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ドレスデン・カトリック旧宮廷教会でのオルガンコンサート

2024年10月04日 | pocknのコンサート感想録2024
9月21日(土)
カトリック旧宮廷教会でのオルガンコンサート(Orgel am Mittag)



【曲目】
1. ベーム/前奏曲ハ長調
2.ベーム/パルティータ「おおわが魂よ、大いに喜べ」
3.クレープス/「おおわが魂よ、大いに喜べ」 Krebs-WV 519
4.バッハ/トッカータ ヘ長調 BWV540

Org:セバスティアン・フライターク


ドレスデンのカトリック旧宮廷教会では、毎週水曜と土曜日に30分の無料オルガンコンサートが行われている。この教会には、バッハも愛したオルガンビルダー、ゴットフリート・ジルバーマンが制作した名器、通称ジルバーマン・オルガンが備わっている。ジルバーマンはこのオルガン制作中に死去し、弟子のヒルデブラント親子が1755年に完成させた。これがジルバーマンの手掛けた最後の楽器となった。

1945年のドレスデン大空襲によって教会は破壊されてしまったが、オルガンはその前に解体して疎開させたため難を逃れ、教会の再建後にもとの場所に戻された。ドレスデンに3台あったジルバーマンのオルガンのうち現存するのはこのオルガン1台のみである。

そんなオルガンを9年振りに聴くことが出来た。会衆席はほぼ満席の盛況。ベームのプレリュードは短いながらトッカータとフーガ的な2部構成で聴き応え十分。ジルバーマン・オルガンの華やかな音色を味わったあと、有名なコラール「おおわが魂よ、大いに喜べ」によるベームのヴァリエーションでは、優しい響きの音栓をメインに、多彩でグラデーション豊かな音色を使ってコラール旋律が彩られていった。柔らかな響きで堂内が優しく満たされ、終盤では華やかなレジストレーションで一気に光が射し、昇天して行った。次のクレープスの作品では同じコラール旋律がファンタジー風に扱われ、淡々としたなかに味わいを醸し出した。

そして最後はバッハ。これが始まったとき「これだ!」と思わずニンマリ。「トッカータヘ長調」と聞いても曲が浮かばなかったが、僕の大好きなバッハのオルガン曲だったのだ。嬉しいサプライズ。ここのオルガンでこの作品を聴ける喜びに浸った。長いオルゲルプンクトの上に次々と舞い上がっては舞い降りる音型が続いたあと、中盤から転調を繰り返しながら華麗に開花して力強く天へ昇ってゆく様をどう表現すればいいだろうか。明るくて太い充実した響きがドームの隅々まで満たされて、神々しさこの上ない。

宮廷教会オルガニスト、フライターク氏の演奏は、しっかりと安定した足取りで音を積み上げ、最後は堂々とした大伽藍を築いた。このオルガンが奏でる大音響にはふくよかな厚みがあって、優しく包まれる。最後の和音の残響が消えていく中に、外の鐘楼で12時を告げる鐘の音が合わさり気分を盛り立てた。30分の別世界体験、素敵だった。



ドレスデン城の塔(Hausmannsturm)から見たカトリック旧宮廷教会


ドレスデンのオルガンコンサート(2015.9.8,9)

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