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東京・春・音楽祭 2024 オッカ・フォン・デア・ダメラウ メゾソプラノリサイタル

2024年04月18日 | pocknのコンサート感想録2024
4月15日(月)オッカ・フォン・デア・ダメラウ(MS) & ソフィー・レノー(Pf)
~東京・・音楽祭 2024~
東京春祭 歌曲シリーズ vol.40~
東京文化会館小ホール

【曲目】
♪ ブラームス/わが恋は緑 Op.63-5
♪ ブラームス/調べのように私を通り抜ける Op.105-1
♪ ブラームス/永遠の愛について Op.43-1
♪ ブラームス/失望 Op.72-4
♪ ベルク/私の両の眼を閉じて
♪ ベルク/4つの歌 Op.2
♪ マーラー/リュッケルトの詩による5つの歌曲
♪ マーラー/「若き日の歌」~「つらなる想い」
♪ ワーグナー/リスト編/イゾルデの愛の死
♪ ワーグナー/ヴェーゼンドンク歌曲集
【アンコール】
♪ マーラー/「若き日の歌」第1集 ~ 第3曲「ハンスとグレーテ」
♪ マーラー/「子供の魔法の角笛 」~ 第4曲「この歌を作ったのは誰」

オッカ・フォン・デア・ダメラウは名前も知らない歌手だったが、演奏曲目に引かれたことと、東京春祭の歌曲シリーズはこれまでも良いリサイタルが多かったことから聴くことにした。そしてこれは大正解だった。

ダメラウは豊かな体格に相応しい豊かな声量で、腹の底から太い声が真っ直ぐに届く。太い声でも重くはなく、こんこんと豊かに湧き出る泉のように瑞々しくて清澄で美しい。その美声はフレーズの端々まで丁寧に情感が行き渡り、一つ一つの言葉の細かいニュアンスを捉え、大きな息遣いでまとまって伝わってくる。ドイツ語の明瞭で美しい発音が、ストレートに心の奥底に届いて来た。配付された歌詞対訳でドイツ語をリアルタイムで追え、薄暗くても読める大きめの文字なのも良かった。

ブラームスでの慎ましやかでロマンティックな佇まい、ベルクの「4つの歌」での妖艶で深い陰影、マーラーの夢と現をさ迷う瞑想と覚醒(「真夜中に」では研ぎ澄まされた感性が心に刺さった)、ワーグナーでの少々気難しい深刻な空気、それぞれの音楽の特徴を捉え、詩の世界をぐっとクローズアップして聴き手に伝える雄弁さに終始魅了された。ダメラウの歌唱にはダイナミックでありながら、一点を見据えてそこに気が集中し、深く入り込んで行く鋭い感性がある。

ピアノのレノーは、ダメラウのダイナミックで豊潤な歌唱の伴奏に相応しく、振幅が大きく、ふくよかな表情を湛えた頼もしい演奏を聴かせた。焦点の定まった硬質な輝きも具えてダメラウの歌唱と呼応し、両者は心の深いところで共鳴し合っていた。レノーのソロによる「イゾルデの愛の死」の太くて熱い演奏にも知的なセンスが具わっていて、その後のワーグナーの歌曲へのいい橋渡しにもなった。

ダメラウの歌は、大きなホールでも堂々と映えるだろう。オペラも聴いてみたい。シュトラウスの歌曲もいいだろうな。

最近は終演後のカーテンコールの最中にスマホで撮影する客がやたらと多い。スタッフが注意して回っても焼け石に水状態。オケの定期などで撮影OKが増えて、どのコンサートでも撮影OKと都合よく解釈しているのだろう。暗い客席のあちこちでスマホが光るのは目障りで、今夜はアンコールをずっと動画撮影してるおばさんがいて超目障りだった。手が届く範囲に座っていたら小突いてやるところだった。皆さんも僕に小突かれないように気をつけてね。

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