◇ インフレ警戒で長期金利の上昇を許容 = 日銀は27-28日に政策決定会合を開き、長期金利に対して許容する変動幅を拡大することを決めた。現在の上限0.5%をメドとしつつも、一定程度の超過を認める。植田総裁は記者会見で「1%以上には上昇させない」と述べているので、変動幅を1%に拡大したと考えていい。ただ短期金利をマイナス0.1%に誘導したり、ETF(上場投資信託)を購入する現在の超金融緩和政策は継続する方針。
イールドカーブ・コントロールと呼ばれる長期金利の抑制策は、黒田前総裁が16年9月に導入した。10年もの国債を無制限に購入して、利回りの上昇を抑え付ける政策。長期金利市場が機能せず社債の発行に支障が出るなど、副作用も大きかった。このため昨年12月には、変動幅を0.25%から0.5%に拡大していた。それを今回は1%に広げたわけで、実質的な長期金利の利上げと考えてもいい。
最大の理由は、物価の上昇。日銀は同時に物価の見通しも発表したが、そこでは23年の物価見通しを4月時点の1.8%上昇から2.5%上昇へと大きく引き上げた。低すぎる長期金利は円安をもたらし、物価を上昇させる。これを警戒して、長期金利をやや引き上げることにした。もう1つの理由は、アメリカの利上げが終局に近付いたこと。もしアメリカが利下げに転じると、日銀はチャンスを逸してしまうかもしれない。
大問題は、これが本格的な政策転換の前触れかどうかという点。発表を受けて金利は上昇、株価は下落、円は上昇した。最初は大きく変動したが、政策転換に発展するかどうかはよく判らないので、その程度はすぐに小幅となっている。しかし長い目で見れば、政策転換への第一歩とみられなくもない。このため外国人投資家のなかには、その可能性に賭けて円買い・国債売りを仕掛けるものも少なくない。長期金利が1%の上限に張り付くかどうかを見て行きたい。
≪28日の日経平均 = 下げ -131.93円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
イールドカーブ・コントロールと呼ばれる長期金利の抑制策は、黒田前総裁が16年9月に導入した。10年もの国債を無制限に購入して、利回りの上昇を抑え付ける政策。長期金利市場が機能せず社債の発行に支障が出るなど、副作用も大きかった。このため昨年12月には、変動幅を0.25%から0.5%に拡大していた。それを今回は1%に広げたわけで、実質的な長期金利の利上げと考えてもいい。
最大の理由は、物価の上昇。日銀は同時に物価の見通しも発表したが、そこでは23年の物価見通しを4月時点の1.8%上昇から2.5%上昇へと大きく引き上げた。低すぎる長期金利は円安をもたらし、物価を上昇させる。これを警戒して、長期金利をやや引き上げることにした。もう1つの理由は、アメリカの利上げが終局に近付いたこと。もしアメリカが利下げに転じると、日銀はチャンスを逸してしまうかもしれない。
大問題は、これが本格的な政策転換の前触れかどうかという点。発表を受けて金利は上昇、株価は下落、円は上昇した。最初は大きく変動したが、政策転換に発展するかどうかはよく判らないので、その程度はすぐに小幅となっている。しかし長い目で見れば、政策転換への第一歩とみられなくもない。このため外国人投資家のなかには、その可能性に賭けて円買い・国債売りを仕掛けるものも少なくない。長期金利が1%の上限に張り付くかどうかを見て行きたい。
≪28日の日経平均 = 下げ -131.93円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】