六畳間の中心で涙を流す NEW

ルーキー選手の、プロ入り一年目を振り返る

ルーキー回顧69! 磯村 嘉孝(中京大中京)捕手

2012-01-31 11:14:00 | 状況説明

磯村 嘉孝(19歳・広島5位)捕手 (中京大中京出身)

蔵の入団前評価: 

この選手は、捕手としての資質や潜在能力はあったのですが、何か貪欲さに欠け、自分の資質を伸ばして行こうという意欲が感じられないところが気になっていました。しかし選抜~夏の大会までに、打撃での成長も魅せ、そういった受身の姿勢にも少しずつ変化を見せたことで、最終的に指名リストに載せることを決意致しました。

一年目は、一軍での出場は無し。ファームでは、63試合 1本 8打点 打率.192厘 という成績。ただ63試合の出場ですが、捕手として出場していたのは19試合のみ。勿論これに、三軍扱いでアマとの交流戦だとか、もう少し試合には出ていたのでしょう。しかし思いのほか、実戦経験は積めていないのが気になります。打率は、高卒ルーキーの目安である2割越えはならず。ただ捕手というポジション柄、ディフェンス面などに意識が行き、打率が上がらなかったのも致し方なかったかと打撃については思います。まあ代打などの出場にせよ、63試合の試合経験をできたのは良かったかと思います。だいたい想像通りの数字であり、高卒ルーキーの捕手としては、及第点を与えられる内容ではなかったのでしょうか。

蔵の印象:△ (もう少し捕手としての試合経験を積んで欲しかった)


ルーキー回顧68! 金丸 将也(東海理化)投手

2012-01-30 10:40:00 | 状況説明

金丸 将也(24歳・広島4位)投手(東海理化出身)

蔵の入団前評価:☆☆

大卒の社会人出身の選手でも未完成であったが、「細かさ・繊細さに欠け、本当の意味での制球力・投球術がないだけに、プロで即戦力?となると不安な部分が残るのだが、要所で踏ん張れる精神力・投球練習時でも最後まで力を抜かないで投球することからも、しっかり気を抜かないで努力できるタイプなのだろう。」ということで、指名リストに残すことにした、速球派左腕。

1年目は、一軍での登板は無し。ファームでも10試合 1勝1敗0S 防御率 8.22 と散々たる結果に終わった。もう少し詳しく見てみると、実は7回2/3イニングで、被安打は4。被安打率はサンプルこそ少ないが、52.6%とあまり打たれていないことに気づく。ようは、球の威力ではファームレベルでも、かなり力で抑え込めてたようだ。しかしながらイニング数を上回る10個の四死球で、まともにピッチングができていなかったことがわかる。奪三振は、イニング数とほぼ同じ7個を奪っていることからも、決め手がなかったわけではない。ようは、ピッチングを組み立てるだけの制球力がなかった。それに尽きるのではないのだろうか。

逆に言えば、制球力さえ改善されればと思える部分はあるのだが、制球力を重視すれば当然球の威力も落ちるわけで、そうすると悪循環にハマる可能性も高い。しかし今のようなピッチングができないことを今年も繰り返していては、首元も寒くなる。今年は、なんとしても、四死球を減らす方向で、活路を見出すしかないだろう。ただこういった素材型左腕を多く扱ってきた広島だけに、今後の育成が期待される。ただ常識的にみて、大卒の社会人出の選手が、この成績ではまずいだろう。まさか、ここまでファームで数字が残せないとは私自身想像できなかった。

蔵の印象:☓ (この成績が続くようだと・・・)


ルーキー回顧67! 岩見 優輝(大阪ガス)投手

2012-01-29 17:15:00 | 状況説明

岩見 優輝(24歳・広島3位)投手 (大阪ガス出身)

蔵の入団前評価:☆☆

亜細亜大学時代には、すでにプロ志望届けを提出すれば、中位ぐらいで獲られるだけの力があった投手。熊本工~亜細亜大時代は、好投手から140キロ台の速球派にパワーアップ。亜大~大阪ガスでは、打ちにくさを追求。ただそれでも、アバウトな制球力・決め手となる変化球の修得は出来ていなかった。それだけにプロ入り後も、何処まで即戦力としてやれるのかは疑問だった。

1年目は、一軍で 8試合 1勝0敗0S 防御率は 5.11 。まあ実績を残したというよりは、経験の意味での起用だったのだろう。ファームでは、20試合 0勝2敗3S 防御率 1.65 と、ファームレベルならば通用することを証明してみせた。もう少し詳しく見てみると、27回1/3イニングで、被安打は20。被安打率は、73.3と基準である70%は超えているが、それほど悪い数字ではない。ただ四死球は65.9%と、基準であるイニングの1/3以下に比べると、倍近い数字になる。このアバウトな制球力が、一軍で通用しない大きな要因になっているのでは? 奪三振は26個で、1イニングあたり0.95個と、ほぼイニング数と同等の割合で三振が奪えている。少なくても社会人時代に課題であった、決め手不足という課題は、この数字を見るかぎり克服できている。

そう考えると、残る課題は制球力。これを改善させられるのかが、最大のポイント。入団一年目から、ファームでは確かな数字を残しただけに、今季はキャンプから開幕一軍を期待されるはず。その中でいかに結果を残せるのか、本当の真価が問われることになる。

蔵の印象:△ (今季こそ、一軍定着を果たしたい)



