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グローカルイースト視点
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高橋冨士信 fj鷹@gmail.com

自動運転実験各社華やかであるがグローカル問題お忘れなく

2018年02月24日 | 時事・歴史
車の自動運転実験が各社華やかに展開していますが、グローカル問題をお忘れにならないように記録しておきましょう。

自動運転技術は大きく2つの要素に分かれます。ひとつは事故を起こさないための衝突防止・回避技術、もうひとつは測位・地図情報技術です。

このうちの前者はローカルな技術です。高速で走っているとしても自動車事故の原因が生起し、事故が発生し、被害が広がる範囲は大きく見ても半径数百mの範囲なのでしょう。これを越えるような大規模かつ甚大な事故発生の可能性が自動運転において高いようでは、そもそも自動運転などは人類のためにならない暴発的な技術になってしまいます。人類の名において、そのような非社会的・反人類的な暴発内在技術の不遜な実用化についてはあきらめるべきです。ロボット社会などにおいてのみ使用可能な技術であるというべきでしょう。従って前者はローカルな技術であるべきと考えます。

こうしたローカルな技術については、日本企業は長年蓄積してきた種々の得意なローカルな技術を結集し安全かつ高性能な新技術を創出することができるでしょう。また現在のローカルな特区などでの実験でその高性能を確認することも可能と思われます。日本企業はこの分野では主導的な役割を果たしうるといえるでしょう。

一方の実時間測位・地図情報技術については、地球的規模に依存する本来的にグローバルな技術です。現在の実験用の特区とはある限定された空間と時間においての実験に限定されるでしょう。つまりグローバル技術がローカルに限定されて使用されます。特に測位衛星についてはわが国はQZSSみちびきにおいてやっと立ち上がったところであり、長年かかるはずのきめ細かい技術蓄積や人材育成は極めて不十分です。

また地図情報においても日本列島とその周辺・関連地域については技術経験も人材育成もしっかりあると思われますが、言葉の意味どおりのグローバルな地図情報ついては、インターネットを利用した世界規模の地図情報に依存せざるを得ないでしょう。

つまり前者と後者は全く異なる性格を持った技術です。前者と後者の両方の技術を有するかのように表明することは、先に述べた暴発を内在した技術実用化と同様の不遜なことというべきでしょう。

当然にAI技術を活用しての実験や学習の蓄積をしていると思いますが、特区を利用した自動運転実験では、その特区特有の技術の改良・学習がなされてしまうと思われます。本来グローバルであるべき自動運転技術がローカルな、もう少しいえばグローカルなAI学習結果を誘発するというグローカル問題が内在してしまうと思います。このグローカル問題をどのように人材育成して克服するかについて着実に長期戦略を固めることが何よりも重要というべきでしょう

それではマーケットを日本列島内に限定すれば解決しそうではありますが、おそらく日本列島内は「安全・安心」信仰ともいうべき保守的指向が地球上で最も強い地域といえるので、マーケットやニーズの開拓は他の地域よりも大きく遅れることを覚悟せざるを得ないでしょう。日本列島におけるiPhoneガラパゴス新状況からも、このことは明らかです。

学生相手など若い人相手の講義・講演など持たれる場合には、学生にiPhoneかどうかを挙手させて理由を尋ねてみることをお薦めします。理工系学生でも8割前後はiPhone所有に手を挙げることがわかります。若い理工系学生の選択理由は、皆が持っているから、iPhoneは安心だからと答える人が多数派です。若い人がこうした保守性を強く有することは、わが国の自動運転の将来展望やマーケット・ニーズ開発を厳しいものにするでしょう。

華やかにニュースに流れる自動運転についての楽観論について、現時点で敢えて厳しくグローカル問題について指摘させて頂きました。
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