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石川温「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」

2009-05-07 07:09:53 | 参考書
「iPhone」と「Androidケータイ」の登場により賑わいを見せるスマートフォン業界。
iPhoneとAndroidは世界の市場でどういった位置づけなのか、
日本に与える影響はどのようなものなのかを探るべく、
石川温著『グーグルvsアップル ケータイ世界大戦』(2008年10月)を読んだ。

2008年8月上梓のため情報は古く、数値情報は若干少ないが、
直接取材によって得られた情報をちりばめながら
各プラットフォームの状況が平易な文章でつづられ、非常に分かりやすい。
業界動向を知る入門書として最適な一冊だ。

本書を読んで、日本の将来像を「スマートフォン一色の世の中にはならないが、
通信会社が積極的に提供する事で、ヘビーユーザだけが利用する状態から
もう少し(10人に1人くらい?)広がりを見せる」と思い描いた。

以下、本書から読み取った事を備忘録として列記。
・世界のOSはSymbian、LiMo(Linux系)、Android、iPhoneOSが代表例。
・Appleは、iPhoneの販売地域を拡大しグローバル展開を行いつつ、
 APP storeでのアプリ提供により販売地域に合わせたローカライズを行う。
 端末、サービス、プラットフォーム、アフターフォローまでの垂直統合モデルを志向。
 レベニューシェア(通信料の一部徴収)から販売奨励金モデルへ転換し、
 販売拡大を図る。(日本のSBは両方負担している?)
・グーグルは、広告ビジネスによる収益拡大を狙い、
 良質なサービス提供が行いやすいプラットフォームの構築を行う。
 より多くの人が広告に触れやすいよう、ユーザのコミュニケーションを妨げず、
 玄人ユーザから一般ユーザへの利用拡大を狙う。
 「グーグルフォン」の共同開発等、一部は端末開発に踏み込むが、垂直統合を志向しない。
・Android、iPhone、Symbianは、サービスの主導権を通信会社以外が握り、
 通信会社は「土管屋」(ネットワークのみ提供)になりがちである。
 LiMoは通信会社主導で、既存サービスの低コスト化を図る。
・日本の通信会社にとっては、AndroidやiPhoneの導入は
 キャリア主導の垂直統合モデルの解体にもつながるが、
 ユーザ増に伴う要望多様化へ対応し、ARPUおよび広告収入の増加を狙う。
・プラットフォームのオープン化により、
 開発期間の短縮やコスト削減が期待される。
・垂直統合モデルのiPhoneを除き、
 画面の大きさや搭載機能等がバラバラの端末が供給されるAndroid等は、
 オープン化の恩恵をどこまで受けられるか疑問が残る。
・供給コンテンツの増加により、著作権をもたず単に配信しているだけの
 コンテンツプロバイダーは淘汰されていく可能性がある。

グーグルvsアップル ケータイ世界大戦 ~AndroidとiPhoneはどこまで常識を破壊するのか
石川 温
技術評論社

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