ルーキー回顧66! 中村 恭平(富士大)投手

2012-01-28 13:46:00 | 状況説明

中村 恭平(22歳・広島2位)投手 (富士大出身)

蔵の入団前評価:未確認

大学3年生の大学選手権で、突然リリーフで出てきて140キロ台後半のストレートを連発して、話題になった左腕です。ただ本当に恵まれた体格から、ストレートを投げ込むだけといった素材型で、最終学年で何処まで実戦的な投球を身につけられるのかが課題でした。ただ観戦予定も立てていたのですが、結局最後まで確認できずに終わりました。ただプロ入り後の春のオープン戦で観たときは、大学3年生の時とあまり変わっていないなぁという印象を受けました。

一年目は、一軍では 3試合 0勝2敗 防御率 4.05 という成績を残しています。これは、戦力としての起用というよりも、将来に向けての経験などの意味合いが強かったのだと思います。ファームでは、16試合 3勝10敗0S 防御率 3.92 という成績。もう少し詳しく観てみると、80回1/3イニングを投げて、被安打は88とイニング数を上回っています。大学選手権の時は、ほとんどまともな変化球がありませんでした。ただ春のオープン戦で観た時は、使えるかは別にして、変化球はもう少し投げていたように思えます。ただ如何せんレベルが低いのか、ストレート以外の球に課題があるのか明らかです。

四死球は36個で、四死球率は 44.8% とやはり基準であるイニングの1/3以下に比べると、かなり高めです。特に一軍での登板の時は、13回1/3イニングで7個の四死球を出しており50%を越え、本当の制球力の無さを露呈しました。奪三振も33個と、1イニングあたり0.41個と、極めて決めて不足なのがわかります。確かにストレートは速かったのですが、それほど空振りを取れるとか、前に飛ばないという絶対的な球ではありませんでした。それに加え変化球のレベルが低かったので、ある意味この数字は納得です。このファームの成績からも、しっかり土台を築いたから一軍で投げたということではなく、今後のモチベーション維持や経験のために、一軍で投げさせた、あるいは首脳陣が実戦での投球を観てみたかったということなのでしょう。この内容をみると、私が観戦できなかった大学4年時の投球も、それほど課題を克服した形で、プロ入りしたわけではなかったように思えます。

問題は、一年目の経験を元に2年目に活かせるのか?ということ。少なくても秋季キャンプや春のキャンプで劇的に成長していなければ、今年もファームで基礎技術の構築に勤しむ年になるのだと思います。ただ球速は速いので、キャンプでは打者がスピードに馴れてくるまでは期待が高まると思います。これだけの素材型を、カープがいかに育成して行くのか、今後も気になるところです。ただ一軍での登板も果たし、ファームでも経験を積めたことを考慮すると、一応及第点は与えられるルーキーイヤーだったのかなと思います。

蔵の印象:△ (内容はともかく、経験を積めたことは大きい)


ルーキー回顧65! 福井 優也(早稲田大)投手

2012-01-27 10:21:00 | 状況説明

福井 優也(23歳・広島1位)投手 (早稲田大出身)

蔵の入団前評価:☆☆ 一軍貢献ポイント 7ポイント

チームメイトの斎藤 佑樹が伸び悩み、大石 達也が不安定な投球を繰り返す中、最も最終学年で伸びたのが、この福井 優也 でした。特に最終学年では、単調なコンビネーションの解消や高めに浮く欠点が改善されつつあり、そういった努力できる姿勢を見せてくれたことは大きかった。ただその反面、雑な一面があり勝負どころでの甘さが解消しきれなかったところが、評価をイマイチ上げきれなかった理由でもありました。

それでも一年目から、一軍で 27試合 8勝10敗0S 防御率 4.12 という成績を残したことは立派です。やたら横浜戦での勝ちが多く、横浜戦では見下ろして投げ、とても打てる気配もないほどの投球を魅せることもしばしば。しかし他球団との対戦では、まだまだそうはゆかなかったようです。もう少し詳しく見てみると、146回1/3イニングを投げて、被安打は133。被安打率は91%に上り、まだまだその球の威力以上に、「開き」の早いフォームは、打者からボールが見やすかったことが伺えます。また四死球は76個で、四死球率は51.9%。やはり細かい制球力がなく、余計な四死球が傷口を悪化させているのがわかります。奪三振は120個で、1イニングあたり0.82個と、先発投手としては基準の0.8個以上を奪えており、結構三振が多いことがわかります。決め手となる、ボールの威力があることは、数字の上からも間違いないでしょう。

彼の場合、精神的にムラが激しく投球が大きく左右されることも多く、逆に一度自信を掴んでしまえば、横浜戦のように圧倒的な力を魅せます。そういった投球を、何処の球団にも安定して発揮できるようになれば、今季の二桁勝利も期待できるのではないのでしょうか。逆にプレッシャーをかければ自滅するといった脆さもあるわけで、研究されるであろう2年目の今年は、より厳しくなることも予想されます。

ただルーキーながら、前田健太やバリントンに続く8勝をマークでき、一年間ローテーションを守ったことは、大いに評価できると思います。これからはますます、広島投手陣を支えるような存在になって行くことが期待されます。あとは、どれだけ創意工夫して、自分の投球を膨らませて行けるのか、今後の彼の真価に託されます。

蔵の印象:◎(ローテーションを年間守ったことは高く評価)