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美しい姿勢・歩き方は腰痛・膝痛・肩こりを改善する

腰痛は体の使い方を少し間違えていただけ-昔のおじぎと現代人のおじぎの違いを解説します

胸を張った方が大きく息を吸えるか?

2016-02-10 12:37:16 | Q&A
ラジオ体操では「胸を開き、大きく息を吸いましょう」などと言われますよね。
でも、「胸を張ると、吸える量が減るんだけど?」と思った方はいませんか?

胸を張る(胸椎を伸展する)と、通常なら「肋間が広がるので、大きく息が吸える」はずです(図13-2を参照)。
しかし、そうなるのは、実は「胸~みぞおちの皮膚や腹斜筋の筋長が十分ある」場合に限られるのです。

胸椎を伸展すると、その分脊椎カーブ↓となるので、胴体は伸びます。
ところが、このとき「胸~みぞおちの皮膚や腹斜筋が短縮している」と、「胴体が伸びた分の皮膚や筋長」をなかなか工面できません。

すると、皮膚や筋長を工面するために「胸郭がふくらむのをあきらめる」場合があるのです(注1)。
つまり、「胸郭がふくらむ分」の皮膚を「胴体が伸びた分」に回してしまうのです。
しかし、これだと大きく息を吸うことはできなくなります。

ですから、まだ「胸~みぞおちの皮膚や腹斜筋が短縮している」場合は、「おじぎエクササイズ」や「座位での呼吸エクササイズ」であっても、胸椎伸展しすぎないようにしましょう。

ちなみに「皮膚が足りないとはいっても、下腹部の皮膚は余っていて、しわがよったりたるんだりしているけど?」と思った方もいると思います。
その場合は、「腹横筋下部を50%位収縮させ、下がった内臓を持ち上げる」ようにすると、内臓とともに下がった皮膚も持ち上げることができます。
そうすれば、不足しがちな「胸~みぞおちの皮膚」の量を増やすことができます(一方で、下腹部の皮膚はややつっぱり、へそがたてに伸びます)。
ただし、腹斜筋が短縮している場合は、腹斜筋の短縮が改善しない限り、どうしようもありません。


(注1)「皮膚や筋長が足りないのであれば、椎間板をつぶすことで、胴体が伸びる量を抑える」という場合もあります。
すると、背骨のあたりが痛くなります。特に胸椎(背中)が痛くなることが多いです。

もちろん、「胸郭がふくらむのをあきらめる」と「椎間板をつぶすことで、胴体が伸びる量を抑える」の両方を採用する場合もあります(図26-2 ×5を参照)。

後頭部が痛くなるかみ方

2016-02-06 10:42:17 | Q&A

咀しゃくは、通常「咬筋の収縮によって、下顎が持ち上がり上顎にぶつかる」ことで成立します。
ところが、腹筋の短縮などによって下顎が下に引かれると、「咬筋が強く収縮しないと下顎を持ち上げることができない」ので、咬筋が過労になりがちとなります。
すると、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となります。
よって、うまく噛めなくなったり、「咬筋が疲れるのであまり使いたくない」と感じるようになります。

そのためか、「咬筋を使わない噛み方」をしている方が時々います。
それは、「口を開ける際は上顎(頭蓋骨の方)を持ち上げ、口を閉じ噛む際は上顎を下顎の上にのせる」という方法です(図30-2を参照)。

しかし、それだと「口を開ける際は後頭部~上部頚椎を伸展し、口を閉じ噛む際は屈曲する」という具合に、激しく動かすことになります。
よって、「後頭部~上部頚椎を動かす筋肉」が疲労→短縮したり、「後頭部~上部頚椎の関節」が変形したりするので、痛くなってしまいます。

それに、「咬筋を使わない噛み方」では、ただ「下顎の上に上顎をのせる」だけなので、硬いものをかみ砕くのは難しいです。
それでも、日ごろの食事に硬いものがなければ、このような噛み方を続けてしまうと思います。
しかし、そうこうしているうちに、咬筋が弱ってしまう場合もあります。
すると、久しぶりに硬いものを噛む機会があったときに、かみ砕くことができません。

