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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ドナウエッシンゲン&黒い森のSL

2010年12月12日 | 夏のヨーロッパ家族旅行2010
DONAUESCHINGEN & SAUSCHWÄNZLEBAHN

8月14日(土)のち

ルガーノからユーロシティでチューリヒへ向かう。6日間過ごしてすっかり馴染んだイタリア語圏とはこれでお別れだ。


ランチはルガーノのホテル近くで買ったケバブ!

チューリヒ(Zürich)~ジンゲン(Singen)と電車を乗り継いで、ドイツのドナウエッシンゲン(Donaueschingen)まで行く、今回の旅行で一番長い鉄道の旅だ。


超お徳なDBの早割りオンラインチケット

LuganoからドイツのDonaueschingenまでは、日本であらかじめインターネットで座席指定で乗車券を購入しておいた。これは現地で切符を買うより断然お徳。

利用したサイトは、ドイツ鉄道(DB)のページ。Lugano→Donaueschingenをまともに買えば、大人3人、子供1人で177.3ユーロするが、このサイトの早割り料金ならなんと117ユーロ。座席指定を入れても5ユーロ増しの122ユーロ。スイス鉄道のサイトも早割り料金設定があるが、こちらは282フランする。乗車区間の殆どはスイスなのに、ドイツ鉄道のサイトで買った方が安いのはなぜ?

予約方法は至って簡単。予め無料の会員登録をして、支払い方法などを決めて、ネット上で乗車する電車を選び、人数と年齢を入れるだけ。プリントアウトしたインターネットチケットが現地で切符となる。


オンラインチケットには「A4の用紙に印刷して持参のこと」と書いてある

この早割り切符は、ヨーロッパを周遊するのではなく縦断するのなら、ユーレイルパスのようなフリーパスよりもずっと安く抑えられる。ただし、予約した電車以外では使えないし、払い戻しもできないところは注意が必要。

LuganoからZürichへ行く途中、山岳地帯を通過する。昔から交通の要所で、今は氷河特急が通るアンデルマット(Andermatt)はトンネルで抜けてしまうが、天気が良ければ3000m級の山々の絶景を楽しめるはずのルート。車窓からは、山岳道路が通る険しい山間の様子や、森の間から湖が次々と見えるが、天気が悪く、遠くの山が見えないのが残念。



Luganoから2時間40分でスイス最大の町、Zürichに到着した。


LuganoからZürichまで乗ってきたユーロシティ

Zürichの駅は巨大だ。人の多さにビックリしただけでなく、都会風の奇抜な格好をした若者なんかも大勢いて、これまで訪れた町とは全然違う都会だ。




Zürich中央駅にはいろんな電車が停まっている

次の乗り換え駅のSingenはもうドイツ。車内の客の言葉もすっかりドイツ語に替わっていた。さっそく、隣りのおばさんに「悪いけど、この荷物、上げるの手伝ってくれるかしら?」と頼まれた。こんな東洋人の旅行者に普通にドイツ語で話しかけてくる。イタリア人とはまた違った田舎っぽい気さくさもいい。

Singenからは、車体にSchwarzwaldbahn(黒い森鉄道)の文字が入った2階建て電車に乗った。



Luganoを出て4時間32分。夕方の6時半過ぎに、ようやく今日の目的地、Donaueschingenに到着した。

予約していたホテル・オクセン(Hotel Ochsen)は、駅から歩いて10分ぐらい。フロントで鍵を2つ渡され、「4人部屋は2種類タイプがあるので、両方見て好きなほうを選んでくださいね。」と言われた。

最初に見た方は広々としたクワッドルーム。なかなかいい。そして、2つ目は、広いツインが2部屋に大きなダイニングキッチンもついたメゾネットタイプ。まるでお屋敷を貸し切ったよう。「えーっ?これで4人朝食つきで140ユーロ?」これは絶対おトクだ。


こんなダイニングキッチン、うちにもほしいなぁ…

奥さんは広すぎて落ち着かないから、最初の方がいいと言ったが、多数決で大きい方になった。料金は更に割引で136ユーロになった。一人当たり34ユーロ!

