Take Ari's Time

to show you what's been going on

Shot to Hell / BLACK LABEL SOCIETY

2006-09-27 | HM/HR
1 Concrete Jungle 2 Black Mass Reverends 3 Blacked Out World
4 The Last Goodbye 5 Give Yourself to Me 6 Nothing's the Same
7 Hell Is High 8 New Religion 9 Sick of It All 10 Faith Is Blind
11 Blood Is Thicker Than Water 12 Devil's Dime 13 Lead Me to Your Door


暴拳王Zakk Wylde率いるBLSの2006年作品。従来からのヘヴィさは勿論のこと、ブルーズやブギー的な「漢」の哀愁も要所要所に含み、非常にバラエティに富んだ作品になっている。

正直BLSを聴くのは"Sonic Brew"(99年)以来。あのアルバムは重さに傾倒していて決して万人受けはしないと思われたんだが、この作品は相当に聴きやすい。勿論BLSにイメージするようなヘヴィな曲はあり、たとえば①なんかはガレージっぽさも漂わせるヘヴィなリフが響いてカッコいいし、勢い良いリフが心地よい⑫なんかもその攻撃性がGoodだったりする。

しかしそんな重めの曲でも歌メロにはわかりやすさがある。①もそうだし、⑤なんかもヘヴィなわりに聴きやすい。そして何より美しい曲が多く、それらが素晴らしい。④⑥⑨などピアノやストリングスが響く優しい曲調のバラードは、ザックの味のある歌唱も相まって非常に心に響く。とりわけ個人的には④の美しさに感動した。むせび泣くGソロも絡み、本当に良い曲である。

その他もザックならではの哀愁を響かせていて嬉しかったりする。物凄い悲哀を含んだイントロで始まる⑧は重いリフに哀愁を多分に含んだメロディラインが重なり耳を引くし、バラードでない⑪などにしてもブルーズ由来のような男っぽい泣きをふんだんに入れており、これまたGoodなのである。

時にランディの影も見せるGソロは技巧たっぷりかつメロディ豊かだし、オジーにも近いその歌唱はこの曲群に非常にフィットしている。正真正銘メタルであるが、かなり聴きやすい。良いアルバムである。

The Previlege of Power / RIOT

2006-09-24 | HM/HR
1 On Your Knees 2 Metal Soldiers 3 Runaway 4 Killer 5 Dance of Death 6 Storming the Gates of Hell 7 Maryanne 8 Little Miss Death
9 Black Leather and Glittering Steel
10 Racing With the Devil on a Spanish Highway (Revised)


RIOTの1990年の作品。まだトニー・ムーアがVoをやっていた時代であり、パワーメタル路線を突っ走っている。個人的にはかなり気に入ったアルバムである。

私はRIOTが好きだ。なぜ好きか、それはマーク・リアリの作曲能力が高く、非常に日本的な琴線にフィットするものであるからだ。そしてトニー時代は時代に合わせて疾走感や攻撃性を増しており、メロディの魅力もより強調されているため、かなりお気に入りなわけだ。

このアルバムは一般的に軽く問題作扱いされている。ホーンセクションを大胆に導入し、SEもかなり盛り込んでいるためだ。個人的には前者は気にならないが、やはり曲に入る前の前置きが長いという点で後者は気になるかな。

しかし曲の魅力という点を考えれば、RIOTの全アルバムの中で見ても見劣りしないし、パワーメタルの秀作と捉えて良いと思う。特に中盤③~⑦の盛り上がりは圧巻である。典型的なハードバラード③と、哀愁味溢れる⑦がまず魅力である。何よりそれに挟まれクサイメロディとともに疾走する⑤⑥が物凄くカッコいい。⑥ではホーンもかなり効果的だと思うし。この流れは強力である。やはりボビー・ジャーソンベクのドラミングも正確かつ強力で貢献度が高い。うーん、素晴らしい。

もの凄い駄曲はないし、逆に名曲が結構入っている。SEの弱点を除けばかなりの作品であると言える。少なくとも私の愛聴盤である。




笠原傘下に入ってこっちのメモが減ったなー…まあマイペースで更新しよう。

Runaway to the Gods / ZENO

2006-09-14 | HM/HR
1 Fanfares of Love 2 Climb the Sky 3 Land of Illusion 4 Shades of Blue
5 Runway to the Gods 6 Sogno Di Angelo 7 Refugees (Longing for Paradise)
8 I Feel - I Live 9 Purify (Pilgrims of Remembrance)
10 Do You Feel the Time 11 Sunset Birds Flying Home (Celestial Touchdown)


