10月22日(月)S:キャロリン・サンプソン/フライブルク・バロックオーケストラ
トッパンホール
【曲目】
1.ヨハン・ベルンハルト・バッハ/管弦楽組曲第2番 ト長調
2.バッハ/カンタータ第199番「わが心は血にまみれ」BWV199

3.バッハ/オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1060a
4.バッハ/結婚カンタータ「今ぞ去れ、悲しみの影よ」BWV202


【アンコール】
1.山田耕筰/からたちの花

2.バッハ/カンタータ第199番「わが心は血にまみれ」BWV199~終曲アリア


初めて聴いたフライブルク・バロックオーケストラは、メンバー全員がソリスト張りの気概で果敢に立ち向かい、アグレッシブで研ぎ澄まされた演奏を聴かせる一方で、静かで温かな呼吸で、優しく聴き手の内面に入り込んでくるデリケートな表情にも魅力を感じた。
最初のヨハン・ベルンハルト・バッハの曲では、溌剌としたアプローチで多彩なシーンを生き生きと聴かせた。ヨハン・ベルンハルトはバッハのハトコだそうだが、バッハ一族では初めて聞く名前ながら、大バッハにも通じるなかなか優れた曲じゃないかと感心。しかし、次のバッハのカンタータを聴いてしまうと、その桁違いの雄弁さと奥深さを湛えた音楽に、さっきの曲は演奏の巧さに負っていたところも大きかったのかな、と思った。
カンタータ199番でフライブルク・バロックオーケストラは、デリケートで血の通った表情で、深く悔恨し、懺悔する人を温かく慰めるように包み込んで行った。ソプラノのサンプソンは、美しいドイツ語の発音と、繊細で柔らかく、瑞々しい魅力を湛えた声で、自らの罪深さを切々と歌い、神に身も心も委ねた静かで満ち足りた境地をしっとりと歌い、そして、晴れやかで弾けんばかりの喜びを歌い上げた。
サンプソンとオーケストラとの共演は、結婚カンタータでも幸せに結実した。こちらではサンプソンは譜面を持たず、より自由で伸び伸びと歌った点では、教会カンタータと世俗カンタータの違いを態度で示したと言えるが、似通った編成の両者を並べて聴くことで、バッハの音楽は、教会ものだろうと世俗ものだろうと、どちらも同じ温かな血が通い、愛に溢れていることがよくわかる。世俗カンタータがしばしば教会カンタータにパロディーとして書き換えられ、全く違和感がないのはそのためなんだと改めて感じた。
2つのカンタータのオブリガートで活躍したアルフケンのオーボエは、柔らかくやさしくサンプソンの歌に寄り添い、結婚カンタータでヴァイオリンソロを弾いたシュライバーは、生気に満ちた演奏で、歌と共に戯れ、幸せな光景が目に浮かんだ。
シュライバーとアルフンケンのソロは、2つのカンタータの間に演奏されたコンチェルトでも活躍。オーケストラは、この音楽の緻密な構造をかっちりとしたアンサンブルで生き生きと聴かせ、2人のソリストと共に雄弁に迫ってきた。
サンプソンがアンコールで聴かせてくれた「からたちの花」は、繊細に優しく心に沁みてきた。オーボエが加わった柔らかなオケのアレンジもいい。そして、もう一度カンタータ199番のアリアを聴けたのも嬉しかった。聴くほどに気持ちが入り込んで行く素敵なコンサートだった。
ところで、演奏中は客席の照明がかなり暗く、前半ではせっかくプログラムに掲載されている歌詞対訳を読めなかった。休憩時間にホールの方にもう少し照明を明るくできないかお願いしたら、そのときは「明るさは決まっている」と断られたのだが、実際には明るくして頂けた。それでもプログラムに印刷された文字を読むのは辛く、休憩時間に結婚カンタータのドイツ語の歌詞を大きく書き写しておいたのが役立った。客席では後半、プログラムを開いて歌詞を見ている人があちこちにいたので、明るくなって歌詞が読めた人も多かったようだ。
歌では、リアルタイムで歌詞がわかるのとわからないのとでは音楽を聴いた感動が全然違うことは、歌詞をちゃんとわかって聴いている人であれば実感できるはず。そのためにプログラムに対訳を載せてくれているのだろうし、そうであれば演奏中も読めるように照明についても是非配慮してもらいたい。今夜は、急なお願いに対応してくれたトッパンホールのスタッフの方に感謝したい。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美(YouTube)
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
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2.バッハ/カンタータ第199番「わが心は血にまみれ」BWV199


