9月15日(火)MAROワールド Vol.12“ハイドン”
~ピアノ三重奏曲の夕べ~
王子ホール
【曲目】
1.ピアノ三重奏曲第5番ト短調Hob.XV-1
2.ピアノ三重奏曲第31番ト長調Hob.XV-32 (ヴァイオリン・ソナタ ト長調)
3.ピアノ三重奏曲第42番変ホ長調Op.79,Hob.XV-30
4.ピアノ三重奏曲第40番嬰へ短調Op.73-3,Hob.XV-26
5.ピアノ三重奏曲第38番ニ長調Op.73-1,Hob.XV-24
6.ピアノ三重奏曲第39番ト長調Op.73-2,Hob.XV-25「ハンガリー風ロンド付き」
Vn:篠崎史紀/Vc:宮田 大/Pf:清水和音
ハイドンイヤーにMAROワールドでハイドンのピアノトリオ特集を聴けるというのは嬉しい。
以前はハイドンのピアノトリオは退屈な音楽だと思っていた。何しろチェロが何やってるのかさっぱりわからない。聴く機会も殆どなかったが、今年の5月にベルリンで聴いたフロレスタン・トリオ のハイドンにえらく感動して、ハイドンのピアノ・トリオはもしかして宝の山ではないかと思い始めていた。
この間の芸祭で聴いたトリオも良かったが、今夜のMAROワールドで更にハイドンの他のピアノトリオの実演に接してその気持ちは益々強まった。ハイドンの40曲以上あるピアノトリオのうち今夜は6曲を聴くことができたが、どれもがそれぞれに個性的な魅力を放っている。「ハイドンらしい」というと「実直さ」「堅実さ」「整ったフォルム」「活気とユーモア」などのイメージが先行してしまうが、それらだけではないハイドンの魅力がこれらのトリオのそれぞれから感じられた。
そうした様々な魅力の中でもフロレスタン・トリオがやった変ホ短調のトリオから感じた豊かな楽想や深みを湛えた音楽を今夜のプログラムにも聴くことができた。演奏も含めてその白眉とも言えたのが前半の最後にやった第42番変ホ長調。溢れんばかりの豊かな楽想に満ち、陰影に富み、気高い光を放っている。まろさん、和音さん、宮田さんの油の乗った磨きぬかれた演奏がまた見事。それぞれのパートが自然に呼吸しつつ歌い、それがひとつに合わさって生まれる充足感が心の隅々にまで届く幸せな瞬間。
後半の最後にはハイドンのトリオとしては有名な「ハンガリー風」をやった。これは今年3楽章をアンコールで聴いたことが2度あり、実はつい1週間前に我が家でヴァイオリンのハセじゅんさんとチェロのミエダさんと3人で合わせた曲でもあるので、注目度も当然高くなる。
1~2楽章の柔らかなタッチと自然な呼吸、何よりも息の抜き方がうまい!ハイドンがお堅い音楽だなんて、これを聴いたら誰も思わなくなるだろうほどにエレガントな演奏に聴き惚れた。そして中でも有名な第3楽章のジプシー風(ロマと言わないとダメか?)の調べになると、この演奏会では常に主導権を握っていた和音さんに代わり、マロさんが手綱を取る。その軽くて独特な身のこなしにまた舌を巻いた。力任せにコブシを効かすやり方ではなく、民族衣装を身に纏ったロマ達が軽やかに陽気に、絶妙な身のこなしで踊る姿が見えるような息遣いと節回し。これはマネしてやれるものではない。目にも鮮やかなアッチェルランドで曲を閉じ、演奏会の幕が下りた。満足!
たっぷり9時15分過ぎまで演奏を楽しんだだけでなく、いつものように面白くてとても興味深いマロさんのトーク、和音さんや宮田さんにいきなりマイクを向けたり、話に出た曲のさわりをその場で弾いてもらったり(宮田さんのコンチェルトやら、和音さんのピアノ版プロコの古典交響曲やら)。これでハイドンへの興味と認識が益々深まり、休憩時間には恒例のケーキサービスもありと、至れり尽くせりの会に大大満足でホールを後にした。ハイドンはいい!

