◇ 非正規社員、税金・保険料まで考慮すると = 総務省の労働力調査によると、22年の正規社員は3597万人。非正規社員は2101万人だった。このように非正規社員は、働く人全体の36.9%もいる。ところが賃上げ率が31年ぶりの大きさになったとかいう話は、あくまで正社員だけの統計だ。非正規社員の賃金は、原則的に国が定める最低賃金によって決まる。いまの最低賃金は全国平均で時給961円。これを来年は1000円に引き上げようとしているが、もしそうなれば4.0%の賃上げということになる。
名目賃金から物価上昇率を差し引いたものが実質賃金。これが消費者の真の購買力を表わすと言われるが、実際には税金や社会保険料の増加分も考慮しなければいけない。日経新聞によると、この税金と社会保険料の合計は、過去20年間に1.4倍となっている。ことしも政府は年末までに防衛費や少子化対策費の財源を確定しなければならず、税金や社会保険料の引き上げは不可避だとみられている。このように考えると、働く人すべての賃金が3%以上も上がることはありえない。
一方の物価。値上げが一巡して上昇率が鈍化する可能性はないでもない。しかし物価上昇の基本的な原因であるウクライナ戦争の将来は、全く予測不能。また原油など輸入燃料の価格も、いつ上昇に転じるか。もし輸入価格が上昇すれば、物価はさらに上昇する可能性は大きい。したがって下半期に物価が落ち着くという観測は、期待が大きすぎるだろう。
大企業の正社員を中心に、「賃上げ>物価高」は実現するかもしれない。それは結構なことであり、その領域だけをみれば経済の好循環が起きるかもしれない。しかし、その他のより広い領域では、いぜんとして実質賃金は低下する。こうした状態では、日本経済全体の好循環は起こりにくい。大幅な賃上げは一歩前進だが、大企業中心の数字だけをみていると、判断を誤ることになりかねない。
≪6日の日経平均 = 下げ -565.68円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
名目賃金から物価上昇率を差し引いたものが実質賃金。これが消費者の真の購買力を表わすと言われるが、実際には税金や社会保険料の増加分も考慮しなければいけない。日経新聞によると、この税金と社会保険料の合計は、過去20年間に1.4倍となっている。ことしも政府は年末までに防衛費や少子化対策費の財源を確定しなければならず、税金や社会保険料の引き上げは不可避だとみられている。このように考えると、働く人すべての賃金が3%以上も上がることはありえない。
一方の物価。値上げが一巡して上昇率が鈍化する可能性はないでもない。しかし物価上昇の基本的な原因であるウクライナ戦争の将来は、全く予測不能。また原油など輸入燃料の価格も、いつ上昇に転じるか。もし輸入価格が上昇すれば、物価はさらに上昇する可能性は大きい。したがって下半期に物価が落ち着くという観測は、期待が大きすぎるだろう。
大企業の正社員を中心に、「賃上げ>物価高」は実現するかもしれない。それは結構なことであり、その領域だけをみれば経済の好循環が起きるかもしれない。しかし、その他のより広い領域では、いぜんとして実質賃金は低下する。こうした状態では、日本経済全体の好循環は起こりにくい。大幅な賃上げは一歩前進だが、大企業中心の数字だけをみていると、判断を誤ることになりかねない。
≪6日の日経平均 = 下げ -565.68円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