「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

洗浄して、再使用!?

2017-08-30 | 雑記
兵庫医科大学病院が、29日、「厚生労働省の通知で手術後に廃棄するよう定められている医療機器を洗浄して患者130人に再使用していた」と発表しました。日本の各報道機関で一斉にこのニュースが報道されているようです。

「勿体ない」はある意味で美徳とはいえ、もちろん、駄目なものは駄目です。
しかし、しかし……。
私には色々と思うところがありました。もちろん、患者さんやご家族のお気持ちもよく判るのですが、医療機関側の事情も薄々と察することができます。かつて、私自身は当事者ではなかったものの、このような不祥事の関係者になってしまった方々と、一時期、共に働いたことがありましたから。

今回の兵庫医大の件、おそらく、手術部の経費削減問題が背景にあるのは間違いないでしょう。
現場レベルでは、例えば看護師は残業手当はつかず、医師は過労で倒れているわけです。医療従事者の生活の質(QOL, Quality of Life)を犠牲にして、患者のQOLを支えています。さらに、経費を切り詰めて、安価で高度な医療を提供せねばなりません。
一般に言われるのは、「あちらを立てれば、こちらが立たず」。
しかし、医療の現場は、「あちらを立てて、こちらも立てろ」。

現場のスタッフたちに責任があるのは無論でしょう。しかし、同時に、問題の根はきっともっと深いのだろうなとも思うのです。