経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人質を差し出す行為 : サハリン2

2022-08-10 07:11:13 | エネルギー
◇ ロシアに電力供給のキモを握られていいのか = プーチン大統領が、サハリン2の運営会社サハリン・エナジーの全権利を、新らしく設立する会社に委譲するよう命令した。サハリン・エナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資している。ロシア政府はこの2社に対して、新会社にも同じ比率で出資するかどうかを問いただしてきているという。出資しなければ、2社はサハリン2の権利を失う。ただ出資しても、どんな権利を得られるのか明確ではない。

サハリン2は、サハリンの天然ガスをLNG(液化天然ガス)に加工して輸出するプロジェクト。その運営会社サハリン・エナジーを通じて、日本は年間600万トンのLNGを輸入している。日本が発電用に使うLNGの比率は約4割。そのうちの約9%がロシア産となっている。逆算すると、ロシア産のLNGは発電に必要なエネルギー全体の4%弱を占める計算だ。

いま日本の電力需給は、きわめて逼迫している。政府は原発9基を再稼働させ、さらに老朽化した火力発電所10基を動かすことによって、なんとか停電を回避しようと画策中。ここで4%分のロシア産LNGが輸入できなくなれば、一大事だ。ウクライナ戦争でLNGの国際価格は高騰しており、スポットで輸入すれば2倍以上の代金を支払わなければならない。

ロシアの新会社に出資するかどうかは、物産と商事の問題だ。しかし政府は両社に対して、出資するよう働きかけている。4%分のLNGを失いたくないからだろう。だが、これは大問題。出資したとしても、ロシアはいつでも輸出を止めることが出来る。これはドイツに対する天然ガスの輸出をみても明らかだ。冬に電力不足で停電するかどうか。その微妙な供給分をロシアに握られていいのか。政府は原発や太陽光など、もっと地道な方法に全力を挙げるべきではないのか。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -180.63円≫

       

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>