2013年11月30日(土)
毎年の秋の一泊家族旅行に出かけたのは、もう初冬を迎える11月の最後の週末だった。絶好の晴天に恵まれた土曜日、去年行ったときは曇り空で視界が悪く、富士山はもちろん見えないし、稚児落としまで歩いても絶景を楽しめそうにないので岩殿山だけ登って下山したときのリベンジ登山となった。
週末の中央道はとにかく混むので、今回は5時すぎに家を出発したらスイスイと大月までやって来れた。岩殿山は岩がむき出しのカブトガニのような目につく山容で、登山者用の無料駐車場手前の高月橋からは真正面に鎮座している姿がよく見える。

駐車場に続く登山口の丸山公園入口から丸山公園までは緩やかな石段の遊歩道。少し登ったところからすでに富士山がよく見える。

もう葉が落ちてしまったもみじも多いが、なかにはまだ紅葉が見頃のもみじもあった。


サンダルでも歩けるような遊歩道をしばらく登ったところにある広場が丸山公園。目の前に岩壁が屹立している岩殿山の山頂とのほぼ中間点にある。「鏡岩」と呼ばれているその岩壁をバックに建っている山城風の建物が「岩殿山ふれあいの館」。ここには、大月市出身で山岳写真家の大家、白旗史郎の写真が展示されている。

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更に登って行く。遊歩道からはずっと富士山と大月市街が望める。

整備された道を登りきったところが岩殿山の山頂広場。ここに戦国時代、武田氏の家臣、小山田氏により堅牢な山城が築かれたということで、山頂付近にはいくつか遺跡も残っている。
山頂からの眺めは最高で、これなら敵の動きもよく見えたことだろう。標高がスカイツリーの地上からの高さと同じ634メートルということが話題になっているが、桜の名所でもあり歴史もある岩殿山は昔から注目度は高い山だ。山梨100名山にもなっている。

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頂上からの眺めを楽しんだら、登って来た道を稚児落とし方面との分岐まで戻って、いよいよリベンジコース。

岩場のルートからの眺めは抜群! 富士山はコースを進むにつれて、その手前の高川山の陰に入ってくる。

来し方を振り返ると大月市街の向こうに倉岳山方面が望める。近くの山肌は紅葉というにはちと茶色いが、日差しを浴びるとなかなかキレイだ。

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岩場地帯を過ぎると天神山の小ピーク。このピーク自体は展望はないが、そこからわずかに下ったところに展望の良い場所があった。この先へ行くと富士山の右半分は高川山に隠れてしまうので、富士の全貌はこのあたりで見納め。

巨大な鉄塔を通過すると、このコースの目的地である稚児落としの大岩壁が望める。これは聞きしに勝る迫力だ。緩やかな傾斜の登山道を辿って行くと、150メートルの谷底を見下ろす稚児落としのテラスの上へと導かれて行く。

それにしても「稚児落とし」とは物騒な名前がつけられたものだ。あの崖の上から落とされたら助かる者はいないだろう。こんな名前が付けられた由来は、戦国時代に山城があったことが関連しているようだ。相模原の歴史について詳しく書かれたサイト「相模原の歴史シリーズ」(相模原郷土の歴史研究会)にこんな伝説が載っていた。
敵勢に包囲された岩殿城から脱出を試みた城主の側室、千鳥姫の一行がこの崖の近くまで逃げ延び、皆が安堵の声を上げたところ、その声がこの谷に響き渡った。これに驚いた千鳥姫の赤ん坊、万世丸が泣き叫んでしまった。これでは敵に気付かれてしまうと思った家来が、千鳥姫から万世丸を奪って、この断崖から投げ落としてしまったという怖い話。
「伝説」というので史実ではないのかも知れないが、谷底深くから今でも赤ん坊の泣き叫ぶ声が聞えてきそうだ。。

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とは言え、稚児落としのテラスは広々としていてお昼を取るのにちょうどいい。絶景を楽しみながらのカップヌードルはうまい! ここではスケッチもしてゆっくり過ごした。

