美しい姿勢・歩き方は腰痛・膝痛・肩こりを改善する

腰痛は体の使い方を少し間違えていただけ-昔のおじぎと現代人のおじぎの違いを解説します

よいスタイルの基本2

2015-10-31 09:24:21 | 腰痛の原因
よいスタイルの基本は下記1~7です(図8-4 ○を参照)。

1 おしり(仙骨下部)を下げること → 仙骨前傾↓、大殿筋収縮
2 腰を反りすぎないこと → 腰椎前弯↓
3 猫背でないこと → 胸椎後弯↓
4 あごが引けていること → 頚椎前弯↓
5 下腹部をへこませること → 内臓が押し上げられる
6 胸郭が上がること → 胸郭がよくふくらむ
7 背すじを伸ばすこと → 胴体が長い

1~7をめざすとウエストがくびれ腰痛予防にもなります。
1~7をイメージするだけでも有効です。

腰痛の方は「2 腰を反りすぎないこと → 腰椎前弯↓」が特に重要なのは分かると思いますが、腰椎前弯↓は仙骨前傾↓とセットになるので1も重要になります。脊椎カーブ↑のはじまりは仙骨前傾↑なのです(図9-3を参照)。

「よいスタイルはヒップアップが大事なのに、おしりを下げるとはどういうこと?」と思った方も多いでしょうが、おしりを下げるようにすると大殿筋を収縮させることになるため、大殿筋が隆起・発達し結果的にヒップアップになるのです。

「ヒップアップは腰を反ること(腰椎前弯↑)で表現するもの」と思っている人は多いのですが、健康的なヒップアップは「大殿筋を発達させることで表現するもの」なのです。

よいスタイルの基本1

2015-10-21 10:33:55 | 腰痛の原因
生まれつきの骨格には個人差があります。ですから脊椎が急カーブに見えても、それがその人の生まれつきの骨格であってすべり症などを起こす恐れがないのであれば、それはその人にとっては正常な状態であるといえます。

日本人は生まれつきの脊椎カーブが欧米人などに比べ緩やかな(直線に近い)人が多いように思います。
その上大殿筋の発達が悪いため、ほとんど腰椎前弯していないように見える人も多いです。

ところが、日本人のモデルはわざと腰椎前弯を増強させ、欧米人と同じ体型に見せようとすることが多いようです。
それは欧米人にとっては正常でもその人にとっては前弯しすぎですから、一時的なものであればよいですが習慣にしてしまうと腰痛になってしまう場合があります。

また「胴体が短いと相対的に脚が長く見えスタイルよく見える」と考えている方も多いですが、胴体が生まれつきの長さよりも短くなってしまうと内臓の入る場所が減るため、内臓が横に広がることになり胴体のくびれがなくなってしまいます。
図8-4をご覧ください。

よく「腹斜筋・腹直筋を鍛えるとくびれができる」といわれますが、そうすると一番右の図のように側面は押さえられてもその分前方に突き出たスタイルになってしまうことが多いです。
側面には腹斜筋があるため、腹斜筋が押さえてくれます。
それでいくと前方には腹直筋があるのですから腹直筋が押さえてくれるはずですが、腹斜筋は2枚重ねで強力なのに対し腹直筋は1枚なので、行き場のなくなった内臓に負けてしまうことが多いのです。
全部押さえたら内臓がつぶれてしまいますから、たとえガードルで全部押さえつけたとしても、どこかしらか肉ははみ出してしまうことが多いのです。

第一、私たちの目標は「はみ出る内臓を押さえること」ではなく「くびれをつくること」だったはずです。
そのためには腹斜筋・腹直筋を鍛えるより先に脊椎カーブ(胴体)を本来の長さに伸ばすべきです(注1)。

(注1)「腹斜筋の強化はくびれづくりに不要」というわけではありません。
ただし、腹斜筋は鍛えると短縮しやすく、短縮すると胴体を縮めてしまいやすいです。
よって、「どうしても短縮してしまう」という人は、鍛えない方が害は少ないです。


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脊椎の1日-③仰向けで寝るときは

2015-10-17 17:07:24 | 腰痛の原因
筋肉の短縮がひどいと胸郭が下がったまま固まり浅い呼吸しかできないので、横になって休んでも筋肉が緩まない場合があります。
そうなると仰向けになっても脊椎カーブは伸ばされず、無理やり伸ばされた筋肉が痛くなるだけです。
痛いと緊張するため筋肉はさらに硬くなってしまいます。悪循環です。

ですから、「仰向けになると腰痛がひどくなる」という方は無理して仰向けにならないでください。
図8-3にあるように「リクライニング位や横向きで体を海老のように丸める」「仰向けで膝の下に枕を入れる」などの姿勢が楽だと思います。
つまり脚を軽く曲げた姿勢です。


○お知らせ
これまでの記事を一部加筆・減筆・修正しました。
まだ未掲載の記事やイラストの話も載せていますが、今後順次掲載していく予定なので了承ください。


脊椎の1日-②筋肉の短縮

2015-10-03 09:25:42 | 腰痛の原因
脊椎カーブの増強や椎間板がつぶれるのに追い打ちをかけるのが「筋肉の短縮」です。図8-2をご覧ください。

右は筋肉が本来あるべき長さよりも短縮してしまった状態です。左に比べ脊椎カーブが増強し椎間板もつぶれています。

どうして筋肉が短縮してしまうのでしょうか?
それは「筋肉に乳酸がたまるため」です。乳酸は運動で発生し、筋肉をカチカチに縮ませてしまうのです。
本書では乳酸がたまった結果、筋肉が縮んでしまい伸びにくくなった状態を「筋肉の短縮(筋短縮)」と呼びます。

通常、乳酸は酸素によって分解されるので、健康な人の多くは1日中様々な運動をして過ごしても筋肉は短縮しません。
むしろ少しずつ筋肉がほぐれていき、夕方には柔軟性が増しているくらいです。

ところが筋肉に十分な酸素が届かない人の場合は乳酸が分解されないため、夕方には筋肉が短縮してしまうのです。
「筋肉に十分な酸素が届かない人」とは呼吸が浅かったり血流が悪かったりする人です。
筋肉は短縮すると関節や椎間板をつぶしてしまうため体が硬くなります。

私たちの体には「特に短縮しやすく、短縮すると脊椎カーブを増強させてしまいやすい筋肉」があります。
本書ではそれを「緩めたい筋肉」と呼びます。
緩めたい筋肉は脊柱起立筋群・腸腰筋・腹斜筋・広背筋・腰方形筋の5種類です。

なお、筋短縮のひどいものは筋けいれんと呼びます。
脚がつるとふくらはぎがカチカチに収縮したままになってしまいますが、あの状態が筋けいれんです。
筋肉の短縮や筋けいれんはオーバーワークの人に起こりやすいですが、肉体労働でも筋肉に十分な酸素が届く人にはあまり起こりません。