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読書のよもやま(2024.05.06)

2024-05-06 | 雑文
「天才の栄光と挫折 数学者列伝」藤原正彦
(文春文庫)

数学者である、お茶の水女子大学名誉教授の
藤原正彦さんが、世界9人の天才数学者を取
り上げた列伝モノ。

9人は、アイザック・ニュートン、関孝和、
エヴァリスト・ガロワ、ウィリアム・ハミル
トン、ソーニャ・コワレフスカヤ、

シュリニヴァーサ・ラマヌジャン、アラン・
チューリング、ヘルマン・ワイル、アンドリ
ュー・ワイルズ。

不勉強なる自分は、ニュートンと関孝和のお
名前は存じ上げているが、じゃあ、人物を語
ることができるかとなれば、できない。

そんな体たらくであるから、天才数学者、一
人一人の人生が、面白いこと、面白いこと。

著者が興味を持ったそれぞれの数学者につい
て、丹念に調べ、その人生に深く関連する地
を訪れる。

人生と著者の思いを、小説風味の構成で、し
かしノンフィクションの列伝として、しっか
りとまとめている。

正直に、数学の功績の部分については、何ひ
とつ、まったくもって理解などできやしない。

無論、理解できた方がよいに決まっているか
ら、理解できる人よりも、悲しいかな楽しめ
ている度合いが低いことは事実。

やや負け惜しみ調でもあるが、それでも、そ
うした理系を諦めし文系人にも、本書は優し
く、十分に楽しい。

著者は、ノンフィクション系の作家ではない
から、本書には、数学への愛と、その天才た
ちへの、無条件の愛が前提としてある。

一部を除いて、数学という共通することから、
人生を、栄光と挫折を理解しようとする。

ノンフィクション系の列伝ではあるが、目的
は、天才を知り、理解することにある。

我らが文系人は、文系人らしく藤原正彦さん
の文章を通して、文系人らしく我らの対極に
いる天才たちに近づけられればよいのでは。


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