3.バッハ/オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1060a

4.バッハ/結婚カンタータ「今ぞ去れ、悲しみの影よ」BWV202



【アンコール】
1.山田耕筰/からたちの花


2.バッハ/カンタータ第199番「わが心は血にまみれ」BWV199~終曲アリア



初めて聴いたフライブルク・バロックオーケストラは、メンバー全員がソリスト張りの気概で果敢に立ち向かい、アグレッシブで研ぎ澄まされた演奏を聴かせる一方で、静かで温かな呼吸で、優しく聴き手の内面に入り込んでくるデリケートな表情にも魅力を感じた。
最初のヨハン・ベルンハルト・バッハの曲では、溌剌としたアプローチで多彩なシーンを生き生きと聴かせた。ヨハン・ベルンハルトはバッハのハトコだそうだが、バッハ一族では初めて聞く名前ながら、大バッハにも通じるなかなか優れた曲じゃないかと感心。しかし、次のバッハのカンタータを聴いてしまうと、その桁違いの雄弁さと奥深さを湛えた音楽に、さっきの曲は演奏の巧さに負っていたところも大きかったのかな、と思った。
カンタータ199番でフライブルク・バロックオーケストラは、デリケートで血の通った表情で、深く悔恨し、懺悔する人を温かく慰めるように包み込んで行った。ソプラノのサンプソンは、美しいドイツ語の発音と、繊細で柔らかく、瑞々しい魅力を湛えた声で、自らの罪深さを切々と歌い、神に身も心も委ねた静かで満ち足りた境地をしっとりと歌い、そして、晴れやかで弾けんばかりの喜びを歌い上げた。
サンプソンとオーケストラとの共演は、結婚カンタータでも幸せに結実した。こちらではサンプソンは譜面を持たず、より自由で伸び伸びと歌った点では、教会カンタータと世俗カンタータの違いを態度で示したと言えるが、似通った編成の両者を並べて聴くことで、バッハの音楽は、教会ものだろうと世俗ものだろうと、どちらも同じ温かな血が通い、愛に溢れていることがよくわかる。世俗カンタータがしばしば教会カンタータにパロディーとして書き換えられ、全く違和感がないのはそのためなんだと改めて感じた。
2つのカンタータのオブリガートで活躍したアルフケンのオーボエは、柔らかくやさしくサンプソンの歌に寄り添い、結婚カンタータでヴァイオリンソロを弾いたシュライバーは、生気に満ちた演奏で、歌と共に戯れ、幸せな光景が目に浮かんだ。
シュライバーとアルフンケンのソロは、2つのカンタータの間に演奏されたコンチェルトでも活躍。オーケストラは、この音楽の緻密な構造をかっちりとしたアンサンブルで生き生きと聴かせ、2人のソリストと共に雄弁に迫ってきた。
サンプソンがアンコールで聴かせてくれた「からたちの花」は、繊細に優しく心に沁みてきた。オーボエが加わった柔らかなオケのアレンジもいい。そして、もう一度カンタータ199番のアリアを聴けたのも嬉しかった。聴くほどに気持ちが入り込んで行く素敵なコンサートだった。
ところで、演奏中は客席の照明がかなり暗く、前半ではせっかくプログラムに掲載されている歌詞対訳を読めなかった。休憩時間にホールの方にもう少し照明を明るくできないかお願いしたら、そのときは「明るさは決まっている」と断られたのだが、実際には明るくして頂けた。それでもプログラムに印刷された文字を読むのは辛く、休憩時間に結婚カンタータのドイツ語の歌詞を大きく書き写しておいたのが役立った。客席では後半、プログラムを開いて歌詞を見ている人があちこちにいたので、明るくなって歌詞が読めた人も多かったようだ。
歌では、リアルタイムで歌詞がわかるのとわからないのとでは音楽を聴いた感動が全然違うことは、歌詞をちゃんとわかって聴いている人であれば実感できるはず。そのためにプログラムに対訳を載せてくれているのだろうし、そうであれば演奏中も読めるように照明についても是非配慮してもらいたい。今夜は、急なお願いに対応してくれたトッパンホールのスタッフの方に感謝したい。
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金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美(YouTube)
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