<はじめに> 7月5日、中国海洋調査船「向陽紅22」が沖ノ鳥島北方の海域にブイを設置した旨公表。この海域は日本の排他的経済水域で囲まれた海域で公海ではあるが、海洋法上日本の大陸棚として認められている海域。中国側は「津波観測用で日本が大陸棚に対して有する主権的権利を侵害はしない」としている。しかし、1)この海域は公海上ではあるが、中国はここを日本の大陸棚の上であることを承知していながら、事前に日本側に了解を求めることなく、かなり大きなブイを設置したことは認められない。2)また、ここは公海上であり、ブイの設置は自由で安全な公海を妨害するので、撤去を求めるべきであろう。中国側はこのブイを「津波観測用」としているが、西の沿岸は日本であり、東はハワイ、米国であるので、中国大陸とは関係のない第3国に影響する情報観測を目的とした敷設物であるので、敵対的なものと見做されるので撤去を求めるべきであろう。
またこのような不正な行為を、国際機関である海洋法裁判所(本部ハンブルグ)や国際司法裁判所(本部ハーグ)に即時撤去を求めて提訴すべきであろう。同時に、安全確保の観点から、航路標識を兼ねて日本としても中国側ブイの周辺に複数のブイを構築するなどの迅速な対応が望まれる。
このような観点から、本稿を再掲する。
シリーズ平成の本音―日本沿岸の中国漁船は政府公認の密漁船団だ!
2014年11月4日、海上保安庁は太平洋岸の小笠原諸島から伊豆諸島にかけての海域で中国漁船を205隻(3日現在)確認したと発表した。小笠原諸島は東京から南南東約1,000キロの太平洋側の海域にあり、周辺に103隻(内領海内に約59隻)、更に近海の伊豆諸島の鳥島(東京の南方約580キロ)の南に102隻(領海内1隻)が集結していたとされる。これらの船は、全て領海から200海里(約370キロ)の排他的経済水域(EEZ)内にいたが、中国では古くから珍重され極めて高価な赤珊瑚を密漁する目的と見られているが、外国人漁業規制法やEEZ漁業法は、領海での外国人の操業や、EEZでの無許可操業を禁じている。これは国際的に認められている海洋法規である。
その上、これらの中国密漁船は、海底300~400mの赤珊瑚を根こそぎ採取する原始的な漁法を用いており、1年に1mm程度しか成長しない赤珊瑚の生息地域の著しい環境破壊に繋がると危惧されている。なお、中国自体が自然保護の観点から赤珊瑚自体の捕獲を禁じているので、赤珊瑚の保護に必要性を知った上での日本海域内での無法行為ということになり、このような中国の密漁、無法行為を世界に訴えるべきところだ。
1. 大型台風20号接近で中国密漁船、無申請で島領海内へ
このような中で、勢力の強い台風20号が北上し、6日前後に中国密漁船が集
結している伊豆諸島周辺に向かうことが予想されていたが、中国密漁船が周辺の諸島に避難し、場合により船員が上陸することを島民が恐れていた。
所管の国交省(海上保安庁)は取締を強化するとしており、また一部の島には警察が増派されている。このような中で、太田国交相は、4日の閣議後、‘中国漁船に同海域から退避するように発信している。・・・(島などに)上陸しないように厳重な指導を基本方針にして臨む’と表明していたが、翌6日、人道上、島への上陸は認めないが、領海内の緊急避難的な停泊は認めるとした。
中国密漁船は、台風が近づいている6日、ほとんどが南東方面に退避したようだが、13隻が島の領海内に漂泊していた。領海内への避難申請などは行われていない。
しかし、もし日本側が島領海内への避難を認めない場合、中国側は日本への非難を強める可能性が強く、になる可能性がある。
日本としては、日中間の非難の応酬などを避けるためにも、事前の同海域からの退避を警告する一方、人道上の観点から台風被害から逃れるための島領海内への緊急避難を容認したことはやむを得ない事であろう。
しかし、島の領海内に無申請、無許可で入った中国船については、容認するとしても、申請を行うよう注意喚起するべきであろう。また万一中国船の船員が島に上陸等した場合には、赤珊瑚の密漁の可能性を日本当局が検査し、その疑いがある者は日本のEEZ内での不法な密漁として船員を逮捕等するよう措置すべきであろう。
このような中国船による日本のEEZでの密漁や資源の乱獲等は無法、不法な行為であり、また申請もなく領海内に侵入し停泊等することは初歩的な国際規範の侵害であるので、中国政府に対し強く注意を喚起、警告するべきであろう。
このような国際規範を守らない中国の無法な姿勢は西沙諸島や南沙諸島を巡り、ベェトナムやフィリピン等との関係においても見られおり、国際社会への懸念要因となっている。
2. 中国政府は安倍政権の足元を見透かしているのか?
