Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
【詩集3冊(各110円)をAmazon「Kindleストア」で販売中】

ツキイチ映画館(2024年04月)

2024-04-22 | 雑文
月に一度は、映画館で新作を。2024年の
4月は、「アイアンクロー」(アメリカ)。

今月は、呪われた一族などとも呼ばれた、プ
ロレスラー親子を描いた、準ノンフィクショ
ンの本作をチョイス。

マイナー系映画館の予告で気になって選んだ
が、TOHO系での上映のようで、作品自体
はマイナー系ではない様子。

とはいえ、プロレス&家族モノということで、
ハリウッド系メジャーでもなく、どちらかと
いえばマイナー寄り。

本作は、家族に多くの不幸が起こっても闘う、
アイアンクローという技を得意技とする、と
あるプロレスラー親子を描く。

父親の果たせなかったメジャー団体の世界王
者タイトルの獲得と名声を、父親と4人の兄
弟が、協力して目指すというストーリー。

こうしたジャンルは、ボクシングの師弟もの
がまずは浮かぶが、過去のそうした有名タイ
トルよりも、「家族」にフォーカスする。

にもかかわらず、さすがアメリカとも言うべ
きで、プロレスを演じる演者は、もう、その
肉体の役作りがとてつもない。

これが日本なら、話題性重視の配役で、細マ
ッチョとかいうなんちゃって系で、すべてを
台無しにするのだろう。

そうはならず、ビジュアルもフィクションに
おけるリアリズムをしっかり構築したうえで、
呪われた一族を描き切っている。

確かに不幸は家族に襲い掛かるが、ノンフィ
クションベースであり、表現は(邦画と違っ
て)無駄に過剰にもしない。

それを物足りないと評する人もいるだろうが、
この映画にあるのは、過酷な現実を生きた家
族の、不幸の裏側にあった「何か」である。

それは、(邦画と違って)単純な、純粋な家
族愛というものでもない。

つまり何だと言われても、容易に言葉になら
ないのだけれど、だから映画にするのであっ
て、それが鑑賞後の大事な余韻になる。

そして、そうした余韻がある映画こそ、よい
作品であり、なんだか久しぶりに余韻を楽し
めている。

プロレスという題材で、メインテーマが家族
であるから、ジャンルとしての好みは分かれ
る。

それでも、4月にしてようやく良作に当たっ
たツキイチ映画館として、十分おススメでき
る作品。


コメントを投稿