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大野和士 指揮 東京都交響楽団(定期Aシリーズ)

2022年03月03日 | pocknのコンサート感想録2022
2月28日(月)大野和士 指揮 東京都交響楽団
第944回定期演奏会Aシリーズ
東京文化会館


【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
【アンコール】
 ♪ ショパン/24の前奏曲 Op.28~第4番 ホ短調
Pf:小林愛実
2.ショスタコーヴィチ/交響曲第10番ホ短調 Op.93


大野和士&都響と云えば、去年の11月に新国で観た「マイスタージンガー」の感動が蘇る。その組み合わせでショスタコの大作が聴け、話題の小林愛実のピアノも聴けるということで1回券の発売初日に予約した。

前半は小林をソリストに迎えてのベートーヴェン。初めて聴く小林愛実のピアノは、ショパンコンクールの華やかなイメージとはちょっと異なり、繊細で清楚な感じ。澄んだよく通る響きで横に流れる線が美しい。オーケストラもデリケートで美しく音の綾を紡いでゆく。最もインパクトがあったのは第2楽章。オケとピアノが対峙して緊迫感をもたらすより、互いに共感し合って悲しみを共有しているよう。ただ、両端楽章ではもう少しアグレッシブな、或いは訴えかけるアプローチが欲しいと思った。

アンコールでは華やかな曲を弾いてくれるかと思いきや、ショパンだけど地味な曲。ところがこれが素晴らしかった。寂寥感がひたひたと迫り、音楽のエッセンスを湛え、魔法にかけられたように深い哀しみが香って胸に迫ってきた。ショパンコンクールの最終予選で高く評価されたという「24の前奏曲」を全曲聴いてみたい。

後半はショスタコの10番。大野と都響の演奏が冴え渡った。オケは清澄な音で柔軟に、痛みや苦悩や焦燥をリアルに伝えてきた。第1楽章ではギラリと光る鋭い太刀を鮮やかに振りかざして斬りつけるようなリアリティとダイナミズムに溢れ、ストレートに心を掴み、揺さぶってきた。第2楽章の凄まじい勢い、トゥッティでがむしゃらに突っ走るときも響きは鮮やか、深く鋭く邁進して圧倒した。第3楽章では抒情と諧謔を柔らかく歌い交わす。ホルンも健闘したし、木管群の活躍が目覚ましいなか、クラの抒情豊かな絶品の表情に聴き惚れた。終楽章はスピード感ある畳みかけでノリのよさが際立った。コーダの一機果敢の攻めにトリハダが立った。

同じ曲を去年、ラザレフ/日フィルで聴いたときの温かなオーラに包まれた演奏に比べ、今夜の大野/都響では鮮烈でストレートなアプローチ。終始緊張感に貫かれ、隙がなく完成度の高い圧巻の演奏に会場は大きな拍手に包まれた。

オケが退場したあとも拍手は続き、大野がスタオベで迎えられた。ブラボーが飛べば気分は更に盛り上がるのに…、いつまでブラボー禁止?感染対策のアナウンスも長すぎるし回数も多すぎる。周知のことばかりの繰り返し。ステージ上ではエルボー握手じゃなく普通に握手してほしい。時差退場ももはや意味ない。アナウンスの前に多くが席を立ってしまうし、隣の人と30センチ以内で座っているのに「前の方との間隔を1メートル以上開けて」なんてアナウンスは無意味。感染対策は更新してほしい。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」大野和士 指揮 都響 2021.11.18 新国立劇場
大野和士 指揮 東京都交響楽団(都響スペシャル2021) 2021.2.22 東京文化会館
大野和士/都響スペシャル2020 2020.9.16 サントリーホール
大野和士/都響:トゥーランガリラ交響曲 2018.1.20 東京芸術劇場

その感染対策、本気???
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