知らない人から突然水をかけられるのは嫌でも、このようなイベントでキャラクターに水をかけられてずぶ濡れになるのは楽しいようである。しかもショーの最中は観客全員が笑顔で大乗り状態なのである。TVのニュースでそれを見ていて思い出した。アントニオ猪木の闘魂ビンタとの共通性である。知らない人からのビンタなどとんでもないが、猪木が行なうビンタは「闘魂注入」なのである。受けたものは「ありがとうございました」と礼を言う。これも水掛ショーのいい席を取るときと同様で、ビンタを受けるためにみんな列を成してまっている。みな一種厳かな儀式のように全員がそろってトランス状態のようである。もちろん水掛とビンタは方法論的な違いはあるが、どちらも本来は不愉快な行為を受けるわけである。それが享楽として甘受したり、あるいは自身の精神性を高揚できるものへと昇華できてしまっていることに奇妙な感じがする。