中村 恭平(22歳・広島2位)投手 (富士大出身)
蔵の入団前評価:未確認
大学3年生の大学選手権で、突然リリーフで出てきて140キロ台後半のストレートを連発して、話題になった左腕です。ただ本当に恵まれた体格から、ストレートを投げ込むだけといった素材型で、最終学年で何処まで実戦的な投球を身につけられるのかが課題でした。ただ観戦予定も立てていたのですが、結局最後まで確認できずに終わりました。ただプロ入り後の春のオープン戦で観たときは、大学3年生の時とあまり変わっていないなぁという印象を受けました。
一年目は、一軍では
3試合 0勝2敗 防御率 4.05 という成績を残しています。これは、戦力としての起用というよりも、将来に向けての経験などの意味合いが強かったのだと思います。ファームでは、
16試合 3勝10敗0S 防御率 3.92 という成績。もう少し詳しく観てみると、80回1/3イニングを投げて、被安打は88とイニング数を上回っています。大学選手権の時は、ほとんどまともな変化球がありませんでした。ただ春のオープン戦で観た時は、使えるかは別にして、変化球はもう少し投げていたように思えます。ただ如何せんレベルが低いのか、ストレート以外の球に課題があるのか明らかです。
四死球は36個で、四死球率は 44.8% とやはり基準であるイニングの1/3以下に比べると、かなり高めです。特に一軍での登板の時は、13回1/3イニングで7個の四死球を出しており50%を越え、本当の制球力の無さを露呈しました。奪三振も33個と、1イニングあたり0.41個と、極めて決めて不足なのがわかります。確かにストレートは速かったのですが、それほど空振りを取れるとか、前に飛ばないという絶対的な球ではありませんでした。それに加え変化球のレベルが低かったので、ある意味この数字は納得です。このファームの成績からも、しっかり土台を築いたから一軍で投げたということではなく、今後のモチベーション維持や経験のために、一軍で投げさせた、あるいは首脳陣が実戦での投球を観てみたかったということなのでしょう。この内容をみると、私が観戦できなかった大学4年時の投球も、それほど課題を克服した形で、プロ入りしたわけではなかったように思えます。
問題は、一年目の経験を元に2年目に活かせるのか?ということ。少なくても秋季キャンプや春のキャンプで劇的に成長していなければ、今年もファームで基礎技術の構築に勤しむ年になるのだと思います。ただ球速は速いので、キャンプでは打者がスピードに馴れてくるまでは期待が高まると思います。これだけの素材型を、カープがいかに育成して行くのか、今後も気になるところです。ただ一軍での登板も果たし、ファームでも経験を積めたことを考慮すると、一応及第点は与えられるルーキーイヤーだったのかなと思います。
蔵の印象:△ (内容はともかく、経験を積めたことは大きい)