【クライ・ベイビー】

若い頃のジョニーの輝きといったらどうでしょう。

並の女よりも格段に美しい美貌
何よりも、その発散するオーラが『カリスマ』と呼ばれる所以でしょうか。

天から授かったルックス。
強い光を宿した瞳。
無敵の造形を誇る鼻の形。
控えめで上品、クールな唇。

こんな美しい不良グループのリーダー『クライ・ベイビー』（ジョニー）に、
山の手のお嬢様が惹かれ、
クライ・ベイビーも身分違いの彼女に一目惚れする。

白いTシャツにジーンズ、黒の皮ジャンを羽織りリーゼントでキメて、
２０才そこそこのジョニー・デップがバイクにまたがり『Get on!（乗れよ）』と言う。
ええ、乗りますとも

ところで、ここで思い出すのが『ラスベガス～』のデュークです。
つるつる頭に帽子を乗せて満面の笑みを浮かべて咥え煙草のまま、
ヒッチハイクの男に言う言葉。『Get in!』。
（こちらはGet inと聞こえますがどうでしょう？車だからいいのかな？）

数日前の『ラスベガスをやっつけろ』のレビューの記事の写真がまさにその場面です。

ジョニーの誘いはいつだって抗いがたい魅力に溢れ、非常に断りがたいのです。
もちろん、クライ・ベイビーは喜んで。
デュークは有無を言わさず。



時は５０年代のアメリカ。
ロックンロールな、ロカビリーな、プレスリーな、歌とダンスでミュージカル風な映画です。

もしかして『ウエストサイド・ストーリー』のような雰囲気なのかもしれません。
でも観た事がないので、あくまでも予想です（笑）
…そろそろレビューもなんとなくいい加減になってきました。マズイです


彼女の家の人に不良はダメだと交際を反対され、
彼女が付き合っていたおぼっちゃまな彼からも反撃にあい、
すったもんだの挙句にめでたくハッピーエンドとなる青春の１ページの物語です。


クライ・ベイビーは、B'zの稲葉さんばりにマイクを振りかざして熱唱するのです。
ところが悔しいことに、全て吹き替え。

もしこれがジョニー本人の歌声だったならサントラを購入して、
今ころ携帯の着信になっていたことでしょう。
返す返すも残念でなりません。

中でも特に印象に残るのが、ジョニーのウルトラスペシャルキスシーンです

『よくわからない』というようなことを言うお嬢様な彼女に、
『Kiss me.…Kiss me hard！』（たぶん）とコミカルに力強く訴え、
導き、指導し、伝授し、
それこそ舌のブツブツが見えるほどの熱演賞ものの技を披露します。
寝転んで観ている場合ではありません。

ここは巻き戻し必須。
何回でもお好きなくらいどうぞ。
気の済むまでどうぞ。
一時停止ももちろんアリです。
全部観終わってから、またそこに戻ってもかまいません。
大丈夫です。誰も見ていません。みんな心は一つです。

くどく言うわりには思ったよりも時間が短いと、
お嘆きの方もいらっしゃるかと思います。
そんな方にも是非、上をお勧め致します。

…すみません。これは全部自分のことです（笑）失礼致しました


そういうわけで、【２１ジャンプ・ストリート】のアイドル像をぶち壊し、
この映画で自分を笑いとばすことに成功したジョニーは、
運命に導かれるままに奇才ティム・バートン監督と出会い、
自身の映画人生における原点【シザーハンズ】のエドワードを演じるという道を辿るのです。

不本意ながら、若くしてスター街道に押し上げられても、
映画に対しては一貫して変わらないポリシーを持ち続けるジョニーです。

偉ぶらず、おごらず、努力家で、真面目に仕事に打ち込んだからこそ、
２０数年のキャリアの果てにとびきりの場所が用意されていたようです。

【パイレーツ～】の熱狂の中にあっても、本人は何も変わらない。
ジョニーを見ていると、持って生まれた運命というものを強く感じるのです。
演じるために生まれてきた、ということを。

外見においても極めて特異なものがあり、
その美しすぎる風貌によって演技が過小評価されている、というのを読んだことがあります。

天性の美貌と天性の演技力。
ジョニーがどこで生まれようと、周りが放っておくはずがありません。

でもジョニーは、その美しいルックスをキャーキャー言われるのは心底いやなのかもしれません。
そのために、特殊メイクを好んだり、変装、コスプレを好むのかもしれません。

彼が自分の顔を嫌がって、前髪を長く伸ばせば伸ばすほど、
私たちは、その柔らかそうな前髪をこの手で掻き上げて、
ジョニーの綺麗な顔を最接近して覗き込みたいという欲求に駆られるのです。

全ては、たまらなく嫌だった『アイドル』への反逆。
でもその強烈な思いがあったからこそ、今のジョニーがあるとも言える。


このDVD、買って悔い無し。
買ってリプレイ、エンドレス


ジョニー、Good Jobです★★★