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読書のよもやま(2024.09.16)

2024-09-16 | 雑文
「始皇帝の戦争と将軍たち 秦の中華統一を
支えた近臣集団」鶴間和幸(朝日新書)

中国古代史の、秦漢史を専門とする大学教授
が、秦の中華統一をたどるとともに、戦争に
おける将軍たちにフォーカスしたもの。

「将軍たち」という題名であるが、列伝では
なく、統一までを10枚の地図を用いて時間
軸で説明していく。

その過程で、どの将軍がどのように国などを
制圧していったかを解説するが、基本的には
資料に基づき、「結果」を追っていく。

最後三分の一で、「近臣たち」として、人物
ごとに記載していくが、列伝というほどでは
なく、少し長めの人物事典くらいのもの。

大学で研究する、現代の歴史家は、小説家で
はないので、当然に事実(とされること)だ
けを述べるし、職業としてはそれが正しい。

であるが、某薬学史の書籍の時にも感じたが、
それは一般の、素人向けの書籍としては、ど
うしても退屈な本になりがちなよう。

知識も、場合によってはそこまでの興味もな
い読者に「読ませる」とすれば、参考書的な
テキストはやや厳しい印象がある。

あと、そう(こう)いう書籍で大体共通する、
同じことが何度も出てくる、同じことを何度
も書くのが、とても不思議で。

無論、今の文献から分かっている、秦の時代
の、始皇帝を取り巻いた近臣の事実を知るこ
とは、充分にできる。

できるのだが、著者ほど対象に熱意はないの
だから、その温度差は甚だしく、そもそも研
究の今だけを知りたいわけでもない。

時代が古く、戦いや事象の結果だけしか分か
らないし、うかつなこと、想像で書けないの
は分かっている。

とはいえ、ここから人間を感じることができ
るかといえば、それには相当に読み手の努力
と想像力が求められる。

難しいことは十分理解していて、大分、遠慮
して控え目に表現してきたが、まあ、ただ読
むというだけの、魅力なき書籍。


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