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「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

ベルファストの夏をenjoy

2019-08-12 | 学術全般に関して
家族が日本から来て、この土日は久しぶりにのんびりしました。友人の家でのBBQパーティーにも参加させてもらったり、マーケットをゆっくり見て回ったりと、色々と北アイルランド最後(予定)の夏を楽しむことができました。
友人と「おい、博士論文はどんな感じ?」「今日はそのことを忘れよう」という微笑ましい会話もありましたね。

7月に滞在していた日本の関東は蒸し暑く、非常に身体に負担が大きかったのですが、こちらは比較的涼しく、湿度も低いため、はっきり言って快適です。もう日本に帰りたくなくなる程度には、過ごしやすいです。今はベルファストも晴天が多く、街の緑も色が濃い時期で、景色も美しいのです。
家の近くの公園にはリスもいました。

問題は、やはり博士論文です。
4章まではなんとか終わって180頁くらいは書きましたが、あと予定では2章分あります。
8月末までには書き終わりたいのですが。はてさて、どうなることやら。

原爆投下から74年

2019-08-06 | 雑記
本日8月6日は、広島に原爆が投下された日です。投下から今年で74年が経ちました。この間に人類がどれだけ進歩できたのかは判りませんが、日本の近くの半島で必死にミサイル(いや飛翔体と言うべきなのかもしれませんが)を飛ばしている連中を見ると、あまり自信が持てませんね。科学や技術は発展しても、人類の精神的な面はあまり変わっていないのではなかろうかと感じることもあります。

放射線被ばくによる身体影響を研究している身としては、1年に1度くらいは当時広島にいた方々のことを想うべきかもしれず、そういう意味では8月6日というのは特別な日付であります。広島、長崎に原爆が投下された日本は世界で唯一の被ばく国ですが、残念ながら、その後に日本が世界の放射線生物学研究をリードしてきたという実感を私は持つことができずにいます。日本に生まれ育った者としては、すこしふがいないというか、正直、悔しさを覚えるのです。

さて、今日も今日とて、博士論文を書いています。
140頁を超えましたが、すこし息切れというのでしょうか、なかなかペースは上がりません。本当にこんなことで大丈夫だろうかと思いつつ、ちまちまと書き進めています。今週末は知人の家でパーティーがあります。それをご褒美ということにして、とりあえずそこまで頑張ろうと思います。

ようやく論文がアクセプトされた

2019-08-05 | 学術全般に関して
本日、1年以上かかった自分の論文がようやく採択されました。近日中にオンライン掲載される予定ですが、それに合わせて日本の共著者の先生方のプレスリリースがあるかもしれません。
放射線生物学の分野ではブレイクスルーといえる内容を含んでいるので、ScienceやNatureとは言わなくても、それなりにハイインパクトな学術誌に採択してもらいたいと思ってずっと足掻いていた訳ですが、残念ながら思う通りにはなかなか運びませんでしたね。個人的に、色々と勉強になった論文でした。
とはいえ、一つ一つの論文はそれぞれ大切なわが子のような存在です。ようやく形になって外に出ていく機会を得たのですから、世界中の研究者に読んでもらえるといいなと思います。

今日も今日とて博士論文を書いています。
現在、130頁過ぎまで来ました。今週中に3章と4章を書き上げて、指導教官に目を通して頂く予定です。
正直、かなりのプレッシャーですねorz

Belfastに辿り着けば、そこは終わりの始まり

2019-08-04 | 2019年イベント
日本での滞在を終えて、8月の始めに英国北アイルランド首都のBelfastに戻りました。久しぶりのBelfastで見上げた空は青く、日本に比べるとカラッとした穏やかな夏の日を感じさせられました。
私事ではありますが、日本では家族が増えたり、相馬野馬追を観たり、南三陸病院まで足を伸ばすなど、色々と楽しい時間を過ごすことができました。
しかし、今秋の大学院修了に向けて、為すべきことを為さなければなりません。そのために私は北アイルランドへと戻ってきたのです。

さっそく、気合を入れるために、ギネスを一杯飲みました。




さて、帰ってきたら、博士論文 Thesisを書かなければなりません。
まだ第3章の途中まで、大体120頁くらいしか書いていませんが、これを200頁以上の完結した論文に仕上げる必要があります。論文だけでなく、8月には「ICRR 2019」という英国イングランドのManchesterで開催される国際学会もあり、忙しくなりそうです。
はてさて、どうなることやらと、ふとした瞬間に不安に思うこともあります。
私に、本当に博士論文なんて書けるのかと。

飛行機の中で、久しぶりに『Darkest Hour』という映画を観ました。
本作はヒトラー率いるナチスドイツと対峙した大英帝国首相チャーチルの孤軍奮闘を描いた物語ですが、特殊メイクを担当したKazuhiro Tsuji(辻一弘)という日本生まれのアーティストの方がアカデミー賞を受賞したことでも知られていますね。

