「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

そろそろ英国へ

2018-09-14 | 雑記
長いなが~い日本での滞在を終えて、そろそろ英国へ戻ります。
今夏の日本における研究費、滞在費は、英国の某学会から助成されているので、なんとか素晴らしい成果を残したいところではありますが、「まあ、無理だろべ」と諦めています。短い論文を幾つか書きましたが、学術的な価値がどこまであるのか、自分でもよく判りません。しかし、出来るところから始めて行くしかありませんから。まずは手持ちのデータを発表していくしかないということです。

浅学非才の身ではありますが、それなりの研究業績を有する若手医学者として、私が熱意をもって国際共同研究をやろうとしたところで、今回は色々な困難に直面しました。私がお世話になった研究機関の先生方からは「長い目で見て欲しい」と言われましたが、日本人の私が日本語を駆使しても、短期間で共同研究を展開するのが難しいわけですから、今後英国から英国人研究者がこちらを訪れることはおそらくないでしょう。このままではただの時間の無駄になりますから。
世界との交流を増やして行くには、やはりもう少し学術研究機関として突き詰めていく必要があるかと思います。それはおそらく、ほとんどの日本国内の機関に当てはまることでもありますが。真の意味で「国際化」にはまだまだほど遠いと改めて感じています。

私は、日本人として、日本から世界へ研究成果を発信する必要を強く感じています。そうしなければ我が国の研究・開発面におけるプレゼンスは相対的にどんどん低下してしまうことでしょう。中国、インドなどの近年の研究成果は凄まじいものがあります。
したがって、私も日本人研究者の端くれとして、今後も日本の医学界、とくに放射線医科学分野で貢献したいと思っています。具体的には、日本で研究グループを率いて、現在取り組んでいる幾つかの研究プロジェクトをもっと推進したいのです。
しかし、現実はなかなか厳しくて、気持ちが折れそうになることもあります。

英国へ戻る時、私はいつも寂しいような、逆に安堵するような不思議な心地を抱きます。もちろん日本は母国ですが、しかし、より自由にやりたいことが出来る場所に行くのは研究者としての冥利に尽きるわけで、そういう意味では現時点においては英国に滞在しながら研究する方が私個人としてはハッピーな状態なのかもしれません。

日本で、福島のため、日本のために研究をしたいと思いますが、残念ながら日本では私のやりたい研究が出来ないのであれば、どうしたらいいのか?

自分の中に答えの断片はすでに幾つかありますが、一つの確信にはまだ至っていません。しかし、ある意味で楽観的でいられるのは「答えとは得るものではなく、いつだって突きつけられるものだ」と知っているからです。私がいくら悩んだところで、おそらくは周囲の環境と自分の希望を照らし合わせて、いずれ決まるべくして決まるのだろうとも思っています。


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