茶道と仕事力~千利休とスティーブ・ジョブズに魅せられて

茶の湯の心と茶道の基本、出会った言葉やその日の出来事から、気付いた事をつづります

畳の縁(へり)のはなし

2010-02-12 23:16:26 | お茶のはなし
なぜ、畳の縁は踏んではいけないの? そんな質問に答えます

  茶道は安土桃山時代に千利休によって文化として大成されましたが、日本古来の常識的な礼儀の立ち居振る舞いが基本になっています。お辞儀にしても同様で、日本古来の常識を起源とした立ち居振る舞いは、剣道や柔道などの武道にも共通するものです。
 ”畳の縁は踏まない”は昔からの躾でしょうか。失礼のないように畳の縁を出来るだけ踏まないように気をつけて。 自分の歩幅が自然になじんでくれば、畳の縁を踏むことなく歩けます。

 裏千家では茶室に入る時は右足から、出る時は左足からです。半畳を2歩で歩くことになります。inとoutが交錯するところは三歩使うと右左の順を入れ替えることが出来ます。 客として茶室に入る時は、膝前に扇子を置いて席中の様子をうかがい、右足から立ち上がって歩いて席入りします。(広間の場合、小間の時はまた別の機会に) 最初に床の間の前に座って掛け軸、花、花入れ、を拝見します。そこから左足から立って下がってから、右足からお手前をする場所に進みすわり、炉の炭などを拝見します。それから左足から立って下がってから、右足で進んで自分の席に座ります。文字にするとかなりややこしいですが、茶室に対してinの動作か、 outの動作か、in・outを入れ替える場所かで足さばきが決定されます。

 では茶室での畳の縁に意味はあるのかというと、茶席では亭主のフィールドと客人のフィールドの境界線の意味があります。お菓子はどこに出されるかというと亭主のフィールドである畳の縁外(へりそと)ですね。それを懐紙にとるのは、客人のフィールドの縁内(へりうち)でします。お茶を頂戴する時は、縁内に置きお隣に「お先に」の挨拶をし、縁内の自分の膝前に置き「お手前頂戴いたします」と亭主に挨拶をする。いただき終わった茶碗は亭主のものですので、亭主のフィールドである縁外に置き拝見する。こんな具合です。  

畳の縁は、亭主と客人の相互が思いやって調和する時の和室の中での小さな約束ごとかもしれません。