稚児落としのテラスでゆっくり過ごしたあとは一本道を浅利集落へ下山。ざらついた岩屑の道をひたすら下りながらも、大きな幹や太い枝を見つけては遊ぶ…


やがて人家が現れる。たわわに実るこの柿はやっぱり渋いんだろうな。。

浅利集落を見下ろすようにそびえるのは中央道の巨大な橋脚。中央道は最もよく利用する高速道路。いつもは橋の下のことなんて気に止めることもなく通り過ぎているが、そんなところにも人々の営みが確かにある。

集落から30分ほど歩くと大月駅。駅には見慣れない妙な電車が停車していた。これ「フジサン特急」という富士急行の特急車両だった。うしろには登った岩殿山が見える。

更にスタート地点の岩殿山登山口へ向かう途中の家並みは昭和の趣が… この閉まっている酒屋さんの店構え、オロナミンCやスプライトの看板、懐かしい~

大月駅から20分ほどで駐車場に戻ってくる。山道も町並みも変化に富んだ楽しいハイキングだった。
《行程》
丸山公園入口8:10 →8:30丸山公園8:40 →9:00岩殿山山頂9:30 →10:50天神山 →11:10鉄塔→11:20稚児落とし(昼休憩 1:45)13:20発 →14:30浅利集落→15:05大月駅→15:30丸山公園入口
GW2013ファミリーハイキング 四阿屋山 ~藤の香る登山道と両神山の展望台~
GW2012ファミリーハイキング 桜咲く百蔵山と猿橋を巡る~
GW2011ファミリーハイキング 鐘撞堂山~羅漢山~


毎年の秋の一泊家族旅行に出かけたのは、もう初冬を迎える11月の最後の週末だった。絶好の晴天に恵まれた土曜日、去年行ったときは曇り空で視界が悪く、富士山はもちろん見えないし、稚児落としまで歩いても絶景を楽しめそうにないので岩殿山だけ登って下山したときのリベンジ登山となった。
週末の中央道はとにかく混むので、今回は5時すぎに家を出発したらスイスイと大月までやって来れた。岩殿山は岩がむき出しのカブトガニのような目につく山容で、登山者用の無料駐車場手前の高月橋からは真正面に鎮座している姿がよく見える。

駐車場に続く登山口の丸山公園入口から丸山公園までは緩やかな石段の遊歩道。少し登ったところからすでに富士山がよく見える。

もう葉が落ちてしまったもみじも多いが、なかにはまだ紅葉が見頃のもみじもあった。


サンダルでも歩けるような遊歩道をしばらく登ったところにある広場が丸山公園。目の前に岩壁が屹立している岩殿山の山頂とのほぼ中間点にある。「鏡岩」と呼ばれているその岩壁をバックに建っている山城風の建物が「岩殿山ふれあいの館」。ここには、大月市出身で山岳写真家の大家、白旗史郎の写真が展示されている。

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更に登って行く。遊歩道からはずっと富士山と大月市街が望める。

整備された道を登りきったところが岩殿山の山頂広場。ここに戦国時代、武田氏の家臣、小山田氏により堅牢な山城が築かれたということで、山頂付近にはいくつか遺跡も残っている。
山頂からの眺めは最高で、これなら敵の動きもよく見えたことだろう。標高がスカイツリーの地上からの高さと同じ634メートルということが話題になっているが、桜の名所でもあり歴史もある岩殿山は昔から注目度は高い山だ。山梨100名山にもなっている。

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頂上からの眺めを楽しんだら、登って来た道を稚児落とし方面との分岐まで戻って、いよいよリベンジコース。
分岐からは、それまでの「遊歩道」的な整備が行き届いた道とはおさらばで、突然「山道」のイメージに変わる。ザラついた砂地に落ち葉が重なり結構な傾斜の道なので、滑らないように注意しながら下って行く。やがて築坂峠に出て、さらに進むといよいよ岩場が現れる。巻き道もあるが、もちろん岩場コースへ。 最初に現れるこのクサリ場は「鎧岩」と呼ばれている。足場はしっかりしているが傾斜は急だ。3点確保で慎重に登っていく。鎧岩を登ると次に「兜岩」と呼ばれる岩場のトラバースを横ばい歩き。足の踏み場は極端に狭くなかなかのスリル! | ![]() |