「咀しゃくの際、頭や首を上下に動かす」くせがある場合は、「咬筋を使わない噛み方」になっていると考えられます。
この噛み方を通常の噛み方になおすには、「咀しゃくの際は、頭や首を動かさず、咬筋を収縮させることで下顎を持ち上げる」ようにします。
子供の場合は、食事の際、親が注意してあげればよいと思います。
ただし、腹筋の短縮などがあればそれを改善した上で行わないと、なおしにくいですし、無理になおすと今度は咬筋が過労になってしまいます。

すでに咬筋が弱り、硬いものを噛めなくなってしまったのであれば、咬筋を鍛えてもよいです。
しかし、咬筋を鍛えるといっても、「とにかく硬いものを、精一杯の強さで、長時間噛めばよい」というわけではありません。
まだ咬筋が弱っているのに、硬いものをよく噛んだり、長時間噛んだりすると、咬筋が過労になります。
すると、やはりA~Bになってしまいます。
ですから、「咬筋を50%位収縮させるトレーニング」を短時間行うとよいです(詳しくは「咀しゃくと腹筋の短縮」の項を参照)。

咬筋が弱っている場合は、50%というと「かなり弱く噛む」ことになります(注1)。
それでもそうしていると、しだいに筋肉がついてくるので、50%の強さで噛んでも、いつのまにか以前より強く噛んでいます。
「硬いものをよく噛めば、硬いものを噛めるようになる」わけではなく、「その人の筋力に合わせて上手に鍛えると、硬いものを噛めるようになる」のです。

50%より強い強度で鍛えても、体調や血行がよければ筋力がつく場合もありますが、悪ければA~Bになったり、筋けいれん(歯ぎしり)を起こしてしまったりします。よって、一番安全なのは、50%位の強さにとどめておくことです。

(注1)あまりに弱っている場合は「仰向けの姿勢で弱く噛む」とよいです。
仰向けになると、重力の影響が少なくなるので、下顎を上顎の方へ引き寄せやすくなります。
それに、仰向けだと、上顎(頭蓋骨)の方は動かしにくくなります。

かみしめと腹筋の短縮

2016-02-03 11:13:01 | Q&A
腹筋の短縮などによって胸郭が下がると、下顎も下に引かれるため、ふだん口を閉じているのも大変になります(図30-1を参照)。
しかし、口が開いたままだと、口内やのどが乾燥し、風邪をひきやすくなったりします。

ですから、やはり多くの方は口を閉じるし、子供にも口を閉じるよう指導すると思います。
ところが、下顎が下に引かれると、「口輪筋(口を閉じる筋肉)の力だけで口を閉じる」のは難しいことが多いのです。

よって、「咬筋(噛む筋肉)が収縮することで口を閉じる」ことになります。
すると、咬筋が長時間収縮することになり、関節円板が長時間つぶれたままになるので、顎関節症になってしまいやすくなります。
それに、咬筋が過労になるので、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となってしまいます。

「それならば、口輪筋を鍛えれば、咬筋が収縮しなくても口を閉じられるはず」とも思えます。
しかし、本来、口輪筋は強い筋肉ではないので、「腹筋の短縮などによって下顎が下に引かれている状態」だと、過労になりやすいです。
すると、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となってしまいます。

口輪筋は「口唇周囲にはりついている、輪ゴムのような形の筋肉」なので、Aに近い状態になれば「口まわりに、口をすぼめたときにできるような放射状のしわがよる」ことになり、Bに近い状態になれば「口まわりがたるむ」ことになります。
そのため、結局は、「咬筋が収縮することで口を閉じる」ことになってしまうのです。

なお、「腹筋が短縮していないため、咬筋を収縮させずに口を閉じている人」(正常な人)は、ふだん「口唇は閉じているが、上の歯と下の歯はわずかに離れている」状態になります。
しかし、「咬筋が収縮することで口を閉じている人」の場合は、「歯がついている」状態になりやすいです。

そこで、部屋のあちこちに「歯を離す」などと書いた紙を貼り、それを見るたびに歯を離すトレーニングが流行っているようです。
そうすれば、「咬筋を収縮させずに口を閉じる」よう、習慣づけられそうにも思えます。