~ピアノ三重奏曲の夕べ~
王子ホール
【曲目】
1.ピアノ三重奏曲第5番ト短調Hob.XV-1
2.ピアノ三重奏曲第31番ト長調Hob.XV-32 (ヴァイオリン・ソナタ ト長調)
3.ピアノ三重奏曲第42番変ホ長調Op.79,Hob.XV-30

4.ピアノ三重奏曲第40番嬰へ短調Op.73-3,Hob.XV-26
5.ピアノ三重奏曲第38番ニ長調Op.73-1,Hob.XV-24
6.ピアノ三重奏曲第39番ト長調Op.73-2,Hob.XV-25「ハンガリー風ロンド付き」

Vn:篠崎史紀/Vc:宮田 大/Pf:清水和音
ハイドンイヤーにMAROワールドでハイドンのピアノトリオ特集を聴けるというのは嬉しい。
以前はハイドンのピアノトリオは退屈な音楽だと思っていた。何しろチェロが何やってるのかさっぱりわからない。聴く機会も殆どなかったが、今年の5月にベルリンで聴いたフロレスタン・トリオ のハイドンにえらく感動して、ハイドンのピアノ・トリオはもしかして宝の山ではないかと思い始めていた。
この間の芸祭で聴いたトリオも良かったが、今夜のMAROワールドで更にハイドンの他のピアノトリオの実演に接してその気持ちは益々強まった。ハイドンの40曲以上あるピアノトリオのうち今夜は6曲を聴くことができたが、どれもがそれぞれに個性的な魅力を放っている。「ハイドンらしい」というと「実直さ」「堅実さ」「整ったフォルム」「活気とユーモア」などのイメージが先行してしまうが、それらだけではないハイドンの魅力がこれらのトリオのそれぞれから感じられた。
そうした様々な魅力の中でもフロレスタン・トリオがやった変ホ短調のトリオから感じた豊かな楽想や深みを湛えた音楽を今夜のプログラムにも聴くことができた。演奏も含めてその白眉とも言えたのが前半の最後にやった第42番変ホ長調。溢れんばかりの豊かな楽想に満ち、陰影に富み、気高い光を放っている。まろさん、和音さん、宮田さんの油の乗った磨きぬかれた演奏がまた見事。それぞれのパートが自然に呼吸しつつ歌い、それがひとつに合わさって生まれる充足感が心の隅々にまで届く幸せな瞬間。
後半の最後にはハイドンのトリオとしては有名な「ハンガリー風」をやった。これは今年3楽章をアンコールで聴いたことが2度あり、実はつい1週間前に我が家でヴァイオリンのハセじゅんさんとチェロのミエダさんと3人で合わせた曲でもあるので、注目度も当然高くなる。
1~2楽章の柔らかなタッチと自然な呼吸、何よりも息の抜き方がうまい!ハイドンがお堅い音楽だなんて、これを聴いたら誰も思わなくなるだろうほどにエレガントな演奏に聴き惚れた。そして中でも有名な第3楽章のジプシー風(ロマと言わないとダメか?)の調べになると、この演奏会では常に主導権を握っていた和音さんに代わり、マロさんが手綱を取る。その軽くて独特な身のこなしにまた舌を巻いた。力任せにコブシを効かすやり方ではなく、民族衣装を身に纏ったロマ達が軽やかに陽気に、絶妙な身のこなしで踊る姿が見えるような息遣いと節回し。これはマネしてやれるものではない。目にも鮮やかなアッチェルランドで曲を閉じ、演奏会の幕が下りた。満足!
たっぷり9時15分過ぎまで演奏を楽しんだだけでなく、いつものように面白くてとても興味深いマロさんのトーク、和音さんや宮田さんにいきなりマイクを向けたり、話に出た曲のさわりをその場で弾いてもらったり(宮田さんのコンチェルトやら、和音さんのピアノ版プロコの古典交響曲やら)。これでハイドンへの興味と認識が益々深まり、休憩時間には恒例のケーキサービスもありと、至れり尽くせりの会に大大満足でホールを後にした。ハイドンはいい!
ハイドンの室内楽はどうしても1stVnが負担が多く、他のパートは暇だ、という点で避けていたのですが、先日pocknさんと合せていただいたり、他で練習する機会が今年はあり、これまでの分を集めたかのように多く触れています。
そこでは色々発見があり、ハイドンはおちゃめで、明るい人だったのかなぁ、なんて印象を持ちながら練習しています。
またモーツァルトとは違った魅力がありますね。
この演奏会でマロさんやピアノの清水和音さんが「ハイドンのトリオはピアノが忙しい」と言っていました。自ら大変な曲を選んでしまい苦しみましたが楽しかったです。
演奏会のトークで、「ハイドンのピアノトリオは名曲揃い、モーツァルトもこれに恐れをなしてピアノトリオはあまり書かなかったのでは…」という話が出ました。6曲のピアノトリオをまとめて聴いて、益々ハイドンは奥が深い、と感じました。是非またやりましょう♪