岩場のルートからの眺めは抜群! 富士山はコースを進むにつれて、その手前の高川山の陰に入ってくる。

来し方を振り返ると大月市街の向こうに倉岳山方面が望める。近くの山肌は紅葉というにはちと茶色いが、日差しを浴びるとなかなかキレイだ。

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岩場地帯を過ぎると天神山の小ピーク。このピーク自体は展望はないが、そこからわずかに下ったところに展望の良い場所があった。この先へ行くと富士山の右半分は高川山に隠れてしまうので、富士の全貌はこのあたりで見納め。

巨大な鉄塔を通過すると、このコースの目的地である稚児落としの大岩壁が望める。これは聞きしに勝る迫力だ。緩やかな傾斜の登山道を辿って行くと、150メートルの谷底を見下ろす稚児落としのテラスの上へと導かれて行く。

それにしても「稚児落とし」とは物騒な名前がつけられたものだ。あの崖の上から落とされたら助かる者はいないだろう。こんな名前が付けられた由来は、戦国時代に山城があったことが関連しているようだ。相模原の歴史について詳しく書かれたサイト「相模原の歴史シリーズ」(相模原郷土の歴史研究会)にこんな伝説が載っていた。
敵勢に包囲された岩殿城から脱出を試みた城主の側室、千鳥姫の一行がこの崖の近くまで逃げ延び、皆が安堵の声を上げたところ、その声がこの谷に響き渡った。これに驚いた千鳥姫の赤ん坊、万世丸が泣き叫んでしまった。これでは敵に気付かれてしまうと思った家来が、千鳥姫から万世丸を奪って、この断崖から投げ落としてしまったという怖い話。
「伝説」というので史実ではないのかも知れないが、谷底深くから今でも赤ん坊の泣き叫ぶ声が聞えてきそうだ。。

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とは言え、稚児落としのテラスは広々としていてお昼を取るのにちょうどいい。絶景を楽しみながらのカップヌードルはうまい! ここではスケッチもしてゆっくり過ごした。

稚児落としのテラスでゆっくり過ごしたあとは一本道を浅利集落へ下山。ざらついた岩屑の道をひたすら下りながらも、大きな幹や太い枝を見つけては遊ぶ…


やがて人家が現れる。たわわに実るこの柿はやっぱり渋いんだろうな。。

浅利集落を見下ろすようにそびえるのは中央道の巨大な橋脚。中央道は最もよく利用する高速道路。いつもは橋の下のことなんて気に止めることもなく通り過ぎているが、そんなところにも人々の営みが確かにある。

集落から30分ほど歩くと大月駅。駅には見慣れない妙な電車が停車していた。これ「フジサン特急」という富士急行の特急車両だった。うしろには登った岩殿山が見える。

更にスタート地点の岩殿山登山口へ向かう途中の家並みは昭和の趣が… この閉まっている酒屋さんの店構え、オロナミンCやスプライトの看板、懐かしい~

大月駅から20分ほどで駐車場に戻ってくる。山道も町並みも変化に富んだ楽しいハイキングだった。
《行程》
丸山公園入口8:10 →8:30丸山公園8:40 →9:00岩殿山山頂9:30 →10:50天神山 →11:10鉄塔→11:20稚児落とし(昼休憩 1:45)13:20発 →14:30浅利集落→15:05大月駅→15:30丸山公園入口
GW2013ファミリーハイキング 四阿屋山 ~藤の香る登山道と両神山の展望台~
GW2012ファミリーハイキング 桜咲く百蔵山と猿橋を巡る~
GW2011ファミリーハイキング 鐘撞堂山~羅漢山~
