ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 瞼の転校生 (2023)

2024年03月17日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」

大人になって思えば、あまりに狭いけれども15歳にとってはそれがすべてだった「世界」が、ふとしたことで友の心情を知り触発し合うことで「次の世界」へとつながっていく。そんな誰にでもある経験が松藤史恩/齋藤潤/葉山さらの気負いのない好演で爽やかに描かれる。

作為を感じさせない金子鈴幸の簡潔な脚本と、過度に感情を煽らない藤田直哉監督の節度ある演出に、素直に心を動かされいつしか目頭が熱くなる。とても気持ちの良い映画だった。

藤田監督は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」のグランプリ受賞者ということで、本作も当然デジタル撮影なのだがその画質の粗さが気になった。フィルム撮影ならモチーフとなった大衆演劇の白塗りや和装といった被写体の艶やかさがもっと楽しめただろうなと、ちょっと残念。

(3月10日/ユーロスペース)

★★★★

【あらすじ】
大衆演劇一座の子役で中学三年生の裕貴(松藤史恩)は公演に合わせて転校を繰り返す。今度の学校も一か月後には変わるので一座のことは隠して友達も作らず過ごして、卒業したら座長の父のもと役者に専念するつもりだ。そんな裕貴が、ひょんなことから不登校を続けながら定期テストの成績はクラス一番の建(齋藤潤)とその元カノのクラスメイト茉耶(葉山さら)と過ごすようになる。一方、見習いとして一座に加わった20歳過ぎの地下アイドルの浅香(村田寛奈)の世話係を裕貴がすることに・・・。思春期の葛藤と成長を優しく描く藤田直哉監督の長編第一作。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭20周年と川口市制施行90周年記念映画。(80分) 


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