ホテルのフロントで教えてもらった、おいしい郷土料理が食べられるという近くのBräustüble(ブロイシュトューブレ)というレストランに出かけた。ローカル色の濃い、いかにもドイツ的ないい雰囲気のお店で、地元風の人達で賑わっていた。日本人はもちろんうちらだけ。グラシュスープ(Gulaschsuppe)、マウルタッシェン(Maultaschen)、ツヴィーベル・ローストブラーテン(Zwiebelrostbraten)、ターフェル・シュピッツ(Tafelspitz)にサラダバー、代表的なドイツ・オーストリア料理はどれも正解で、とっても美味!それに値段も安い。


Maultaschen:ラビオリ風南ドイツ料理。いろんな具の味のハーモニーを楽しむ。


Tafelspitz:薄切りの柔らかい牛肉を西洋ワサビや特製ジャムで食べる。ポテトもうまい。


そして、もちろん欠かせないのがドイツビール!切れのあるピルス(Pilsner)とコクとウマミのあるヴァイツェン(Weizen)を飲んで大満足!


おいしいドイツ料理とビールを楽しみ、ドイツ語に浸かって気分はイタリアモードからすっかりドイツモードに転換した。ホテルのベッドは暖かい羽根布団。外は激しく雨が降っている。明日は黒い森を走るSLに乗るので、天気は回復してほしい…

8月15日(日)時々のち

雨は取りあえず上がっていた。Donaueschingenに宿を取った目的は、ドナウ川の源泉と呼ばれている泉を見ることと、黒い森を走るSLに乗ること。まずは、SLに乗るために、ブルームベルク=ツォルハウス駅(Blumberg-Zollhaus)へ。ちょうどよい電車もバスもないので、ホテルからタクシーで行った(35ユーロ)。


黒い森を走るSL乗車~Sauschwänzlebahn~

10時に発車予定のSLは、すでに蒸気を吹かしてスタンバイ。SLのまわりは親子連れなどでいっぱい。大きくて立派なSLだ。





SLは、Blumerg-Zollhaus駅とWeizen駅の間の約25キロを往復する。ホームページによると、この路線はSauschwänzlebahnという愛称がついている。これは地元の方言で「ブタの尻尾」という意味。途中にぐるりとループ状になっているトンネルがあって、それをブタの尻尾に見立てての命名。19世紀末に敷設された路線を、1977年にBlumberg市が蒸気機関車の走る”Museumsbahn(博物館路線)”として再建した。

SLの方は、いつ・どこで製造されたかという案内がどこにも見当たらないが、歴史を感じる代物だ。よく手入れされ、黒光りした車体が頼もしい。







家族用チケット(4人で往復38ユーロ)で乗り込んだ。木製のレトロな客車は全指定。威勢のいい汽笛を鳴らして、汽車はゆっくりと走り始めた。25キロの区間を1時間5分で走るのんびり走行だ。



黒い森の真っ只中を走っていることを実感する森の中や、丘陵地帯、村など、起伏に富んだ景色のなかを、鉄橋を渡り、いくつもトンネルをくぐり抜け、曲がりくねった線路を走ってゆく。





車内アナウンスで、トンネルの長さや鉄橋の高さ、標高など、細かい数字を説明するところがドイツらしい。景色の説明にお客は車内を右に左に移動して、窓を開けて写真を撮っている。


この鉄橋はコースで一番の撮影ポイントかも ~クリックで拡大~

子供たちも喜んでいるが、特にお父さん達が嬉しそうに写真を撮りまくっているのが微笑ましい。念願の黒い森のSLに乗れたSLファンのpocknも、子供以上に喜んでしまった。



pocknがSLに興味を持ち始めた小学校高学年のころは、既に各地からSLの営業運転次々と廃止される頃で、中学生のとき、まだSLが走っていた会津若松までわざわざ出かけたことを思い出す。

