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記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

放射線被曝 メモ

2011年07月14日 19時09分36秒 | Weblog
放射線被曝:CT検査で癌になる
(近藤誠 2011/07/07 亜紀書房)

文芸春秋に既発表の論文2編を含んでいる:
「CT検査でがんになる」2010年11月号
「放射線被曝 どの数値なら逃げるか」2011年6月特別号

「閾値の問題」
全身被曝が100ミリシーベルト以下なら何も起こらない。これを超えると悪影響がでる、というTVのコメンテータがいた。
(この言明が嘘だというのが本書の趣旨のひとつ)。

放射線治療では体の局所に、この数百倍の線量をかけている。

急性障害に関しては閾値が存在する。
高線量被曝で4000ミリシーベルトを超えると半数が死亡。
1000ミリシーベルトなら、骨髄障害で白血球減少があるが、誰も死なない。

統計学的には「非線形仮説の問題」。
線形仮説とどちらが妥当か、を論じている。
(統計学的には両者とも必ずしも十分な議論になっていない部分がある)。

低線量域では線形関係が実証されていて、閾仮説は正しくない。
国際放射線防護委員会 ICRP は公衆の被曝線量は年間1ミリシーベルにすべきだと勧告している。
15カ国の原発作業従事者40万人、平均被曝線量は20ミリシーベルト。
直線比例関係があり、発がん死亡の増加が認められている。

放射線被曝によって細胞内のDNA鎖が切断。
修復機能はあるが、一部は修復されないまま変異遺伝子が蓄積する。
4つぐらい変異遺伝子があると正常細胞が癌化する。

胸部CTの被曝線量は通常10ミリシーベルト。
静脈に造影剤を注射しながら行う造影CTは2回撮るので20ミリシーベルト。
腹部・骨盤CTは20ミリ、造影なら40ミリ。
頸部から骨盤まで全身CTを造影も行えば60ミリシーベルトを超える。

成人の場合、20ミリシーベルトのCT検査で発がん死亡率は 0.6% 増加する。

X線撮影とCTとで、どっちがどれだけ放射線被曝が大きいか。
CTの方が断然大きく、多くの場合は200~300倍。
われわれは何故か誤解してきた。

人体の部位の形や方向によって吸収線量が異なり、臓器の種類によって発がん死亡リスクが異なる。

頭部CTは吸収線量が多いけれども、発がんリスクは低い。
肺、乳房、胃、結腸は、その逆。
それで、実効線量が考案され、その単位がミリシーベルト。

CT検査の8割は不要。
CT検査の大部分は放射線被曝がないMRI検査で代替できる。
椎間板ヘルニアはCTではよく分からない。MRIが妥当。

治療被曝
脳腫瘍、喉頭癌、咽頭癌、肺癌、食道癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、皮膚癌など。
1回に2グレイ、30回。
2グレイは胸部CT検査の100倍に相当。
全身に4グレイ被曝すると半数が死亡。
照射部位を特定し治療計画を立てるためにCT検査。

治療の放射線で誘発した癌は、再発や転移と区別がつかないことが多い。

手術や放射線治療の後、定期的にCT検査が行われることが多いが、被曝線量が蓄積されるだけで意味がない。
肺癌や胃癌の再発を発見しても治すことは出来ない。
肺転移を早期発見しても治すことが出来ない。
多発性になって放射線が有効でなく、抗癌剤も効かず、苦しみ寿命が縮むだけ。

ラドン温泉
放射線は健康に良いという嘘。
ウラニウム鉱山の労働者では肺癌死亡者が増えている。
住宅用石材から出るラドンでも肺癌死亡を増やしているという疫学調査が有る。


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