筋肉は何層にも重なっていますが、深層にある筋肉をインナーマッスルといいます(注1)。
本書で紹介した「鍛えたい筋肉」の中では短背筋群・腹横筋、「緩めたい筋肉」の中では腸腰筋・腰方形筋などがインナーマッスルになります。
「浅層よりも深層にある体幹筋(インナーマッスル)の方が、脊椎構造を壊さずに体幹を固定できる」傾向はあります。
それは、広背筋・脊柱起立筋群よりも短背筋群の方が、腹斜筋・腹直筋よりも腹横筋の方が、深層にあることからも分かります。
よって、インナーマッスルを鍛えると腰痛予防できる場合があります(腸腰筋・腰方形筋などを鍛えた場合は予防できるとは限りませんが)。
最近は「インナーマッスルの強化」として「四つ這い位や腕立て伏せの姿勢などで、体幹を固定したまま腕・脚を動かす運動」(以下「コア」と省略)が流行っているようです。
「コア」を行うと、「中枢(体幹)の安定&末梢(腕・脚)の自在」を学ぶことができます(「書字の極意」を参照)。
たとえば、「コア」のうち「体幹を固定したまま両腕もしくは両脚を同時に動かす運動」は、「左半身の安定&右半身の自在」を改善しやすいです。
なぜなら、「左半身の安定&右半身の自在」となっていると、両腕もしくは両脚を同時に動かしにくいからです。
ただし、「コア」を練習したからといって、必ずしも「左半身の安定&右半身の自在」を改善できたり、短背筋群・腹横筋を鍛えられたりするとは限りません。
「重度の腰痛の人」「鍛えたい筋肉が弱いため緩めたい筋肉が姿勢保持を手伝わざるをえなくなっている人」「腹斜筋や腹直筋が短縮しているため、内臓をつぶしてしまわないよう腹横筋下部の収縮をストップしてしまう人」(「書字の極意1」)などが「コア」を行うと、体は「短背筋群が弱いのだから脊柱起立筋群が頑張らないと体がバラバラになってしまう」とか「腹筋を収縮させ体を固定したいけど、腹横筋下部を収縮させると内臓をつぶしてしまうから、その代わりに腹斜筋・腹直筋をもっと収縮(短縮)させよう」などと考えるため、緩めたい筋肉↑となりやすいです。
「それでは、激しい運動にせず、体幹が地面に垂直(椎骨をただ積んでおくだけでも姿勢を保てる状態)とすれば大丈夫だろう」とも思えますが、それだと今度は「鍛えたい筋肉」まで怠けてしまうことがあります。
「鍛えたい筋肉が弱いため緩めたい筋肉が姿勢保持を手伝わざるをえなくなっている人」や「腹斜筋や腹直筋が短縮しているため、腹横筋下部の収縮をストップしてしまう人」は、「鍛えたい筋肉も緩めたい筋肉もどちらも収縮しない」か「緩めたい筋肉↑となる」か、どちらかしかできないことが多いのです。
「でも、姿勢保持のために緩めたい筋肉が収縮していると、コアの運動はしにくくなるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、たとえば、「コア」のうち「体幹を固定したまま腕を上げる運動」を行うには、広背筋の収縮をやめなくてはなりません。
なぜなら、体幹を固定するために広背筋が収縮している状態では、腕を上げにくく、無理に上げると肩や腰を傷めやすいからです(図22-1)。
「それならば、体幹を固定するために広背筋が収縮するのはあきらめ、短背筋群が収縮するようになるだろう」とも思えます。
ところが、実際はそうではなく、「腕を上げるときだけは広背筋の収縮をやめる」という具合に、「緩めたい筋肉がかなり器用に働くようになる」だけのことも多いのです。
それでは「脊椎構造を壊さずに体幹を固定できる」(腰痛予防できる)わけではありません。
それに、最初のうちは緩めたい筋肉が器用に働くようになったとしても、長期的には緩めたい筋肉が過労でA「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となるため、結局はできなくなることが多いです。
また、腰痛の方の場合は、同じインナーマッスルでも、短背筋群(鍛えたい筋肉)と腰方形筋(緩めたい筋肉)だと、腰方形筋の方が収縮しやすいです。
そのため、「おじぎエクササイズ」のように「下(仙骨)~上(頚椎)を順番に収縮させていくエクササイズ」ではなく、「コア」のように「一度にすべての短背筋群を収縮させておくエクササイズ」だと、「腰方形筋は手伝いすぎてしまい短背筋群は怠ける」ことが多いのです。
