Minor Swing @Room

ジョニー・デップ他日常あれこれ

【耳に残るは君の歌声】

2006年09月30日 01時01分01秒 | ジョニー・デップ映画
白馬に乗ったジョニー様です

ジョニーの演じるキャラは天と地ほどの違いがありますが、
例えばそれを月とスッポンと言うならば、
チェーザーは夜空に輝く蒼い月
ちなみにスッポンはデュークということで(度々登場☆)


1927年、ロシアで孤児となったフィゲレ(クリスティーナ・リッチ)は、
イギリスに渡りスーザンという名前を与えられ、アメリカへ行った父を探して旅に出る。
記憶に残るのは、幼い日にベッドの中で聞いた父の歌声だけ。

そしてパリでジプシーのチェーザー(ジョニー)と出会い、お互いに惹かれ合う。
ところがナチスのユダヤ人迫害がせまり・・・。というお話。
スージーはユダヤ人なのです。

パリで上演されるオペラに、チェーザーが白馬を伴って出演しているわけです。
それにスージーも共演したことで知り合う二人なのですが、
チェーザーは寡黙な男であり、ストイックであり、要するに無口です。
スージーも冷静で、静かで、控えめで、内気な感じ。

つまり、この二人はあまりしゃべらないのです
もちろん、いくつか会話はありますが、
ほとんど目の会話、というか、もうテレパシーの送り合い(笑)
目から念力を送り合って、何事かを感じあう二人です。


クリスティーナ・リッチを幼い頃から知っていたジョニーは、
濃厚なラブシーンを演じるに当たってかなり違和感があったらしいのですが、
そこは二人ともプロの役者。
直前までふざけていたとは思えない見事な表情を見せてくれます。

ジョニーのあの目。あの表情。あのため息。
画面いっぱいに映し出されるチェーザーを、ジョニーを、
どんな言葉で表現すれば良いのでしょうか。

ここを一時停止して考えてみます。

・・・やっぱり言葉では上手く言い表せませんが、
目から強力なフェロモンが放出される、と言えば少しは伝わりますでしょうか。


やがてナチスの魔の手が忍び寄って来て、
スージーは友人の計らいでアメリカへと逃亡するチャンスを得ますが、
やはりチェーザーのそばを離れたくない。

チェーザーは、ジプシーの仲間は家族だと言い、
自分はここに残って家族を守らなければならないと言います。
スージーにはアメリカへ行って、生きて父と再会するよう強く勧めて。


そしていよいよ、別れの夜がやってきました
(映画をお楽しみになりたい方は、ここから先はスルーでお願いします)

スージーの部屋を一人訪れるチェーザー。
手には二つのグラスと瓶入りのお酒。
目には深い哀しみを湛えて。

一緒にいたいと懇願するスージーに優しい声で、アメリカへ行くよう言い聞かせるのです。
全ては彼女の命を守るために。

チェーザーは眠った彼女を抱きしめたまま、声を殺して泣く。
この手から愛する者を離さなければならない運命を嘆いて泣く。

ジョニーの男泣き。美しい男は泣き顔もワンダフル

そして朝になり、スージーは眠ったままのチェーザーを起こさぬように、
荷物を持ち、静かにドアを開いて、そっと部屋を出て行くのです。

『寝たふり~してる間に~~、出て行ってくれ~~、あ~あ~~♬』by沢田研二。
…そういうことです

バタンとドアの閉まる音を聞いて、両目を見開くチェーザー。
その瞳には、これでいいのだという諦めと、
魂を奪われたかのような虚無が、哀しく浮かんでいるのです。

チェーザー、ブラボー

そうして、どうでも良いラストへと物語は続きます。


はたして、チェーザー無きままアメリカで生き延びるのが幸せなのか、
ナチスの迫害に怯えながらも、命をかけてチェーザーと共に生きるのが幸せなのか、
二人の下した決断に少々納得の行かないものはありますが、
別れてこそ美しいという、映画の基本がここにあります。


言葉は無くても、そこに存在するだけで圧倒的な美を表現し、
ジプシーという役柄が似合いすぎるほど似合って、
俳優ジョニー・デップの真髄を見る思いです。

ただ私個人的には、コメディ・ジョニーの方がお気に入りですが
イカボッド、ジャック、ウォンカさんなど
デュークは行き過ぎ(笑)(度々登場


ジョニー・デップの、シリアス演技の頂点に君臨するチェーザー。
映画の内容は好き嫌い有りということで★★★

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おじゃまいたします (ハル)
2006-10-01 12:46:14
nonさんのところで私宛てのコメントを見た時には、すごくうれしかったです

