というわけでゼミの教授の学部の授業に潜り込んだ(火曜の話w)。ゲストスピーカーは高津晶氏。資生堂のお方である。そう、TSUBAKIの商品企画やら宣伝企画やらやったお方の話を1時間聞いたのだった。
シャンプー市場において資生堂の大躍進に貢献したTSUBAKI。よく言われていることだが、これほどIMCということを意識して成功した商品はない。院に入るまで正直IMCというものの凄さを掴みかねていたんだが、実際に成功した商品を見てわかる部分も大きかった。その戦略は緻密であり、企画、開発、CM、PRなどあらゆる面に気を遣っていたことが今回良くわかった。
その上でTSUBAKIを批判的に見てみると…まず導入期としては大成功を果たしたわけだが、この過程でとられたIMCの戦略は導入期だからこそ通用するサプライズ的要素を多分に含んだ戦略であり、今後成熟期に向かうに当たりどのような方策をとるのかが不明瞭である。「CM以外の方法の模索」とは言っていたが発売後しばらくたった日用品を大々的に宣伝する方法はなんなのだろうか…。CMに関して言えば「日本女性の多様性」を示すために12人の女性を採用したと言っていたが、だとするとCMから使う女優の数は減らせない、その上同じ女優は使えないという事態になるうえ、女優の数を減らしたりした場合、どことなく物足りなさを感じてしまうのではないだろうか。逆に一人ずつにクローズアップしたCMで12通りやりそうな気もするが、それってどうなんだろう。当初のコンセプトからズレる気もする。そうそう12人といえば、後発の6人のタレント/女優のレベルが言っちゃあ悪いが低下しているのが気になる。まあどういった方策でいくかは注目かな。
そして一番の問題は…商品が宣伝に負けてはいないか、という点である。シャンプーを嗜好品にしたいという狙いがあったようだが、男性の私が思うに一般企業から販売されるシャンプーはあくまで家庭用品であり、限界があると思う。その性質ゆえ高価格にはなり得ないし、高級感という差別化を商品自体で演出するには今後どうするのであろうか。現在はCMその他の宣伝の画期的な戦略により注目をあび賞賛されるTSUBAKIであるが、宣伝に見合った商品であるのだろうか。品質が良いことは認めるが…
何だかんだいって現在のところ批判の余地なく成功しているわけで、今後も勝ち続ける可能性は高いと思うのだが、他社も黙ってはいないはずだし、はてさてどのように戦略を発展させていくのか、気になるところである。