しかし、姿勢保持のために腰方形筋が収縮しても、広背筋が収縮したときのように腕を上げにくくなったりはしません(注2)。
よって、短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮し過労→短縮しても、腰痛になるまで気づかないことが多いです(注3)。
ですから、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」を改善するには、まずは「おじぎエクササイズ」などを行った方がよいです(注4)。
ただし、中には、「腰方形筋が姿勢保持のために収縮し過労→短縮すると腰痛が軽減する」などというケースもあります。
それは、筋肉がとても弛緩しやすい(収縮しにくい)体質の方です。
そのような方は、「おじぎエクササイズ」などを行い短背筋群を鍛えても、なかなか短背筋群がつきません。
しかし、そのような方であっても、「コア」を行うと、姿勢保持のために腰方形筋が少しは収縮するので、過労→短縮します(注5)。
すると、不安定だった腰椎が安定し、腰痛が軽減する場合があるのです(注6)。
ただし、それでしばらくはうまくいったとしても、長期的には、腰方形筋が短縮したことによる弊害(腰痛など)が出てきやすいです。
ですから、やはり「おじぎエクササイズ」なども行った方がよいです。
ちなみに、「腸腰筋や脊柱起立筋群が少し過労→短縮すると、適度に腰椎前弯するため、腰痛が軽減する」などというケースもあります(注6)。
それは、腰痛の原因が「腰椎後弯↑」の人(図26-1 ×1)です。
しかし、これも長期的には、腸腰筋や脊柱起立筋群が短縮したことによる弊害(腰椎前弯↑による腰痛など)が出てきやすいです。
ですから、やはり「おじぎエクササイズ」なども行った方がよいです。
(注1)一番表面にある筋肉以外すべてをインナーマッスルと呼んでいる場合などもあります。
(注2)ちなみに、短背筋群の代わりに脊柱起立筋群が収縮した場合も、腕を上げにくくなったりはしません。
よって、腰方形筋と同様、腰痛になるまで気づかないことが多いです。
脊柱起立筋群も腰方形筋も短縮すると、胴体が短くなったり腰椎前弯↑となったりしますが、よく観察しないと気づきにくいです。
(注3)腰方形筋が短縮しても、日常生活や「コア」には支障がないことが多いですが、ダンスなどで体幹を側屈する運動がしにくくなります。
なぜなら、たとえば体幹を右に側屈するには、左腰方形筋が伸びなくてはならないからです(伸びないと椎間板がつぶれたりします)(図28-1)。
よって、ダンスなどで体幹を側屈する運動を行うと、腰方形筋が短縮していることに気づく場合もあります。
ただし、このとき「側屈できないのは練習が足りないからだ」などと考えダンスを多く行ってしまうと、椎間板を傷めたりするのでNGです。
(注4)短背筋群が十分あり、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」が改善している人であれば、「コア」を行っても短背筋群を鍛えることができます。
しかしながら、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」の改善はなかなか難しいです。
「まだくせが十分改善していなくても、短背筋群ばかりでなく腰方形筋も鍛えたい」という場合は、「姿勢保持のために収縮するとき(鍛えたい筋肉の代わりに収縮するとき)とは全く異なる動き」(腰方形筋エクササイズ)を行うとよいです(詳しくは後述します)。
ダンスなど体幹を大きく側屈する運動でも腰方形筋を鍛えられますが、腰痛の人やすでに腰方形筋が短縮している人が体幹を大きく側屈させると、椎間板を傷めたりする場合があります。
(注5)筋肉がとても弛緩しやすい方であっても、短背筋群と腰方形筋だと、腰方形筋の方が収縮しやすいです。
(注6)ただし、「コア」を行いすぎたために腰方形筋(もしくは腸腰筋・脊柱起立筋群)が短縮しすぎると、短縮したことによる弊害(腰痛など)が出てしまう場合もあります。