2012年12月、安倍首相が2回目の政権に就いて以来、尾を引いていた尖閣列島問題に加え、靖国神社参拝や歴史認識、対抗的な安全保障姿勢等を巡り中国との緊張が激化し、習近平中国主席と国際会議における儀礼的な握手程度を除き首脳会談が実現しない状態が続いている。
11月10、11日に北京で太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるので、日本側としてはその際に日中首脳会談を実現したいところだが、6日現在決定していない。米中首脳会談は決定していることが明らかになっており、国際会議主催国が多くの国と2国間の首脳会談を行うのが慣例だ。
連立与党内にも日韓に加え、日中首脳会談が行えない状態が政権発足後2年近く続いていることに懸念を示している。緊張を高めるばかりで、安全保障環境にも有害だ。もっともそれが日本の防衛力強化や集団的自衛権議論を含む日米同盟強化に追い風になっていることは皮肉でもある。
今回、会談形式等は別として、北京で日中間の首脳会談は実現するであろう。国際会議の主催国が参加国首脳から会談要請があれば、会談するのが儀礼であろう。
また福田元首相が7月と10月末に訪中の際、2度に亘り習主席と会談している。異例だ。7月の訪中は、中国で開催された非政府の国際会議に日本側理事長として出席したものだが、習主席との会談の際、安倍首相よりの親書が手渡された模様だ。首脳会談への呼び掛けであろう。それを受けて、福田元首相は再度訪中し、10月29日に習主席と会談している。恐らく7月の会談結果を受けて、首脳会談開催に向けての日本側の考え方を伝え、首脳会談実現を促したのであろう。それでも7日現在、会談は決まらず、谷内内閣官房国家安全保障局長が訪中した。首脳会談の形式的、事務的な詰であろう。
福田元首相が2度に亘り直接習主席に首脳会談を促しているので、まさか中国側も同元首相の顔を潰すような首脳会談拒否はしないであろう。
しかし日本側が首脳会談実現に執着していることは中国側にも見え見えであろう。中国の密猟漁船問題でも、日本側が中国を刺激するような行動はしないと足元を見られていても不思議はない。(2014.11.07.)(All Rights Reserved.)