チャーチルの言葉はすこし私を励ましてくれました。

Success is not final, failure is not fatal.
It is the courage to continue that counts.
成功は決定的ではなく、失敗は致命的ではない。
大切なのは続ける勇気だ。

天野之弥氏の御逝去

2019-07-23 | 学術全般に関して
日本に一時帰国中です。公私にわたって色々な事がありましたので、ブログ記事を更新しようと思う機会はありましたが、蒸し暑さと忙しさでとてもバテていました。7月中旬に高円宮妃久子殿下に拝謁して、私の研究内容をご説明申し上げた日は、さすがに興奮したので、このブログ記事を書こうかとも思いましたが、いかんせん時間がとれませんでした。

しかし、そんなに多忙な日本滞在中にブログ記事を更新したのはなぜか。それは先日、IAEA事務局長だった天野之弥氏が在任中に御逝去されたからです。私にとって非常に衝撃的なことでした。

天野さんは私の中学校・高校の先輩でした。私の母校からはなぜか東大法学部を経て外務省に入省される方が多いのですが、天野さんもそのお1人でした。
最後にお目にかかったのは2017年10月にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された第12回アジア・オセアニア核医学会学術会議(第37回日本核医学技術学会総会学術大会、第7回アジア核医学技術学会国際会議との共同開催)の時でした。したがって、今から2年ほど前になります。
あの時、私は大会長の井上先生に声を掛けて頂き、第12回アジア・オセアニア核医学会学術会議で招待講演をするために英国から一時帰国しておりました(私にとって初めての国際学会の招待講演でした)。その後すぐにメキシコで開催された北米放射線影響学会に参加したため、私は横浜では非常に慌ただしくしていた記憶がありますが、天野さんの特別招待講演時で質疑応答までさせて頂いたのは今でも覚えています。その後、会場でお見かけした際に、すこしご挨拶させて頂きました。

日本の放射線・原子力関係の学術分野、行政分野にいる方々にとって、アジアから初めてのIAEA事務局長になられた天野さんは率直に誇らしかったですし、はっきり言って雲の上の存在でもありました。IAEA事務局長の在任中の2011年東日本大震災・福島第一原子力発電所事故が発生し、おそらく苦しい立場に陥ったこともあったのではないかと思いますが、10年近く世界の原子力行政・核政策をリードされたのは素晴らしい仕事だったと思います。
最近のお姿を映像では拝見した際に、昔に比べてだいぶ痩せてしまっていて、ご病気の可能性を心配していたところだったのですが…

御冥福をお祈り申し上げます。

日本へ帰国

2019-06-26 | 雑記
日本へ一時帰国することになりました。
先日の受賞により、東京で開催される授賞式に参加する必要がありますし、次の職場へ行く必要もありました。夏季休暇も兼ねて、しばらく日本に滞在する予定です。しょっちゅう日本に帰っていると思われるでしょうけれども、共同研究の関係もあって、私は本当に日英往復の回数が多いです。しかし、ロングフライトはいつまで経っても慣れません。

今回、同行者の都合で、アイルランドで購入した物品の免税手続きに立ち会う機会がありました。
日本に住む人の場合、EU圏から出る時に、つまり日本への直行便に乗る時にはヒースロー空港で免税手続きを行う必要があるのですが、アイルランドのHorizon Cardという奴がくせ者で、かなり面倒くさいです。アイルランドで免税品を購入する時に、Horizon Cardで管理してもらうと、ダブリン空港で手続きするのは便利らしいですが、英国の空港で手続きをする場合は最悪です。注意が必要です。

まあ、色々ありましたが、無事に日本へ戻ってきました。

ベルファスト呑み会

2019-06-21 | 雑記
昨日は、私、私の同居人の先生、航空自衛隊の医官の先生、岡山大学医学部の学生さん達で呑み会をしました。
私も含めて日本の医師免許所持者が3人、日本の医学生が2人という構成でしたから、おそらくかつてないほどの日本の医療関係者率の高さでした。というか、もしかすると日本の医師が3人も滞在している(観光ではなく)というのは、英国北アイルランド史上初めてではなかろうか。しかも、医学生が2人もいるのですから。なかなか珍しい状況だと思われますね。

ぼちぼち私が日本に一時的に帰国するので、おそらく最初で最後の機会でしょう。私もかなり変人の奇人なのですが、昨日のメンツも色々と変わった方が多くて、興味深い呑み会でした。楽しかったです。

City of Belfast Youth Orchestraの演奏を聴きにUlster Hallへ

2019-06-16 | 留学全般に関して
6月15日夜にベルファストの中心部にあるアルスターホール Ulster Hallで、ベルファスト市若手オーケストラCBYO (City of Belfast Youth Orchestra)の演奏を聴きに行きました。
お目当てはアントニン・ドヴォルザークの『新世界から From the New World』(交響曲第9番)。私はこういう演奏会に積極的に足を運ぶような人間ではないのですが、友人やら同居人やらに連れられて、ここ最近はこの街で演奏を耳にすることが多いです。ドヴォルザークという名前を知らなかったとしても、誰もが一度は必ず耳にしたことがあるであろう『新世界から』を第一から第四楽章まで聴いてきたのでした。