ですから、腰方形筋(もしくは腸腰筋・脊柱起立筋群)を少し収縮させ、少し過労→短縮させるのがコツです。
本書で紹介した「鍛えたい筋肉」の中では短背筋群・腹横筋、「緩めたい筋肉」の中では腸腰筋・腰方形筋などがインナーマッスルになります。
「浅層よりも深層にある体幹筋(インナーマッスル)の方が、脊椎構造を壊さずに体幹を固定できる」傾向はあります。
それは、広背筋・脊柱起立筋群よりも短背筋群の方が、腹斜筋・腹直筋よりも腹横筋の方が、深層にあることからも分かります。
よって、インナーマッスルを鍛えると腰痛予防できる場合があります(腸腰筋・腰方形筋などを鍛えた場合は予防できるとは限りませんが)。
最近は「インナーマッスルの強化」として「四つ這い位や腕立て伏せの姿勢などで、体幹を固定したまま腕・脚を動かす運動」(以下「コア」と省略)が流行っているようです。
「コア」を行うと、「中枢(体幹)の安定&末梢(腕・脚)の自在」を学ぶことができます(「書字の極意」を参照)。
たとえば、「コア」のうち「体幹を固定したまま両腕もしくは両脚を同時に動かす運動」は、「左半身の安定&右半身の自在」を改善しやすいです。
なぜなら、「左半身の安定&右半身の自在」となっていると、両腕もしくは両脚を同時に動かしにくいからです。
ただし、「コア」を練習したからといって、必ずしも「左半身の安定&右半身の自在」を改善できたり、短背筋群・腹横筋を鍛えられたりするとは限りません。
「重度の腰痛の人」「鍛えたい筋肉が弱いため緩めたい筋肉が姿勢保持を手伝わざるをえなくなっている人」「腹斜筋や腹直筋が短縮しているため、内臓をつぶしてしまわないよう腹横筋下部の収縮をストップしてしまう人」(「書字の極意1」)などが「コア」を行うと、体は「短背筋群が弱いのだから脊柱起立筋群が頑張らないと体がバラバラになってしまう」とか「腹筋を収縮させ体を固定したいけど、腹横筋下部を収縮させると内臓をつぶしてしまうから、その代わりに腹斜筋・腹直筋をもっと収縮(短縮)させよう」などと考えるため、緩めたい筋肉↑となりやすいです。
「それでは、激しい運動にせず、体幹が地面に垂直(椎骨をただ積んでおくだけでも姿勢を保てる状態)とすれば大丈夫だろう」とも思えますが、それだと今度は「鍛えたい筋肉」まで怠けてしまうことがあります。
「鍛えたい筋肉が弱いため緩めたい筋肉が姿勢保持を手伝わざるをえなくなっている人」や「腹斜筋や腹直筋が短縮しているため、腹横筋下部の収縮をストップしてしまう人」は、「鍛えたい筋肉も緩めたい筋肉もどちらも収縮しない」か「緩めたい筋肉↑となる」か、どちらかしかできないことが多いのです。
「でも、姿勢保持のために緩めたい筋肉が収縮していると、コアの運動はしにくくなるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、たとえば、「コア」のうち「体幹を固定したまま腕を上げる運動」を行うには、広背筋の収縮をやめなくてはなりません。
なぜなら、体幹を固定するために広背筋が収縮している状態では、腕を上げにくく、無理に上げると肩や腰を傷めやすいからです(図22-1)。
「それならば、体幹を固定するために広背筋が収縮するのはあきらめ、短背筋群が収縮するようになるだろう」とも思えます。
ところが、実際はそうではなく、「腕を上げるときだけは広背筋の収縮をやめる」という具合に、「緩めたい筋肉がかなり器用に働くようになる」だけのことも多いのです。
それでは「脊椎構造を壊さずに体幹を固定できる」(腰痛予防できる)わけではありません。
それに、最初のうちは緩めたい筋肉が器用に働くようになったとしても、長期的には緩めたい筋肉が過労でA「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となるため、結局はできなくなることが多いです。
また、腰痛の方の場合は、同じインナーマッスルでも、短背筋群(鍛えたい筋肉)と腰方形筋(緩めたい筋肉)だと、腰方形筋の方が収縮しやすいです。
そのため、「おじぎエクササイズ」のように「下(仙骨)~上(頚椎)を順番に収縮させていくエクササイズ」ではなく、「コア」のように「一度にすべての短背筋群を収縮させておくエクササイズ」だと、「腰方形筋は手伝いすぎてしまい短背筋群は怠ける」ことが多いのです。
