5月10日(水)
Fortepiano:クリスティアン・ベザイデンホウト /Vn:平崎真弓

~モーツァルトと遊ぶ~
トッパンホール
【曲目】
1.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K296
2.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K379(373a)
3.モーツァルト/ロンド イ短調 K511
4.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K454
【アンコール】
♪ モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K304~第2楽章
ピリオドもモダンも自由にこなして世界で活躍する2人のアーティストによる、ピリオド楽器によるオールモーツァルトのデュオコンサートを聴いた。今夜ベザイデンホウトが使った楽器は、アントン・ワルター制作による1800年製フォルテピアノのコピー。この楽器はモーツァルトの時代から少し下るが、ワルターのピアノはモーツァルトのお気に入りだった。
2人の演奏はひとつの音楽として調和し、ふわりと空間に音を解き放つように自然体で伸び伸びと音楽の喜びを伝え、聴いていて心にしっくりと馴染んだ。ベザイデンホウトのフォルテピアノは、自然な装飾音をチャーミングに施しながら、繊細でしなやかに多彩な表情を聴かせる。リラックスした柔らかな歌から、息が詰まるほどの切迫感のある表現まで自由に行き来する。その切迫感が、音量を上げることではなく伝わってくるところに、ベザイデンホウトがいかに楽器の特性を心得ていているかがわかる。
平崎のヴァイオリンは、このピアノとの調和を第一に一体感を演出した。一弓で奏でられるひとつの音が、細やかで瑞々しい感性によって多彩で豊かな表情を湛える。これが、ピアノが主になることが多いモーツァルトのソナタで大切な役割を発揮した。ハ長調ソナタの第2楽章でピアノが主役を続ける場面では、ヴァイオリンがピアノを巧みに色付けして、ピアノの存在を一層魅力的に浮き立たせ、まるで大きなピアノをヴァイオリンが軽々と持ち上げ、空を浮遊しているようだった。ヴァイオリンがあってこそピアノが映えるのは、モーツァルトが意図したことに違いない。
平崎は、引き立て役だけではなく、主役を担う場面でもデリケートで伸びやかな瑞々しい歌を聴かせ、ト長調のソナタでは、ベザイデンホウトと共に力を一点に集中させ、高いテンションで渾身の斬り込みの表現を聴かせた。変ロ長調のソナタではヴァイオリンにはもっと弾けて、優美に溢れる歌を心の底から伸び伸びと奏でて欲しかったが、平崎がモーツァルトで目指すものはそれとは違うものなのかも知れない。
アンコールでは、聴きたいと思っていた曲の聴きたいと思った楽章をやってくれた。ここでは平崎のヴァイオリンは香り高く熱っぽさを伴った高貴な歌を聴かせ、素晴らしい主役を演じた。
トッパンホールは、コロナ禍のなかでも場内アナウンスが一切なく快適だったが、今夜はクロークも再開され、マスクの着用も求められず、良い響きとともに音楽を聴くには申し分のない条件が再び全て揃ったことを心から歓迎したい。
イザベル・ファウスト&クリスティアン・ベザイデンホウト 2016.11.16 王子ホール
コンチェルト・ケルン(Vn:平崎真弓) 2014.5.30 紀尾井ホール
クリスティアン・ベザイデンホウトの世界 2012.5.29 王子ホール
ホグウッド/N響:ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(Pf:ベザイデンホウト) 2009.9.9 サントリーホール
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4.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K454
【アンコール】
♪ モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K304~第2楽章
ピリオドもモダンも自由にこなして世界で活躍する2人のアーティストによる、ピリオド楽器によるオールモーツァルトのデュオコンサートを聴いた。今夜ベザイデンホウトが使った楽器は、アントン・ワルター制作による1800年製フォルテピアノのコピー。この楽器はモーツァルトの時代から少し下るが、ワルターのピアノはモーツァルトのお気に入りだった。
2人の演奏はひとつの音楽として調和し、ふわりと空間に音を解き放つように自然体で伸び伸びと音楽の喜びを伝え、聴いていて心にしっくりと馴染んだ。ベザイデンホウトのフォルテピアノは、自然な装飾音をチャーミングに施しながら、繊細でしなやかに多彩な表情を聴かせる。リラックスした柔らかな歌から、息が詰まるほどの切迫感のある表現まで自由に行き来する。その切迫感が、音量を上げることではなく伝わってくるところに、ベザイデンホウトがいかに楽器の特性を心得ていているかがわかる。
平崎のヴァイオリンは、このピアノとの調和を第一に一体感を演出した。一弓で奏でられるひとつの音が、細やかで瑞々しい感性によって多彩で豊かな表情を湛える。これが、ピアノが主になることが多いモーツァルトのソナタで大切な役割を発揮した。ハ長調ソナタの第2楽章でピアノが主役を続ける場面では、ヴァイオリンがピアノを巧みに色付けして、ピアノの存在を一層魅力的に浮き立たせ、まるで大きなピアノをヴァイオリンが軽々と持ち上げ、空を浮遊しているようだった。ヴァイオリンがあってこそピアノが映えるのは、モーツァルトが意図したことに違いない。
平崎は、引き立て役だけではなく、主役を担う場面でもデリケートで伸びやかな瑞々しい歌を聴かせ、ト長調のソナタでは、ベザイデンホウトと共に力を一点に集中させ、高いテンションで渾身の斬り込みの表現を聴かせた。変ロ長調のソナタではヴァイオリンにはもっと弾けて、優美に溢れる歌を心の底から伸び伸びと奏でて欲しかったが、平崎がモーツァルトで目指すものはそれとは違うものなのかも知れない。
アンコールでは、聴きたいと思っていた曲の聴きたいと思った楽章をやってくれた。ここでは平崎のヴァイオリンは香り高く熱っぽさを伴った高貴な歌を聴かせ、素晴らしい主役を演じた。
トッパンホールは、コロナ禍のなかでも場内アナウンスが一切なく快適だったが、今夜はクロークも再開され、マスクの着用も求められず、良い響きとともに音楽を聴くには申し分のない条件が再び全て揃ったことを心から歓迎したい。
イザベル・ファウスト&クリスティアン・ベザイデンホウト 2016.11.16 王子ホール
コンチェルト・ケルン(Vn:平崎真弓) 2014.5.30 紀尾井ホール
クリスティアン・ベザイデンホウトの世界 2012.5.29 王子ホール
ホグウッド/N響:ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(Pf:ベザイデンホウト) 2009.9.9 サントリーホール
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