◇ 「実質賃金は年度内にプラス」説も出てきたが = 日経新聞の調査によると、ことしの賃上げ率は大企業が3.89%、中小企業でも3.57%に達した。この大企業の賃上げ率は昨年を1.54ポイント上回り、実に31年ぶりの大きさだという。その一方、ことし後半はモノやサービスの値上げが一巡。物価上昇率はしだいに低下する。したがって「賃上げ>物価高」の状態が実現、いわゆる実質賃金はプラスになる公算が大きいという見方が強まった。
この見方が正しければ、すべて「メデタシ、メデタシ」ということになる。働く人の購買力が増え、生活水準が向上する。消費が増えれば、経済全体が上向く。岸田首相が切望する‟経済の好循環”が、やっと始まるかもしれない。日経平均株価もそうした気流を先読みして、このところは上昇基調を続けている。だが実質賃金プラス説は期待先行、なんとも甘すぎるのではないだろうか。
まず賃上げの数字。大企業については経団連も3.91%という集計結果を出しており、そんなに大きい誤差はなさそうだ。しかし中小企業の賃上げ率は、どのようにして集計したのだろう。日本の中小企業は350万社もある。業種や規模や地域的特性も千差万別。とてもサンプル調査など出来そうにない。したがって中小企業の賃上げ率については、少なからぬ疑問が生じる。
中小企業に働く人は約3220万人。大企業のおよそ2.5倍に達する。だから賃上げが日本経済に及ぼす影響は、大企業よりも中小企業の方がずっと大きい。大企業で実質賃金がプラスになっても、過半数の中小企業でプラスにならなければ、経済の好循環は起こりえない。中小企業の6割強が法人税を払っていない。そんな会社を含めて中小企業全体の賃上げ率が3%を超えるとは、どうしても考えられないのだが。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -83.82円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
この見方が正しければ、すべて「メデタシ、メデタシ」ということになる。働く人の購買力が増え、生活水準が向上する。消費が増えれば、経済全体が上向く。岸田首相が切望する‟経済の好循環”が、やっと始まるかもしれない。日経平均株価もそうした気流を先読みして、このところは上昇基調を続けている。だが実質賃金プラス説は期待先行、なんとも甘すぎるのではないだろうか。
まず賃上げの数字。大企業については経団連も3.91%という集計結果を出しており、そんなに大きい誤差はなさそうだ。しかし中小企業の賃上げ率は、どのようにして集計したのだろう。日本の中小企業は350万社もある。業種や規模や地域的特性も千差万別。とてもサンプル調査など出来そうにない。したがって中小企業の賃上げ率については、少なからぬ疑問が生じる。
中小企業に働く人は約3220万人。大企業のおよそ2.5倍に達する。だから賃上げが日本経済に及ぼす影響は、大企業よりも中小企業の方がずっと大きい。大企業で実質賃金がプラスになっても、過半数の中小企業でプラスにならなければ、経済の好循環は起こりえない。中小企業の6割強が法人税を払っていない。そんな会社を含めて中小企業全体の賃上げ率が3%を超えるとは、どうしても考えられないのだが。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -83.82円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