耳をつんざく汽笛、勢いのいい蒸気の音、力強いドラフト音、石炭の臭い… 汗をかきかき、一生懸命に引っ張る姿には胸がキュンとなる。

片道を走ったWeizenでたっぷり給水

そんなSLの旅を往復でたっぷり2時間以上、しかも風光明媚な黒い森地方で楽しむことができて、本当によかった。天気が良ければ更に素晴らしい景色が楽しめたはずだが…SauschwänzlebahnのSLは毎年5月~10月に運行している。

Donaueschingenへ戻る電車の出発まで時間があるので、駅構内で過ごした。気温は12度で、小雨も降って寒い。スタンドでアツアツのカリーヴルストを食べ、隣接するミュージアムを見た。ミュージアムではSauschwänzlebahn関連の様々な実物展示や映像があり、なかなか面白かった。

Donaueschingenには、まず新型のディーゼルでImmendingenまで行く。



切符を売りに来た車掌さんが「よかったらこれあげますよ。」と、みんなにネームホルダーとバンドエイドのセットをくれた。なんだかとてもアットホームな雰囲気。息子はガラス張りでよく見える運転席から目が離れない。



Immendingenから昨日と同じ路線でDonaueschingenへ戻ってきた。
まずは、ドナウの源泉(Donauquelle)へ向かう。ここは、いつかテレビでやっているのを見て、奥さんが「行ってみたい」と言ったところ。

ドナウの源泉は町の外れの大きな教会の前、宮殿の庭園に隣接していた。大理石の彫刻と手摺りで囲まれた円形の泉は、ローマの泉という感じ。水は青く澄んでいて、ときおり泉の底から小さな泡が浮かび立つ。観光客が次々と訪れ、小さな町の人気のスポットだ。



ドナウ川は、この泉から始まるというわけではなく、2つの川が合流したところから「ドナウ川」と呼ばれるので、ここをドナウ川の源泉と呼ぶことには異論もある。けれど、ここから湧き出た水はドナウ川を延々2860キロ流れて、最後は黒海に注ぐわけで、それを想像しただけで感慨深い。
念願のドナウの泉に来ました!

ドナウ川として合流する前のブリガッハ川(Brigach)がホテルの近くを流れていて、ホテルではこれを”Donau”と呼んでいた。



まだ時間があるので、町を散策した。泉の隣にあるお城の庭は公開されていないようで入れなかった。近くにあるという「カーニバル博物館(Fasnachtsmuseum)」に行ってみたが、ここも閉まっている様子。

方向転換して、町の中心の方へカール通り(Karlstraße)を歩くと、カーニバルの仮装姿の像が立つ「ハンゼルの泉(Hanselbrunnen)」があった。大きな鈴をつけた特徴ある衣装で、きっとカーニバルの時はこんな格好をした人達が町を練り歩くのだろう。

その泉の傍に東独時代の車、トラバントが停まっていた。



旧東独圏の町やベルリンではまだたまに見かけるが、こんなところでお目にかかれるとは思わなかった。ドイツ統一の頃は「段ボールでできている」なんてバカにされていたが、今ではすっかり人気者だ。

カール通りを更に行くと、ツェッペリン通り(Zeppelinstraße)に突き当たり、その右に黄色いかわいい旧市庁舎、その先に現在の市庁舎がある。



ここの広場にある音楽隊の噴水(Musikantenbrunnen)は、からくりの仕掛けの楽しい噴水だ。



このあたりが、Donaueschingenの中心だろうか。色とりどりのかわいらしい建物が並ぶ素敵な界隈だ。ここで関西弁をしゃべる日本の女子学生たちを見かけた。Donaueschingenに日本の観光客とは珍しい!

そろそろ電車の時間だ。ホテルから朝から預けていた荷物を引き上げ、次の宿泊地、黒い森の只中にあるトリベルク(Triberg)へと向かった。

ルガーノ
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