タッカの夢 ~VOICE~ 2013

シンガーソングライター タッカ の夢路日記
ユメこえショップ オーナーの日記
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「クリスマスデイ 赤い帽子のてるてる坊主」5話

2008-11-25 23:24:33 | クリスマスデイ 赤い帽子のてるてる坊主
買物に行くのに、僕は、アパートの玄関を出た。下から、静かに階段を上がってくる人の姿があった。あの男の子だ。僕は、笑顔で声をかけた。
「こんにちは」
男の子は、小さな声で、「こんにちは」と返してくれた。淋しげな表情だ。悪い知らせなのかな。少し、気になったけど、僕は、階段を駆け降りた。
ドアが開く音と共にお母さんの声が、聞こえてきた。
「いらっしゃい。啓太君。上がって」

僕は、車に乗り込み、今日の食材の買物に出かけた。ワイン。アサリ。にんにく。大葉。35缶のビール。こんなもんかな。給料前だし、今日は、経済。
 この、時期の街路樹は、もう、すっかり葉も落ちて、マロニエの木々たちも、寒々とした感じだ、小学校の前を通過する時に、樹の枝の一つ、赤い帽子が、目に入ってきた。
ちょうど、校門の前の、マロニエの樹の枝に、赤い帽子のてるてる坊主とご対面した。僕は、ゆっくりと車を停めた。まさか、部屋のベランダから脱走したわけではないよなと、少し、錯覚をおこしたけど、違う。二つ目の、赤い帽子のてるてる坊主。今度は、飛ばされないようにと、しっかりと、結ばれているようだ。僕の拾った、てるてる坊主とつながった。
「どんな、意味があるのだろう。」
やさしく、笑った、その赤い帽子のてるてる坊主は、僕に、何かをささやいているようだったけど、心には、聴こえてはこなかった。
マミコの病状はどうですか。教えて下さい。大丈夫ですよね。逆に、話しかけていた。
「またね。」
僕は、買物へと車を走らせた。


「啓太君。今週の金曜日に出発なの。早まっちゃったんだ、」
「うん。」
「帯広って。言ってたよね。」
「うん。」
「アヤちゃん。残念ね。学校で、又、一緒に遊ぶのを、目標にしてたんだよね。」
綾子は、どんな顔をしたらいいか、わからなかった。いつも、学校帰りに、窓の外から、元気。と声をかけてくれていた啓太。そんな、啓太を、待つようにもなっていたし。嬉しくて、大好きだった。
「啓太君。手紙書いてくれる」
「うん。書くよ」
「ママ。アヤ。金曜日学校に行ったら駄目かな。啓太君のサヨナラ会に出たいな」
「そうね。一緒に参加しようか。先生に頼んでみるね」
そんな、約束を交わして、3人は、おやつを食べながら、楽しいひと時を過ごした。そんな時間は、あっという間に過ぎ去っていった。寂しい思いを抱えながら、啓太君は、アヤちゃんにさよならをして、部屋を出た。
「じゃ。金曜日に。お邪魔しました。」

啓太君が、部屋を出たところを、お母さんは、後を追いかけた。
「啓太君ごめん。ちょっと待って」
「はい」
「あのね。おばさん、さっき学校の門の前の樹にね。てるてる坊主をつけてきたの。赤い帽子をかぶってるんだ。それ、アヤちゃんが作ったの。学校に早く、行けますようにって。正直、学校の、人のたくさんの中に長い時間いるのは、アヤちゃん、難しいんだ。でもね、金曜日、頑張ってみるから、その、赤い帽子のてるてる坊主の前で、待っていてくれる。」
「うん。わかった。待ってるよ。」
「ありがとう。じゃ、気をつけて帰ってね」
「はい」




おはよう 啄木さん

2008-11-25 09:11:14 | Weblog


アナタの声は優しく柔らかで。ブロンズの表情からも感じ伝わってくるようです。


僕の声は、弱さや、淋しさ、もがいてる。冬の寒さに、明日を失いそうになっている虫、見失いそうな声…
声…

アナタはどんな声

アナタの笑い声が聴こえたらいいのに