想風亭日記

人里離れた「想風亭」にて、旧事(ふるごと)を読み、黒犬を友とする日々

柔らかな雨2 ハナウタ篇

2008-04-14 01:04:51 | Weblog
      ベイビーは、ハナウタが聞こえると
      しっぽブンブンさせて、やってくる。

木の芽がふくらんだ
窓のさきの木の芽

木の芽のさアきに
雫が一つ生まれた

うまれた雫
雫がまあるく光った

光ったと思ったら
きらきらきらりと落っこった

落っこったと思ったら
またひとつ生まれた

木の芽 木の芽
木の芽のめぐりに雨が降る
        (童謡詩「春の雨」作:若山牧水)

 よくハナウタを歌う、かってに節をつけて。
 ご機嫌なのかといえば、そうと限ったことではなく
 たぶん、我を忘れている感じに近い。
 人は他人がいるから我を思うわけで、
 他者を意識しないとき、我もまた消えている。
 そんなときは、ハナウタである。

 るるるるーららーりりりー、りらりりりーとか
 文字にするとナンだが、けっこうメロディアス。
 まあ、どっかで聞いて記憶にあるような節がつながって
 オリジナルなような、そうじゃないようなのを口ずさみつつ
 何かする。何もしていないときは歌わない。
 料理だったり、掃除だったり。
 そう、歩いているときはよく歌っている。
 もちろん東京じゃなくて、森ン中です。



今日みたいな日は、牧水の詩集なんかいい。
ぱっと開いた頁に、森の景色にぴったりの歌があったんだな。
「春の雨」
この詩は曲はついていない。
ってことは各々、気分に合わせて節をつけて歌おうぜ。

雨をみつめていると、最初はいろんなことを思い出したりする。
だけど、雨にけむってぼーっとかすんだ木々を
眺めるともなく見ているうちに、
頭に浮かんだことが滲んで消えて
いい気持ち、やわらかな、何かに包まれるような
ここちになってくる。

芝生の上に、小鳥がやってきた。
雨んなか、歌いながら。
土の上でなにかついばんでる。
飛び去って、木の上で、また歌ってる。
雨んなか、けっこう楽しそうです。
ふふふん