ZENOによる8年ぶりの新譜。オリンピック2回分待たせただけの力作。

今回は名盤1stから一緒のマイケル・フレクシグを切り、実力者マイケル・ボーマンを迎えている。この方策は成功だと思う。変化を生むという意味もあるが、デヴィッド・カヴァデール系のソウルフルな歌唱が、ジーノの奏でる哀愁メロディを引き立たせる効果がある。骨太であり印象も良いし。

肝心の曲はというと以前あった東洋風のメロディは減退し、より正統派のメロディアスハードに近づいているが、所々に抜群のメロディを配しているし、そのギターのトーンは相変わらず痺れる。

幕開け①がいきなりのキラーチューンで、イントロから速弾きで哀愁が爆発していていきなりやられる。また全体のメロディが随一、ソロも弾きまくりと、求められる要素がほぼ満たされ秀曲。素晴らしい。

他にも④がこれまたイントロからクサさ全開で、サビからラストのGに至るまでクサさを一貫していてGood。また⑧は"Burn"やらWHITESNAKEやらの要素を確信的に盛り込みつつ、サビは洗練された哀愁ハードのメロディでありこれも印象的。

2曲含まれたインストがまた素晴らしく、特に⑥で聴かせる神々しいメロディに包含されたヴィブラート全開のGがたまらない。この音、泣き具合は彼ならではであり、このGを聴くためだけにCD聴いても損はない。他の曲でもたとえば⑨のラストなど、泣き、悲哀のGがふんだんに盛り込まれており、満足度はかなり高い。

全体の曲の完成度という点で1stに及ぶかはわからないが、今年聴いた中ではベストのギタープレイが含まれた優れたアルバムではある。さすがの出来。

Pitch Black Progress / SCAR SYMMETRY

2006-09-08 | HM/HR
1 The Illusionist 2 Slaves to the Subliminal 3 Mind Machine
4 Pitch Black Progress 5 Calculate the Progress 6 Dreaming 24/7
7 Abstracted 8 The Kaleidoscopic God 9 Retaliator
10 Oscillation Point 11 The Path of Least Resistance
12 Carved in Stone 13 Deviate from the Form


スウェーデンのメロディックデスメタルの新星、SCAR SYMMETRYの2nd。前作で提示した流麗なツインリードと普通/デス2色の声によるアグレッシブなメタルサウンドを引き継ぎつつ、哀愁部分はより悲哀を増し、エクストリームな部分はより激しさを増している。

哀愁に関していえばVoであるところのクリスチャンが、相当普通声を増やし、さらにそれが歌い上げる部分を増していることにより、ボーカルラインが普通のメロディックハードロック、もしくは米国の哀愁ロックにも聴こえるまでに聴きやすくなっている。冒頭①からしてその提示がされ、この曲は特にメロディが秀逸なこともあってその歌い上げの印象が深い。他にも⑥あたりも普通のロック的なメロディラインだし、⑩での熱唱も曲の叙情性と相まって素晴らしい出来である。勿論デス声もあちこちに入っており、この2色声は一番の武器であると再確認。

そして攻撃性は前作同様ヘンリクのDsが安定しつつも暴力的であり、随所に見られるGの速弾きもあり、スピーディなパートが今回はかなり魅力的に感じた。たとえば⑤は歯切れよいリズムに絡む速弾きかつメロディアスなバックGがたまらない良曲だし、⑧はブラストビート全開で、かつGソロも叙情性を含みこれまた良し。続く⑨なども爆走するデスメタルの攻撃性はそのままに、サビ部分のメロディが素晴らしい。要所要所のメロディと攻撃性という点は今作で効果的だったかな。

全体的に普通声パートにおいてゴシックな雰囲気が増え、それゆえ曲の色合いが似通ってしまっている部分もあり、捨て曲がないわけではないのが弱みかな。その点前作の方が完成度は高かった気もする。デス声の割合がもうちょいあっても良かった。個人的には尖鋭的なアグレッションと普通声のバランスをこれ以上崩して欲しくないとは思う。しかしエクストリームかつメロディックなサウンドを求めるなら買い。攻撃性は本当に魅力的だったし。

