facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

阪 哲朗 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団

2020年11月21日 | pocknのコンサート感想録2020
11月20日(金)阪 哲朗 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団
~第124回定期演奏会 <オール・ベートーヴェン・ハ調プログラム>~
紀尾井ホール


【曲目】
1.ベートーヴェン/序曲「コリオラン」ハ短調 Op.62
2.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37
 【アンコール】
 ♪ ベートーヴェン/バガテル 第3番変ホ長調 Op.126-3 かな?
Pf:石井楓子
3.ベートーヴェン/交響曲第1番ハ長調 Op.21

紀尾井ホール室内管弦楽団がオールベートーヴェンプログラムの定期をやると知ったのは、チケット発売から10日ほどたった10月下旬。曲目も指揮者もソリストも興味大で是非行きたいと思ったが、すでに完売。当日券が出るかもと云われて今日の午後に問い合わせたが、当日券販売はなし。もう諦めるしかないと思っていたら、「天の助け」でチケットを入手することができた。感謝!

コリオラン序曲の最初の一撃は、:引き締まった硬質の輝きが鮮烈。その印象はその後も続き、意思をもって前進してゆく。柔らかな部分もいたずらにヤワにはならず、厳しく気高い意思を持ち続けている。全体が凝縮されて、崇高な目標に向かって突き進んでいった。阪哲朗の指揮は初めてだが、劇場の音楽を思わせる華とドラマ性があり、自信溢れる演奏に強い感銘を受けた。

続いて石井楓子をソリストに迎えてピアノ協奏曲第3番。石井のピアノは柔軟で、詩情を湛え、オケとの生き生きとした対話や楽しげなやり取りが耳を引く。演奏しているときの表情もいい。第2楽章など、ロマンチックな空気を内包したふくよかな香り高さも素敵だ。ただこの音楽は、もう少し攻撃性、アグレッシブなところを強調してもいいのではと思う。ピアノの響きにもっと煌めきが欲しい気も。以前、石井が弾く三善晃のコンチェルトで強い個性を感じたが、今夜の演奏はもうひとつ印象が薄かった。アンコールはデリケートで美しかった。

最後の交響曲第1番は、阪の指揮と紀尾井シンフォニエッタ(この旧名の方が良かった…)の名手たちの演奏が冴えわたった。スコアには記されていないが、演奏からgiocosoという発想標語が浮かんだ。肩ひじ張らず、リラックスしていて、そこにはウキウキしたディヴェルティメント風の遊び心やいたずら心も感じられた。それだけではない。エレガントなセンスも光っているし(第3楽章のトリオでの玉を転がしたような優美さ!)、引き締めるところはキリッと締め、ここぞという場面では鋭いパンチ力を効かして邁進する姿など颯爽としてかっこいい。

オーケストラは卓越した響きや表情を聴かせる。弦は伸びと艶があり、木管はチャーミングでエレガント。ティンパニの冴え、金管の引き締まった「光」も眩しい。第2楽章の冒頭、セカンドヴァイオリンのうま味にも聴きホレてしまった。阪は全体を見据えつつ、細かい表情の味つけも生き生きと施し、真理を探求して猛進するだけではないベートーヴェンの音楽の楽しさを最大限に引き出してくれた。

鈴木雅明 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団 2019.6.21 紀尾井ホール
三善晃/ピアノ協奏曲(Pf:石井楓子)~三善晃追悼コンサート~ 2015.2.6 東京オペラシティ
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「ほたるこい」幻想

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ベートーヴェン、交響曲前夜。 | トップ | NHK交響楽団 11⽉公演 サント... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2020」カテゴリの最新記事