まりそうです。

白鴎大は、ペースが掴めないまま東海大の力技の前に大量リードを許すなど、苦しい展開。しかしコールド直前の7回裏に得点し、意地を見せました。強力打線が上手く機能する前に、菅野をペースに乗せてしまったのは残念。ただ4年生の中島 ユンの好守ぶりは健在だったのは、嬉しかったです。3年生中心に強力打線を形成しているので、ぜひ秋こそは、東海大にリベンジを期待してみたいところ。この試合は、菅野の投球につきる試合でした。

第二試合 福岡大 VS 東日本国際大

この試合模様は、まだはっきり観られていないんだけど、3回から登板した 中條 健祐(東日本国際大 2年)投手と言うのが、常時145キロ前後~MAX148キロで、素晴らしい投球をしました。全く知らない選手でしたが、昨年といい今年といい、東日本国際大は、全国レベルの強豪となりつつあります。福岡大は、バランスの良い齋藤から、球威に欠ける140キロ右腕・田中につなぐ継投。試合の方は、延長戦の末、東日本国際大が勝利した。

第三試合 大阪学院大 VS 金沢学院大

注目のドラフト候補・小林 寛(大阪学院大 4年)投手は、想像以上に良い投手ですね。ストレートにもボリューム感がありますし、スライダーやフォークなどの変化球に、制球力・マウンド捌きなどもよさげです。まだ1イニング程度しか観ておりませんが、ドラフト指名は有力な選手との印象を受けました。ただこのあと、随分と失点を重ねながらも完投したようです。その理由がなんなのか?しっかり見極めてみたいと思います。

金沢学院大の荒木投手も、それほど球に力はなさそうですが、初回から140キロ台を記録しておりますね。この選手も失点を重ねながら、最後まで投げきりました。

第四試合 中央学院大 VS 九州共立大

いきなり、リリーフで登場した大瀬良 大地(九州共立大 1年)投手が、151キロを記録しておりました。確かにさすがの力はありそうです。

一方の中央学院大の好投手・秋吉 亮(4年)投手が、完投したようですね。サイドから130キロ台後半~140キロ台中盤のストレートとスライダーを低めに集めて、ねちっこい投球で翻弄していたようです。こういう投手はプロとなると判断が難しいのですが、もう少しじっくり観て、どんなことをしているのか考察してから、判断をくだしたいところです。



神宮球場の模様は、本当にサラッとしか観られておりません。しかしドームにも劣らず、良い選手が沢山いたようですね。今年の大会は、前評判が高い選手だけでなく、これまで名前があがっていない選手でも、思わずびっくりさせられるような選手が少なくありません。初日からこの調子ですから、もう何人かそんな選手がいるのではないかと期待せずにはいられません。明日も期待して、同じような感じでレポートをさせて頂きたいと思います(明日は、こちらの神宮レポートがメインとなると思います)。