「黒光り」ってなんだかゴキ○○みたい・・・。



実はnonさんのところに初めて行ったときから、こちらにもこっそり来てました。



外国人にはまったく興味がないあたしが唯一好きな人。

それがジョニーです。

あ、F4も好きだわ。東洋人ってどうも「外国人」って感じがしないから





でもジョニー好きを語る資格はありません。

あたしが見た映画は

「シザーハンズ」と「チャーリーとチョコレート工場」のみ。



一度でいいからかっちょいいジョニーが見たい。



ここに来るといつも思います。

Reiさん一押しのかっちょいいジョニーはなんの映画ですか?



返信する
Unknown (コンちゃん)
2006-10-01 13:40:48
「ショコラ」とこの映画の役柄はどちらかというとカッコいい系ですね

おどけた場面がありませんものね~

そして言うならばフェロモン系・・?

あ、それは「ドンファン」だったか。。。

私もコメディ・ジョニーが好きです

「耳に残るは~」で一番印象に残ったシーンは

ジョニーが泣くところ

今までにジョニーの泣くシーンて見たことなかったしちょうどこの映画の原題名が”The Man Who Cried”ということで

フィゲレの少女役の子がとっても可愛かったのも印象的!
返信する
待ってました~。 (masa)
2006-10-01 21:39:44
前にもコメントしましたが、

また再度書き込みさせてくださいね~。



白馬にのったジョニー様・・・。

冗談かと思ったらほんとに乗ってるんですよね~。

そして、本当にチェーザーはスーザンのこと好きだったんだ~とわかったのが最後の泣くシーンでした。

最初は、泣くほど好きには見えなかったんですけどね(笑)

(あくまで私感ですが・・・あの女優さんとはちょっと違和感が・・・)

その泣きは、スーザンのことを思う涙だけではなく、自分の環境から自由になれない悲しみも込められていたように感じました・・・が。

とは言っても、ジョニーのあの目の演技はたまりませんでしたね。

しゃべらないで、目で演技する・・・。

いつも憂いを帯びた演技をしていましたよね。



実は私も見たのはチャーリとシザーハンズとこれとパイレーツだけなんですね。

Reiさんと比べたら、まだまだ未熟者です・・・。

でも私も、コメディ・ジョニーの方がいいですね~。
返信する
ハルさん (Rei)
2006-10-01 23:15:38
いらっしゃいませ。

ご訪問ありがとうございます。

『黒光り』、考えることは同じなんですね。

あちらでのコメント、面白かったです(#^.^#)



私のお友達でF4を好きな方がいらっしゃいます。

人気ありますね。魅力的な方たちです。



ハルさんからの『かっちょいいジョニー』について、

ここでのコメントではとても足りないので、

本日の日記とさせて頂きました。

事後報告で申し訳ありません。

お時間ありましたら、どうぞ覗いてやって下さいませ。

返信する
コンちゃんさん (Rei)
2006-10-01 23:23:29
フェロモン系。確かにその通りです☆

あまりの猛攻にくらくらします(笑)



このように泣くシーンは珍しいですよね。

ジョニーにあんな風に泣かれたら、私なら父なんてどうでもいい(爆)

むせび泣くシーンは感動的でした。



>フィゲレの少女役の子がとっても可愛かったのも印象的!

可愛かったですね~。

あんな小さい子が一人で、と思うと、時代に翻弄された人々の人生を偲んでしまいました。
返信する
masaさん (Rei)
2006-10-01 23:31:54
>冗談かと思ったらほんとに乗ってるんですよね~。

女の監督さんなので、少しあからさまでしたか(笑)



多くを語らないチェーザーですから、

その分こちらに考えさせることは多いですね。



>自分の環境から自由になれない悲しみも込められていたように感じました・・・が。

それもありますよね。

仲間を捨てて、一緒にアメリカへ行けない想いとか。



このジョニーは最初から最後まで『哀しみ』満載。

方やデュークとか、ジャックとか。。(笑)

本人の人間性の幅も広いということかもしれませんね。

返信する

コメントを投稿