吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

アンビリバボー その4

2018年03月16日 05時30分40秒 | 日記
 救命されたという感動秘話仕立ての脚色のために「現場にたまたま医療従事者がたくさんいました」・・・それがよかったのであると誤解される可能性である。
 過去20年も前から一般市民が心肺蘇生を行うことで救命率が上がるのだと「市民による心肺蘇生」の啓蒙をおこなってきた。最近ではようやく市民が参加してすこしずつ「心肺蘇生→医療従事者ではなく市民が行うもの」というイメージが定着しつつある。
 ところが今回のこの脚色では「医療従事者がたくさん現場にいたからこそ救命できた」という誤ったイメージを植え付けかねない。これはいままでの心肺蘇生普及の機運に一挙に水を差すものである。この救命されたという感動場面に自分ですら危うく騙されるところであった。
 一般のかたがこれを見たら「やっぱり現場に医療従事者がいないと助からないのよね」「一般市民は心肺蘇生なんてしなくていいのよ」「一般市民が心肺蘇生しても助からないの」「一般市民は心肺蘇生をしちゃだめなのよ」とまで誤解される可能性がある。
 このTV番組はものすごく罪な脚色をしてしまった。番組制作者はとんでもない脚色をしたと猛省しなければいけない。