時には昔の話をしましょうか。
私は小学生の頃に一時期ピアノを習っていました。しかし、親には申し訳ないような気もしますが、当時の私はまるで微塵もピアノに興味がなく、小学校の音楽のテストでひどい点数をとったものでした。そのうち野球や将棋に関心が出てきて、一方でピアノは完全に忘れられていきました。実家には誰も弾かなくなったピアノが今もポツンと残されています。
あの頃の私には、音楽を楽しむことが出来なかったのです。

だから、正直、私にはオーケストラとして演奏が上手いのか下手なのかはよく判りません。リズムや音階が合っているような合っていないような、ただ、なんとなくその調べに身を委ねてきただけです。すこし皮肉なことに、大人になってしばらくしてから、すこしずつ音楽を楽しむことが出来るようになってきた気がします。

それにしても演奏している楽団の皆さんの楽しそうなこと、楽しそうなこと。
「人生を楽しむとはこういうことさ」と。
なんだか、そんなことを言われたような気がしました。

大谷選手のサイクル安打達成の凄さについて

2019-06-14 | 雑記
野球というスポーツは英国では全くといっていいほど人気がありません。スポーツとしての知名度はある程度はあるものの、「ああ、アメリカで人気あるスポーツね」という感じです。野球と似ているスポーツとしてクリケットがありますが、英国ではそちらの方が人気なのです。したがって、大谷選手のサイクル安打達成というニュースに興奮するのは、たぶん、日本から来ている留学生くらいでしょう。
もちろん、私もその1人です。

私は少年野球をやっていて、県大会を何度か制覇したチームに所属していました。知人で甲子園に出場した者もいました。したがって、野球の世界において、大谷翔平選手がどれほど特異な存在で、今回のサイクル安打がどのくらい凄いのか、薄々ではありますが理解することができます。甲子園に出場することがどれほど難しいか、NPBプロ野球選手になって活躍するのがどれほど難しいか、MLBで活躍するのがどれほど難しいか、そのハードルの高さがなんとなく感覚でわかることが出来ますから。さらに、投手としても、打者としても活躍するのは…。
まあ、ここで彼のすごさを詳しく説明することは省きますが。
とにかく、彼は凄いのです。

この「どのくらい凄いのかが判る」というのは、意外と大事であるような気がします。
例えば、私は芸術関係に疎いので、ピカソの画を見ても、どこがどう凄いのかがよく判らず、困惑することがあります。また、モーツアルトのレクイエムを聴いても、どこがどう凄いのかが、イマイチよく判らないのです。
「凄いものが、どう凄いのか、理解する」というのは、なかなかどうして難しいのかもしれませんね。

研究の世界もそうです。おそらく世間一般の方は、例えば日本人で初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進博士が「どう凄いのか」がイマイチ判っていないのではないかと思います。医学研究者になると、免疫や分子生物学が専門でなかったとしても、彼の業績の偉大さがすこしは判るので、そのあまりの頂の高さに呆然としてしまうのですが。

凄さが判るようになるのは、ちょっと、大変です。

最近ちょっと…

2019-06-13 | 雑記
最近、我が家の鏡をのぞくと、自分の顔がすこし丸く見えることに気付いてはいた。

いや、まさか、そんな…
そんな馬鹿な…、ありえないよね、ハハ…

決して認めたくないことだけれども、しかし、研究者たるもの現実の観察結果には常に敬意をもって、主観を排して、客観的に評価すべきである。つまり、太ってきたのである。
太ってきたのである(大事なことだから二度言う)。

近頃食事量が増えているのはたしかだったけれども、そんなに太るとは思ってはいなかった。暴飲暴食だったかもしれないと言えば否定はできないが、周囲と比較しても、そんなに無茶苦茶な食生活を送っているわけではないと思われる。

そもそも英国は「肥満大国」である。よくWHOのデータが引用されるが、BMIが30以上の肥満な成人が28.1%であり、子供の肥満率も高いことで知られている。つまり、今、英国の地にいる人たちは太っている方々が実に多いのである。
それは何故か。考えられるのは、英国の文化や食習慣と肥満との関係性である。
つまり、アフタヌーンティーにガバガバと砂糖をぶち込み、朝昼晩三食をフィッシュ・アンド・チップスのような脂ぎったものを食べて、夜はパブではしゃいでいれば、人間は太るのである。たぶん。

まあ、言い訳はともかくとして、すこし食生活と運動習慣を見直したいと思います。

A sound mind in a sound body.
(健全な身体に健全な精神が宿る)