その上、これらの中国密漁船は、海底300~400mの赤珊瑚を根こそぎ採取する原始的な漁法を用いており、1年に1mm程度しか成長しない赤珊瑚の生息地域の著しい環境破壊に繋がると危惧されている。なお、中国自体が自然保護の観点から赤珊瑚自体の捕獲を禁じているので、赤珊瑚の保護に必要性を知った上での日本海域内での無法行為ということになり、このような中国の密漁、無法行為を世界に訴えるべきところだ。
1. 大型台風20号接近で中国密漁船、無申請で島領海内へ
このような中で、勢力の強い台風20号が北上し、6日前後に中国密漁船が集
結している伊豆諸島周辺に向かうことが予想されていたが、中国密漁船が周辺の諸島に避難し、場合により船員が上陸することを島民が恐れていた。
所管の国交省(海上保安庁)は取締を強化するとしており、また一部の島には警察が増派されている。このような中で、太田国交相は、4日の閣議後、‘中国漁船に同海域から退避するように発信している。・・・(島などに)上陸しないように厳重な指導を基本方針にして臨む’と表明していたが、翌6日、人道上、島への上陸は認めないが、領海内の緊急避難的な停泊は認めるとした。
中国密漁船は、台風が近づいている6日、ほとんどが南東方面に退避したようだが、13隻が島の領海内に漂泊していた。領海内への避難申請などは行われていない。
しかし、もし日本側が島領海内への避難を認めない場合、中国側は日本への非難を強める可能性が強く、になる可能性がある。
日本としては、日中間の非難の応酬などを避けるためにも、事前の同海域からの退避を警告する一方、人道上の観点から台風被害から逃れるための島領海内への緊急避難を容認したことはやむを得ない事であろう。
しかし、島の領海内に無申請、無許可で入った中国船については、容認するとしても、申請を行うよう注意喚起するべきであろう。また万一中国船の船員が島に上陸等した場合には、赤珊瑚の密漁の可能性を日本当局が検査し、その疑いがある者は日本のEEZ内での不法な密漁として船員を逮捕等するよう措置すべきであろう。
このような中国船による日本のEEZでの密漁や資源の乱獲等は無法、不法な行為であり、また申請もなく領海内に侵入し停泊等することは初歩的な国際規範の侵害であるので、中国政府に対し強く注意を喚起、警告するべきであろう。
このような国際規範を守らない中国の無法な姿勢は西沙諸島や南沙諸島を巡り、ベェトナムやフィリピン等との関係においても見られおり、国際社会への懸念要因となっている。
2. 中国政府は安倍政権の足元を見透かしているのか?
2012年12月、安倍首相が2回目の政権に就いて以来、尾を引いていた尖閣列島問題に加え、靖国神社参拝や歴史認識、対抗的な安全保障姿勢等を巡り中国との緊張が激化し、習近平中国主席と国際会議における儀礼的な握手程度を除き首脳会談が実現しない状態が続いている。
11月10、11日に北京で太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるので、日本側としてはその際に日中首脳会談を実現したいところだが、6日現在決定していない。米中首脳会談は決定していることが明らかになっており、国際会議主催国が多くの国と2国間の首脳会談を行うのが慣例だ。
連立与党内にも日韓に加え、日中首脳会談が行えない状態が政権発足後2年近く続いていることに懸念を示している。緊張を高めるばかりで、安全保障環境にも有害だ。もっともそれが日本の防衛力強化や集団的自衛権議論を含む日米同盟強化に追い風になっていることは皮肉でもある。
今回、会談形式等は別として、北京で日中間の首脳会談は実現するであろう。国際会議の主催国が参加国首脳から会談要請があれば、会談するのが儀礼であろう。
また福田元首相が7月と10月末に訪中の際、2度に亘り習主席と会談している。異例だ。7月の訪中は、中国で開催された非政府の国際会議に日本側理事長として出席したものだが、習主席との会談の際、安倍首相よりの親書が手渡された模様だ。首脳会談への呼び掛けであろう。それを受けて、福田元首相は再度訪中し、10月29日に習主席と会談している。恐らく7月の会談結果を受けて、首脳会談開催に向けての日本側の考え方を伝え、首脳会談実現を促したのであろう。それでも7日現在、会談は決まらず、谷内内閣官房国家安全保障局長が訪中した。首脳会談の形式的、事務的な詰であろう。
福田元首相が2度に亘り直接習主席に首脳会談を促しているので、まさか中国側も同元首相の顔を潰すような首脳会談拒否はしないであろう。
しかし日本側が首脳会談実現に執着していることは中国側にも見え見えであろう。中国の密猟漁船問題でも、日本側が中国を刺激するような行動はしないと足元を見られていても不思議はない。(2014.11.07.)(All Rights Reserved.)
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