しかし、「腹筋の短縮などによって下顎が下に引かれている状態」だと、咬筋が収縮することで口を閉じざるをえないので、形だけ「歯が離れた状態」をつくっても、咬筋が収縮してしまうことに変わりはありません(注1)。
それどころか、さらに「口を開ける筋肉」が収縮し、疲労→短縮してしまう場合もあります。

ですから、「咬筋を収縮させずに口を閉じる」には、やはり大元の原因である「腹筋の短縮などによって胸郭や下顎が下がる」事態を改善することが大切です(具体的方法は「咀しゃくと腹筋の短縮」の項にある①~②を参照ください)。

ちなみに、「かみしめる(咬筋を持続的に収縮させる)と全身の筋肉が収縮してしまうので、長時間に及ぶと全身のこりや痛みの原因になる」という説もあります。
しかし、実は、「ストレス→腹筋収縮」の時点で、すでに体は戦闘態勢に入っているので、全身の筋肉が収縮しやすくなっています。
また、筋肉同士は筋膜などを介してつながっているので、腹筋が収縮すれば、他の筋肉も収縮しやすくなります。
それに、姿勢保持の観点からみても、腹筋が収縮(短縮)すれば、バランスをとるために背筋なども収縮(短縮)しやすくなります(詳しくは「いろいろな脊椎カーブ」の項を参照)。


(注1)「なぜかかみしめたくなる」「特に硬いものを噛んだわけでもないのに顎関節あたりが疲れる」などという場合は、「腹筋が収縮(短縮)してきたために、咬筋が収縮しやすくなってきている」サインであることが多いです。

咀しゃくと腹筋の短縮

2016-01-30 11:09:42 | Q&A

「嚥下」(飲み込み)は、のど仏(甲状軟骨など)が「ゴクン」と持ち上がることで成立します。
「咀しゃく」(噛むこと)は、咬筋の収縮によって、下顎が持ち上がり上顎にぶつかることによって成立します。

しかし「腹筋の短縮などによって胸郭が下がる」と、のど仏や下顎も下に引かれ、持ち上がりにくくなってしまいます。
よって、「嚥下」や「咀しゃく」に悪影響となるのです。

「それでは、硬いものをよく噛んで、咬筋を鍛えればよいのでは?」とも思えます。
しかし、実際はそううまくはいかないことも多いのです。

下顎が下に引かれている(=強い負荷がかかっている)状態でよく噛むと、咬筋が過労になるので、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となりやすくなります。

咬筋がAに近い状態になると「咬筋がしっかり弛緩しないので、口が大きく開かない」となります。
咬筋がBに近い状態になると「咬筋がしっかり収縮しないので、硬いものが噛めない」となります。

しかし、多くの方はA~Bの中間「口が大きく開かず、硬いものも噛めない」となります。
でも、咬筋というのは、「噛むときはしっかり収縮し、口を開くときはしっかり弛緩する」のでないと困ります。

それに「咬筋がしっかり弛緩しない」と、単に「口が大きく開かない」だけでは終わりません。
顎関節には、関節円板(クッションの役目をするもの)がはさまれています。
咬筋が短縮すると、「関節円板が長時間つぶれたままになったり、居場所がなくなってずれたり、口を開くたびにこすれたりする」ので、顎関節症になってしまいます(注1)。

ですから、やはり大元の原因である「腹筋の短縮などによって胸郭が下がる」事態を改善することが大切です。
そのためには、下記①~②を行うとよいです。
①「呼吸エクササイズ」などを行い、短縮した腹筋や皮膚を緩める。
②「腹横筋下部を50%位収縮」させ、内臓を持ち上げる。
内臓が持ち上がると、それに押されて胸郭も持ち上がりやすくなります。

