NHK_最後の晩餐_The Last Supper
「ルネッサンス」の話をする時、絶対に忘れてはいけない画家の名前が「レオナルド・ダ・ヴィンチ」です。
知らない人がいないほど有名な画家ですが、その作品の中に「モナリザ」が上げられます。しかし、この作品はあまりにもよく知られており、おもしろくないのでここでは「最後の晩餐」を紹介したいと思います。
この壁画も大変有名な作品ですが、私は実際にもの壁画を見ていません。ただ、どうしてこれほど有名な絵になったかを私なりに分析してみたいと思っています。
まず、「最後の晩餐」ですが、このタイトルの絵は歴史的に見ても、「ダ・ヴィンチ」以前のたくさんの画家が描いています。
では、どうして彼の絵だけがこれほどさわがれるのでしょうか。それは彼の「絵画テクニック」にあると思います。
「モナリザ」でも分かるように、その「卓越した技術」と「科学的な目」は、それまでの画家にはありませんでした。
例えばこの絵は「一点透視図法」を使って描かれています。中央にいる「キリスト」の向かって左あたりの「こめかみ」にその消失点があり、「釘のあと」があります。
また、この絵画のすばらしさはその「ドラマティク」な「ストーリー」にも見ることができます。「キリスト」を裏切る弟子が、この中に一人いるわけですが、それを知った直後の弟子たちの心の動揺を、あたかもそこに人がいるかのように描いています。
こうしたことが他の画家と違い、飛びぬけたその「描写力」が後々後世に彼の名前を残すことになります。
ただ、天才と言われた「ダ・ヴィンチ」も「失敗」がありました。それは「フレスコ画」としてこの壁画を描くようになるのですが、普通の「フレスコ画」は乾かないうちに絵をどんどん描いていく手法をとります。
しかし、作業が遅く丁寧に描く「ダ・ヴィンチ」はテンペラという技法を使って、克明に描こうとしました。
それがたたって、後に壁画が「腐食」するという事態が発生し、現在のような状態になっています。
このように、天才と言えどもどこか予想のできないことがあったのを聞くと、我々も「ホッ」とするのではないでしょうか。