美しい姿勢・歩き方は腰痛・膝痛・肩こりを改善する

腰痛は体の使い方を少し間違えていただけ-昔のおじぎと現代人のおじぎの違いを解説します

脊髄がつぶれる原因⑤―腰椎すべり症

2015-08-29 09:48:04 | 腰痛の原因
図7-1をご覧ください。

脊椎カーブが増強し腰椎前弯が増強すると、椎間板後方だけでなく椎間関節も圧迫されます。
すると、椎間関節付近にひびが入り骨折してしまう場合があります。
椎間関節が骨折してしまうと、とめてくれるものがなくなった椎骨は体が動く方向や筋肉が収縮する方向にすべってしまいます。

筋肉が短縮すると、その筋肉にはさまれている椎骨たちはきれいに整列していられずすべりやすくなります。
ちょうどあごが小さいとその中に歯がうまく整列できず歯並びが乱れてしまうのに似ています。

図7-2は腰椎前弯が増強したためにL4/5間の椎間関節に圧迫力がかかって骨折し骨折部より下の部分(図の水色の部分、L5・S1)が筋肉によって後上方へすべってしまった例です。

すべる前の骨折の段階も痛いのですが、すべった瞬間は脊髄がつぶれるためかなりの激痛です。
すべるときはすでに椎間関節が骨折しており「とめてくれるものがない状態」なので、立ち上がりなどちょっとした動作でもすべってしまいます。
あまりにちょっとした動作で激痛になるので、理不尽に感じる人も多いようです。

すべってしまったら、なるべく早く整復・固定することが大切です。脊髄は圧迫されている時間が長いと壊死してしまう場合があるからです。
そうなってから圧迫をとってもしびれなどが残ってしまいやすいです。

腰椎を整復するには、骨盤を足の方向に牽引し筋肉によって後上方へすべってしまった部分を引き下げる方法がありますが、骨が癒合するまで全身安静にしていなければなりません。

コルセットで固定すればよいようにも思えますが、実はコルセットは完全に固定できるものではありません。
腰椎のそばには内臓があり内臓をつぶすわけにはいかないため、腕を骨折したときのギプスのようにガチガチに固めることはできないのです。
よって、すべってしまった腰椎を整復し癒合させるのは大変です。


脊髄がつぶれる原因⑥-脊柱管狭窄症
①、③、⑤によって脊柱管が狭くなることを脊柱管狭窄症と呼ぶ場合もあります。

脊髄がつぶれる原因④―後縦(黄色)靭帯骨化症

2015-08-22 09:11:14 | 腰痛の原因
図6-1をご覧ください。

胸椎後弯↑(猫背)になると胸椎部分の後縦靭帯の長さが足りなくなり、伸ばされながら胸椎に巻きつく場合があります。
すると、それが刺激となり後縦靭帯が肥厚します。
図26-1 ×1の姿勢などで起こりやすくなります。

次は図6-2をご覧ください。

変形性脊椎症の棘も、それが刺激となり肥厚します。
肥厚することで、棘から脊髄を守ろうとするのだと思います。

また腰椎すべり症の場合もすべった部分の後縦靭帯が伸ばされるため、それが刺激となり肥厚します。
肥厚することで今以上にすべるのを防ごうとするのだと思います。

しかしながら後縦靭帯が肥厚するとその分脊髄の入るスペースが減るため、脊髄が圧迫されてしまいます。
黄色靭帯も後縦靭帯と同様です。

靭帯が石灰化(カルシウム沈着)し骨のように硬くなる場合もあります。
靭帯の肥厚・石灰化しやすさには個人差があります。

筋肉と靭帯は共に関節を守っています。
筋肉が弱り関節がゆがむと靭帯は伸ばされます。
そのため捻挫したり、肥厚・石灰化したりするのです。

ですから後縦靭帯骨化症になってしまった場合、改善するコツは
①鍛えたい筋肉を鍛え、緩めたい筋肉を緩めることでよい姿勢をつくる(注1)
②血流をよくし、たまったカルシウムを流すこと
です。

(注1)まだ鍛えたい筋肉が弱いうちはなるべく仰向けでいる方がよい姿勢になります(2015.9.12 図8-1を参照)。

脊髄がつぶれる原因③―変形性脊椎症

2015-08-08 11:19:49 | 腰痛の原因
図5-1をご覧ください。

椎間板は年を取るごとに薄くなっていき、ほぼ消失した状態になってしまうことがあります。
すると上下の椎体間の緩衝材がなくなってしまうので、上下の椎体がぶつかり合うことになります。
その結果、椎体の角が棘のような形に変形してしまいます。これが変形性脊椎症です。
よって、椎間板ヘルニアは若年者、変形性脊椎症は高齢者に多いといえます。

椎体の角の棘(骨棘)が脊髄を圧迫するため、痛みやしびれが起こってしまいます。
変形が進行するほど症状も悪化します。
上下の椎体や椎間関節が癒合する(くっついてしまう)ほどに変形が進むと、脊椎があまり動かなくなってしまいます。
すると前かがみになって床の物を拾うなど、脊椎を大きく動かす動作が困難になってしまいます。


脊髄がつぶれる原因②-椎間板ヘルニア

2015-08-01 08:48:29 | 腰痛の原因
椎間板は髄核と線維輪というものでできています。
髄核はドロドロした液体、線維輪はバウムクーヘンの輪のような形のクッションです。
椎間板は体重がかかったり緩めたい筋肉が収縮(短縮)したりするとつぶれますが、よい姿勢ならば体重は分散してかかるのである程度は耐えられます。

ところが脊椎カーブが増強すると、例えば腰椎の場合は椎間板後方への圧力が増加してしまうのです。
図4-1をご覧ください。


これは一時的なものであれば大丈夫ですが、長時間続くとついに線維輪の後方に亀裂が入ってしまう場合があります。
この後亀裂がふさがる場合もありますが、ふさがる前に髄核が亀裂を通って外へ飛び出してしまうと椎間板ヘルニアになります。
前かがみになったりくしゃみをしたりすると、椎間板後方が伸ばされるのに伴い亀裂も広がりますし腹圧もかかるため飛び出しやすいようです。
図4-2をご覧ください。


図を見ても分かるように、腰椎前弯↑の場合は後方にヘルニアができやすいです。
脊椎側弯(横に曲がる)の場合は側方にヘルニアができやすいです。
後方や側方には脊髄やそこから枝分かれした神経があるので、それらが圧迫されてしまいます。

姿勢のくせによっては前方にヘルニアができる人もいます。
しかし前方には脊髄がないため、大きな問題にはならないことが多いようです。

椎間板ヘルニアになっても、自然に亀裂がふさがり吸収・消失する場合もあります。
後方にヘルニアができてしまった場合、亀裂をふさぐコツは
①亀裂を広げないよう、前かがみになったり強くストレッチしたりしないこと
②亀裂部をこれ以上つぶさないよう、長時間座位・立位をとったり力仕事・スポーツをしたりしないこと(注1)
です。
脊椎はあまり動かさず、軽くマッサージしたり温めて血行をよくしたりしていれば亀裂が修復されやすくなります。

(注1)緩めたい筋肉(椎間板をつぶす筋肉)が収縮してしまうためです