それができたら、③最初のうちは咬筋を休ませる。疲労が回復したら「咬筋を50%位収縮させるトレーニング」を短時間行う のもよいです。

咬筋がA~Bの状態になってしまったら、トレーニングよりもまずは「血行をよくし休ませる」ことが大切です。
また、トレーニングの種類は、「咬筋を持続的に収縮させ、かみしめる」のではなく「リズミカルに収縮・弛緩を繰り返す」運動がよいです。
そして、終了時には「顎関節の表面をさすり、咬筋が弛緩しているのを確認する」とよいです。
なぜなら、本来、咬筋は骨盤底筋と違い、持続的に収縮させる筋肉ではないからです。
「かみしめる」(咬筋を持続的に収縮させる)習慣がついてしまわないようにすることが大切です。

ちなみに、「口が大きく開かないなら、しばらく口を開けたままにして、咬筋をストレッチすればよい」と考える方もいると思います。
が、筋肉はストレッチしすぎると「断裂や防衛反応が起こり、かえって短縮してしまう」場合がありますし、「顎関節を壊してしまう」場合もあるので、注意が必要です(「セルフストレッチで筋肉を緩める」「筋肉は強く伸ばさない方がいいのか?」の項を参照)。


(注1)咬筋が短縮していなくても、咬筋が収縮すれば、関節円板はつぶれます。
しかし、正常なら、咬筋が収縮するのは「噛むとき」だけです。
それならば、関節円板がつぶれるのも短時間なので、大丈夫です。

なお、咬筋が過労すると、短縮するだけでなく「歯ぎしり」も起こしやすくなります。
筋肉は、過労したり血行不良だったりすると、「筋けいれん」(筋肉が強く収縮し、制御不能になること)を起こすことがあるからです。
「筋けいれん」は、夜間に起こることが多いです。
ふくらはぎだと「脚がつる」(こむら返り)、脊柱起立筋群だと「突然の腰痛」(腰椎がすべり症など)、咬筋だと「歯ぎしり」となります。
ひどいと「歯が割れたり、顎関節が壊れてしまう」こともあります。

骨盤底筋を鍛えれば尿もれはなおるか?

2016-01-27 10:52:29 | Q&A
内臓が骨盤底筋にのしかかったとしても、骨盤底筋を鍛えれば「骨盤臓器脱」や「尿もれ」を防げるようにも思えます。
しかし、実際はそううまくはいかないことも多いです。

内臓が骨盤底筋にのしかかり、強い負荷をかけると、骨盤底筋は引き伸ばされるため収縮が大変になります。
しかも、内臓が骨盤底筋にのしかかると、付近を通る血管もつぶれるので、骨盤底筋が血行不良になります(注1)。

筋肉は「血行不良で、なおかつ強い負荷がかかった状態で、長時間収縮する」と、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」になってしまいます。

しかし、「骨盤底筋が完全にAになる」ということは「尿道や肛門はしまったまま開かない」ということです。
が、尿や便が全く出ないのは困りますし、危険です(注2)。

よって、そのような事態を回避するためか、B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」という場合もあります。
しかし、「骨盤底筋が完全にBになる」ということは「尿や便が垂れ流し」ということなので、それも困ります。

そこで、多くの方はA~Bの中間「完全に収縮しないわけではないが、かといって強く収縮するわけではない」というメリハリのない状態になります。
筋肉は酸素不足の状況で過労したりすると、メリハリのない状態になりやすいのです。
でも、骨盤底筋というのは、「ふだんはしっかり収縮し尿もれ・便もれを防ぎ、排泄時はしっかり弛緩し完全に排泄する」のでないと困ります。

骨盤底筋がAに近い状態になると、尿閉(尿が出ない)や便秘になります。
しかし、尿閉とはいっても「尿が完全に出ない」と危険なためか、「排尿をはじめたつもりなのにすぐ出ない」「排尿時の勢いが弱い」「残尿(排尿直後に膀胱に残った尿)の量が増える」「常にぽたぽたもれる」などの症状になることが多いようです(注3)。
また、この場合の便秘は「たとえ便が肛門付近にまで降りてきても、肛門が開かないために排便できない」というタイプの便秘になります(注4)。

骨盤底筋がBに近い状態になると、「少し尿がたまっただけ、もしくはくしゃみなどで少し腹圧がかかっただけで、尿道が開き、大量にもれてしまう」といった症状になることが多いようです。

