◆交流がつなぐ未来への架け橋◆
こんにちは!
山梨県立大学3年の氏原陽菜です。今回私は2023年度甲府市役所のインターンシップに参加させていただきました。多くの公務に携わらせていただいたのですがここでは一番印象的だった、「モルック体験」について皆さんにご紹介します。
そもそも皆さんはモルックについて知っていますか?
モルックはフィンランドのカレリア地方の伝統的なゲームをもとに開発された「スポーツ」なんです!!ということはそのうちオリンピック競技にも選ばれるかも!?
いまのうちから始めれば、未来のオリンピック候補になれるかもしれないですよ!(笑)
ルールは簡単で番号のついた木の棒(スキットル)を同じく木の棒(モルック)を倒していくのですが、1本の場合は記載された点数が、複数本の場合は倒した本数が加算されていきます。50点先に取った人が勝ちです。
説明だけでは面白さが伝わらないので、ここでは写真の力を借りてお伝えしたいと思います。
見てください。この笑顔。
途中経過
インターン生も職員の方もみんなこんなに生き生きと熱中しています。
そう、スポーツは性別も役職も年齢も垣根を超え「みんなが」楽しめるんです。そしてモルックは技術も必要ないのでお年寄りと精悍な若者が対戦したりしても力の差がないんです!
このモルックを企画されているのは、甲府市が募集しているトライアルサウンディングプログラムに参加してくださっている猪狩裕太さん、理沙さんご夫婦です。トライアルサウンディングとは「自由な発想で公共施設等を使うことができる」プログラムのことで地域の皆様の柔軟な発想によって甲府市の公共施設をもっと身近に、もっと魅力的に感じてもらうことを目標にしています。この活動を通じて猪狩さんは趣味づくりのきっかけになったり、健康づくりにも興味を持ってもらえたらうれしいと話してくれました。
また猪狩さんご夫婦はこの遊亀公園のトライアルサウンディングプログラムのほかにも蓬沢いきいきサロンを運営されており、週に4回蓬沢公民館にて和菓子作りや習字、工作、健康体操といった多くのイベントを開催されています。学生の参加は無料で一般参加は200円です。詳しい活動は蓬沢いきいきサロンの公式インスタグラムにて情報を公開中です。
私たちがモルックを楽しんでいるときに、裕太さんに小さなかわいいお客さんがいらっしゃいました。甲府市在住の2歳の女の子です。Sちゃん、裕太さんが差し出した折り紙の傘に興味津々。コマも一緒にもらってすっかりご満悦です^
ポーズまで決めてくれました!
このSちゃんの宝物になった折り紙たちは蓬沢いきいきサロンに参加されている90歳のおばあちゃんが作ってくれたそうです。猪狩さんご夫婦の活動は直接でなくとも、こうして人と人とを繋げています。
「繋がる」ということは自分以外の誰かに思いを馳せること。
そして心あたたかくなっていくこと。
猪狩さんの活動の本質はこうした人と人とを結び、幸せを届けることであると私は感じました。
「繋げ人」猪狩さんはこうした社会貢献活動を続けるうえで大切にしている考えがあります。それは、「人は誰でも輝ける要素をもっている。でもその光に目を向ける前に自分自身が持っている影に目を向けてしまう人も多い。自分はダメだ、ではなく自分ならできる、へ。世代を超えた繋がりこそが、そうした一人一人が輝く世界を創造する第一歩になる。」
猪狩さんはかつて社会福祉士として働いていました。仕事をするなかでもどかしく感じていたこと。それは、介護が必要な方や、障がいのある方々はどうしても「自分はダメな存在だ」と思ってしまいがちだということです。ですが猪狩さんはそうした人々に出会う度にそんなことはない、あなたにも優れているところは沢山ある、そう励ましてきました。言葉で伝えるだけでなく、実感として彼らに自分への自信を持ってもらうには何ができるか、そう考えた先にあるものが今回私たちが体験させていただいたモルックや、蓬沢いきいきサロンで開催されているあらゆる活動なのです。
モルックを一例とするとこのスポーツは先にもお伝えした通り、特別な技術や運動神経の良し悪しは関係ないのです。だからこそお年寄りが子どもと対戦した時、勝敗は五分五分。
力の差がないからこそ何度対戦しても結果が変わり、勝つたびに自分の自信に繋がったりします。
また不登校の生徒さんなどが学外でこうした多世代の方との関りをもつなかで、広い世界を知ることができます。子どもだけではありません。子育て世代のお母さんや、おじいちゃん、おばあちゃんも。今を生きる私たちは背負わなくていいものまで多く背負いこんでしまっている気がします。生きていることに疲れたり、いっぱいいっぱいになったりしてしまったとき。自分とは全く世界で全く違う価値観をもつ人との交流はときに自分の悩みをいとも簡単にほぐしてくれます。そんなに頑張らなくていいよ。そんなに悲しまなくていいよ。あなたは素晴らしい。そうした目に見えないメッセージを参加者の方々は活動を通じて感じるはずです。
「今の時代の若者は」「男だから、女だから」など私たちはときに個人を見ようとせず枠組みで相手を判断してしまう瞬間があります。ですが、目の前にいる相手はその人だけの人生を歩んできた唯一無二の存在です。そうした個人と向き合い、受け入れていくためにはまずは偏見をなくすところから始まります。偏見をなくすには多くの関わるところから始まります。もしかしたら明日出会う誰かが、あなたの人生を大きく変える人になるかもしれません。
繋がることを恐れないで。繋がりはあなたの未来への懸け橋になるから。