しかし、姿勢保持のために腰方形筋が収縮しても、広背筋が収縮したときのように腕を上げにくくなったりはしません(注2)。
よって、短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮し過労→短縮しても、腰痛になるまで気づかないことが多いです(注3)。
ですから、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」を改善するには、まずは「おじぎエクササイズ」などを行った方がよいです(注4)。
ただし、中には、「腰方形筋が姿勢保持のために収縮し過労→短縮すると腰痛が軽減する」などというケースもあります。
それは、筋肉がとても弛緩しやすい(収縮しにくい)体質の方です。
そのような方は、「おじぎエクササイズ」などを行い短背筋群を鍛えても、なかなか短背筋群がつきません。
しかし、そのような方であっても、「コア」を行うと、姿勢保持のために腰方形筋が少しは収縮するので、過労→短縮します(注5)。
すると、不安定だった腰椎が安定し、腰痛が軽減する場合があるのです(注6)。
ただし、それでしばらくはうまくいったとしても、長期的には、腰方形筋が短縮したことによる弊害(腰痛など)が出てきやすいです。
ですから、やはり「おじぎエクササイズ」なども行った方がよいです。
ちなみに、「腸腰筋や脊柱起立筋群が少し過労→短縮すると、適度に腰椎前弯するため、腰痛が軽減する」などというケースもあります(注6)。
それは、腰痛の原因が「腰椎後弯↑」の人(図26-1 ×1)です。
しかし、これも長期的には、腸腰筋や脊柱起立筋群が短縮したことによる弊害(腰椎前弯↑による腰痛など)が出てきやすいです。
ですから、やはり「おじぎエクササイズ」なども行った方がよいです。
(注1)一番表面にある筋肉以外すべてをインナーマッスルと呼んでいる場合などもあります。
(注2)ちなみに、短背筋群の代わりに脊柱起立筋群が収縮した場合も、腕を上げにくくなったりはしません。
よって、腰方形筋と同様、腰痛になるまで気づかないことが多いです。
脊柱起立筋群も腰方形筋も短縮すると、胴体が短くなったり腰椎前弯↑となったりしますが、よく観察しないと気づきにくいです。
(注3)腰方形筋が短縮しても、日常生活や「コア」には支障がないことが多いですが、ダンスなどで体幹を側屈する運動がしにくくなります。
なぜなら、たとえば体幹を右に側屈するには、左腰方形筋が伸びなくてはならないからです(伸びないと椎間板がつぶれたりします)(図28-1)。
よって、ダンスなどで体幹を側屈する運動を行うと、腰方形筋が短縮していることに気づく場合もあります。
ただし、このとき「側屈できないのは練習が足りないからだ」などと考えダンスを多く行ってしまうと、椎間板を傷めたりするのでNGです。
(注4)短背筋群が十分あり、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」が改善している人であれば、「コア」を行っても短背筋群を鍛えることができます。
しかしながら、「短背筋群の代わりに腰方形筋が収縮するくせ」の改善はなかなか難しいです。
「まだくせが十分改善していなくても、短背筋群ばかりでなく腰方形筋も鍛えたい」という場合は、「姿勢保持のために収縮するとき(鍛えたい筋肉の代わりに収縮するとき)とは全く異なる動き」(腰方形筋エクササイズ)を行うとよいです(詳しくは後述します)。
ダンスなど体幹を大きく側屈する運動でも腰方形筋を鍛えられますが、腰痛の人やすでに腰方形筋が短縮している人が体幹を大きく側屈させると、椎間板を傷めたりする場合があります。
(注5)筋肉がとても弛緩しやすい方であっても、短背筋群と腰方形筋だと、腰方形筋の方が収縮しやすいです。
(注6)ただし、「コア」を行いすぎたために腰方形筋(もしくは腸腰筋・脊柱起立筋群)が短縮しすぎると、短縮したことによる弊害(腰痛など)が出てしまう場合もあります。
ですから、腰方形筋(もしくは腸腰筋・脊柱起立筋群)を少し収縮させ、少し過労→短縮させるのがコツです。