「きつく尿道をしめて出さないようにしよう」という思いが強いとAに近くなり、逆に「尿が出なくなってしまうのも危険」という思いが強いとBに近くなると考えられます(注5)。

A~Bを改善するには、下記①~③を行うとよいです。
①「呼吸エクササイズ」などを行い、短縮した腹筋や皮膚を緩め、内臓が入るスペースを確保する(注6)。
(胸郭が持ち上がるようになり、上腹部に内臓が入るスペースができるとなおよいです)
②腹横筋下部を50%位収縮させ、内臓を持ち上げる(注7)。
③最初のうちは骨盤底筋を休ませる。疲労が回復したら「骨盤底筋を50%位収縮させるトレーニング」を短時間行う。

骨盤底筋がA~Bの状態になってしまった場合は、トレーニングよりもまずは「血行をよくし休ませる」ことが大切です。
骨盤底筋の場合は、その性質上、完全に休ませるのは難しいですが、なるべく休ませることです。
ここで「強く収縮させるトレーニング」を行うと、さらに疲労し、A~Bの症状が悪化してしまいやすくなります。

なお、「緊張で腹筋の収縮を強めてしまう人」の場合は、さらに「メンタルトレーニング」なども行うとよいと思います。


(注1)肛門付近が血行不良になると、痔などになってしまう場合もあります。

(注2)ちなみに、胃がつぶれた場合も、「噴門を完全に閉じることで、胃酸がなるべく逆流しないようにする」という方法があります。
マヨネーズの容器のふたを閉じると、つぶれても中身が飛び出しにくくなるのと同じ要領です。
しかし、食事時であっても、胃酸の逆流を防ぎたかったら、噴門を開くわけにはいきません。
すると、「食事や水がのどを通らない」病気になってしまう場合があります(=食道アカラシア)。

(注3)しかしながら「少しでも出るなら安心」というわけではありません。
中には「尿が膀胱から腎臓の方へ逆流し、腎臓を傷めてしまう」場合もあります。
本来、膀胱から腎臓へは逆流しないようになっていますが、圧力が強すぎるとそれが壊れてしまうのです。

なお、排泄異常は、脊髄の圧迫など、神経の異常が原因の場合もあります。
神経の異常が合併すると、症状がより深刻になりやすいです。

(注4)最近このようなタイプの便秘に対し、「肛門括約筋を緩める訓練」が行われる場合もあるようです。
それもよいですが、「肛門括約筋が強く収縮してしまう原因」(直腸下垂など)を取り除くことも大切です。
そのためには、本文①~②も行うとよいです。

多くの方は、便秘になると「腹筋すべてを強く収縮させ、いきむ」ことが増えます。
トイレに入ったときだけならまだしも、ふだんから「いきむくせ」がついてしまう人もいます。
しかし、「いきむくせ」がつくと、腹筋が短縮しやすくなります。
そして、便秘の原因=「つぶれて居場所を失った大腸が下方に引き伸ばされてゆがむ」「直腸下垂→肛門を強くしめる」「大腸の血流が悪くなる」なども悪化してしまいます。
よって、余計便秘になるため余計強くいきんでしまう悪循環となりがちです。
ただし、腹筋が過労でA~Bになっていると、いきむのも難しくなっています。
ここで強くいきむと、さらに疲労しA~Bが悪化してしまいやすくなります。

ですから、便秘の場合も、本文①~②を行い、「大腸の位置を正常にする」ことが大切となります。
腹筋は、ふだんは「腹横筋下部を50%位収縮させ、内臓を持ち上げる」、排便のときだけ「腹筋すべてを収縮させ、いきむ」という具合に、使い分けることが重要となります。

(注5)体の思い(くせ)なので、顕在意識の考えとは異なる場合があります。

(注6)「呼吸エクササイズ」を行うと「呼吸ポンプ」も活発になり、血流(酸素供給)も改善します。

(注7)①ができていないうちに腹横筋下部を収縮させると、余計に内臓がつぶれてしまう場合があります。
また、腹横筋であっても、上から下まですべてを収縮させてしまうと、内臓の逃げ場がなくなるので、内臓がつぶれてしまいます(「100%でなく50%で」の項を参照)。