胸の谷間をのぞかせ肉感的でふてぶてしくも愛嬌あるドヤ顔のキム・ヘス。ノーブルで凛としたお嬢さん顔に凛々しくも悔恨の意志を秘めたヨム・ジョアン。タイプの違う“おんな”が映画的記号としてエンタメ性を担保して「力」を背景とした“おとこ的支配”を翻弄する。
時代設定は1970年代。ギュイン~ギュインと無遠慮なエレキギターにウォ~ンウォ~ンとやかましいエレクトーンの劇伴が70年代アクションものの記憶を呼び起こし、そこに唐突に割って入る情緒たっぷりの演歌風歌謡もまたダサくて、楽しい楽し、懐かしい。
物語は劇中の小物から1974年から76年の話だとわかる。韓国はパク・チョンヒ大統領による軍事独裁政権で「力」がすべてに優先するマッチョな時代。たががアクション娯楽映画のくせに、そんな大きな時代背景への「アンチ」を滲ませるところにも、いつか観た東映ピンキー映画の香りが漂うのです。
(8月15日/新宿ピカデリー)
★★★