理央は幼いころに妹を亡くした。さらに愛する母が理央を残し、家を出ていった。
父にも継母にも疎んじられ、心を閉ざして生きてきた。手首には無数の切り傷がある。
佐保子には優しい両親がいる。なにも問題なく見える家庭のなかで、佐保子もまた心を病んでいた。
「ある種の余計な
感受性を持って生まれてきた子ども達」
「それがあるためにかえって
生きることを困難にしてしまう」
しかし理央と佐保子が出会ったとき、おたがいの心に光が見えはじめる。
「美しいが
致命的なぜい弱さも合わせもつこの新しい種(2人)を
何とかして生きのびさせようとする力」がはたらきはじめる。
しかしタナトス(死への本能)は強大な力で、理央を呑みこんでいく。
「終わらせない 私が」
佐保子のエロス(生への本能)が立ちむかう。
「私達は 生きるために 出会ったんだから」