A Matter of Life and Death / IRON MAIDEN

2006-09-05 | HM/HR
1 Different Worlds 2 These Colours Don't Run
3 Brighter Than A Thousand Suns 4 The Pilgrim 5 The Longest Day
6 Out of The Shadows 7 The Reincarnation of Benjamin Breeg
8 For the Greater Good of God 9 Lord of Light 10 The Legacy


IRON MAIDENの14枚目。今回の良いところはコピーコントロールされていないCDであるところ。以上。



…ではなく(苦笑。長尺の曲が並ぶ構成であり、"Fear of the Dark"以降、より最近で言えば再結成の"Brave New World"以降の傾向が強まった感がある。とにかく80年代に比べプログレ的な雰囲気が格段に増えており、もはや「プログレッシブHMバンド」と呼んでもいいかもしれない。どうもそれが自分には…合わない。

Voは伸びやかで巧く、リードGのハーモニーも存分に盛り込まれている。良いメロディもあり、気に入る部分もある。幕開け①はいつも通り疾走感がありキャッチーなブリッジ~サビのメロディがGood。④はギターの泣くイントロや中盤のエスニックなメロディも耳を引きこれまた好感触。また⑧は軽快なリズムから2段階のサビのメロディ、さらにバックのGの絡みが素晴らしい佳曲。

他の曲も悪くない。しかし長い。長いと言うかトーンが同じ過ぎてメリハリが少ない感がある。歌メロのバリエーション自体もそこまで多くない。特に個人的には中盤あたりでダレが来る。⑤はGソロも良く、⑥のミドルで叙情的な展開も⑩のVoラインなんかも悪くない。しかし他の部分が気に入らなかったり、とにかくトータルすると印象が落ちる。

もはや80年代までの雰囲気を望む方が間違いだし、現在進行形の魅力も確実にある。しかしキャッチーさやポップさに関してはあまりこだわっていないようで、そこが自分と合わなくなってきている。"Brave New World"あたりにはあった気がしたが…うーん。良い作品ではある。好きではない。

Tales along This World 世にもコルピな物語 / KORPIKLAANI

2006-09-01 | HM/HR
1 Happy Little Boozer(痛快!飲んだくれオヤジ) 2 Vakirauta(戦場のコルピクラーニ)
3 Midsummer Night(呑めや、歌えや、夏休み) 4 Tuli Kokko(黒鷲は飛んで行く)
5 Spring Dance(萌えろ、春の舞) 6 Under The Sun(森の木陰でクールビズ)
7 Korpiklaani(立ち上がれ!森の妖精コルピ軍団)
8 Rise(漢の勲章~コルピクラーニ編~) 9 Kirki(妄想即狂曲)
10 Hide Your Riches(夜の森は危険がいっぱい)
11 Free Like An Eagle(いい旅、鳥気分)


フィンランドの酔いどれ妖精軍団、KORPIKLAANIの、邦題も力の入った3rd。メタルファンにとってはプロモの威力もあってかなり知名度は高くなっているが、今回それに負けない力作を出してきたと思う。

フォークメタルというかポルカメタルというか、民謡調のメロデスと言えばいいんだが、とにかく笛やバイオリンが乱舞するご機嫌かつ哀愁たっぷりなチューンが満載。今回特にメロディが充実し、全編にわたる跳ねるようなリズムと相まってノリノリで聴きやすい。

とりあえず幕開け①から祭りだワッショイ的なノリで盛り上がれる疾走曲で掴みはGood。その後もうっすら悲哀を含むフォーク調のメロディが耳を引く③、インストながらバイオリンが印象強く奏でられる⑤、静かなトーンの哀愁を含みつつ、まるで歌謡曲かのような歌メロを持つ⑥、クサいメロディでこれでもかと疾走する「漢」の魅力いっぱいの⑧、クサイ歌メロとスラッシーなスピードのコントラストがたまらない⑨…一言では魅力を言いがたいが、とにかく各曲の出来が良いというか、1stあたりでは確実にあった捨て曲がほぼない。

デス声というよりはダミ声に入る部類のVoだし、何よりFINNTROLLに迫らなんとするこのクサメロの魅力は強烈だと思う。間違いなく彼らの最高傑作だし、ヴァイキングメタルやフォークメタルのカテゴリーの中でも、かなりキャッチーで良質な作品だと思う。気に入った。