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第37回こどもたちへ ~28人の作曲家によるピアノコンサート~

2022年04月14日 | pocknのコンサート感想録2022
4月3日(日)第37回こどもたちへ — JFCキッズBOXピアノコンサート ―
~28人の作曲家によるピアノコンサート~
紀尾井ホール

《第1部》
♪ 木幡由美子「春の予感」
♪ 西澤健治「ステキな思い出」
♪ 森谷光代「散る花の舞うとき」
♪ 板村博貴「やさしい波音」
♪ 小森俊明「仲直り」
♪ 二宮毅「ケンタウル祭の夜-宮澤賢治の見た銀河-」 
♪ 北浦恒人「森の伝説」 Pf:稲垣奏音
♪ 渡邊宏章「風に」
♪ 藤原嘉文「むかしむかし」
♪ 吉岡愛梨「おとぎの国」 Pf:佐藤莉子
[連弾]
♪ 可知奈尾子「春のめばえ」 primo:植田さくら
♪ 大政直人「マロニエの散歩道」 primo:上原千佳
♪ 鈴木豊乃「さくらみち」 primo:寺井愛莉
♪ 喜久邦博「春の光の中で」 primo:細川響生

《第2部》
♪ 栗原邦子「船歌」
♪ 氏家晋也「青い月の子守唄」 Pf:鐘うせい 
♪ 森垣桂一「小さなプリンセスのために」 Pf:飯田紗由
♪ 西森久恭「雪小屋のプリャースカ」 
♪ 都平有美「青い風」
♪ 水野義子「時間のとびら」
♪ 加藤由美子「不思議な出来事」
♪ 武野晴久「かくれんぼ」 
♪ 四反田素幸「夢の川で」
♪ 渡部賢士「春のメヌエット」
[連弾]
♪ 吉川和夫「優しいおしゃべり」 primo:今井すみれ
♪ 竹内淳「春の扉をトントントン」 primo:和三侑里
♪ 久行敏彦「航海」 primo:高野詠人/secondo:関春磨
♪ 歳森今日子「思い出のメリーゴーランド」 primo:今井奏絵

僕が端くれに加えて頂いている日本作曲家協議会の主催で、こどものためのピアノ作品の創作と普及を目的に、楽譜の出版と共に毎年行われているこのコンサートは、今年で37回目を迎えた。いつか自分も参加してみたいという思いから、初めて聴きに出かけた。

発表された作品は28人の作曲家による、子供のピアノ学習者用に書かれたソロと連弾のための新作。作曲者自身による演奏に、連弾では子供も加わり(一部ソロも子供が演奏)、朝岡聡氏の楽しく、曲へのさりげなく的を射たコメントによる軽妙な司会で演奏会は進行した。

子供のために平易で短く書くことが求められていることでシンプルな作品が並んだが、それぞれの作曲家の個性が感じられ、作曲者自身による演奏は、曲へ込められた思いがメッセージとして届いた。連弾や一部のソロで弾いた子供たちのピアノも、お稽古レベルとは異なり、それぞれの作品の理想的な姿を表現していた。

全体から感じた作品の印象は、シンプルさを重んじ、優しく穏やかで、すぐに口ずさめるような親しみやすいメロディーを持ち、子供たちの夢を育むファンタジーに溢れた曲が多かったこと。それらのなかで、特にキラリと光っていると感じた作品、面白いと思った作品についていくつかコメントしたい。

・木幡由美子さん作曲「春の予感」やさしくデリケートな感性で、無理なく自然に音楽を紡ぎ出していることが感じられた。
・森谷光代さん作曲「散る花の舞うとき」鮮やかな色彩を伴って自由に舞う花びらの情景が、変化に富んで印象深く表現されていた。
・二宮穀さん作曲「ケンタウル祭の夜」ファンタジーに溢れ、輝かしい光を放つ音楽で、賢治の幻想的な物語を音で鮮やかに描いていた。
・大政直人さん作曲「マロニエの散歩道」街に咲く花が香り、人々の笑顔が浮かぶおしゃれで芳しい作品。内声の語りかけが印象的で、連弾による響きの豊かさにも惹かれた。
・森垣圭一さん作曲「小さなプリンセスのために」メルヘンチックなふしぎな世界が、キラキラとした光に彩られて描かれていた。シンプルな扱いにも好感が持てた。
・水野義子さん作曲「時間のとびら」迷宮を彷徨っているような異次元体験ができる曲。優しさを目指した穏やかな曲が多いなか、ピリリと薬味が効いた刺激も具えていた。
・加藤由美子さん作曲「不思議な出来事」リズム感があり溌剌とした音楽で、一緒にダンスをしたくなる。作曲者のコメントにもある「発見」があちこちに感じられた。
・四反田素幸さん作曲「夢の川で」光と色彩がキラキラと輝きながら変化しつつ、川の流れのような自由にたゆたう姿が生き生きと描かれていた。
・久行敏彦さん作曲「航海」大きな波のうねりを乗り越えながら、「夢」に向かって大海を雄々しく進む船のようなダイナミックな音楽で、優美さも具えていた。
・歳森今日子さん作曲「思い出のメリーゴーランド」メリーゴーランドに乗っている楽しい様子が、華やかでウキウキわくわくのリアルな臨場感で伝わってくる曲だった。

新作発表の演奏会では、斬新さや強烈な個性を求めることが専らだが、子供たちが自ら演奏する喜びを感じられ、子供たちの心に残るように創作された曲を発表する場であるだけに、終始和やかな気分で「次はどんな曲だろうか」とワクワクしながら曲と演奏を楽しむことが出来た。これは音楽本来の姿のひとつではとも思った。

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