サイゾー1月号の町山智浩氏の記事によると、米国で「ウォルマート・激安の代償」(Wal-Mart:High Cost of Low Price)という映画が公開され、注目を集めているという。
ウォルマートは言うまでもなく世界一の小売業で売上高はなんと30兆円。「エブリデイ・ロープライス」という激安戦略で売上を急速に伸ばしてきた企業である。
この映画では、その激安路線を支えているのが低賃金労働者であること、そしてその低賃金労働者を支えているのが、政府の補助である事が明らかにされている。記事では、次のような驚くべき事実が紹介されている。
1.従業員の8%が生活保護を受けている
2.社員の半数は健康保険料が払えないため、政府の医療福祉を受けている
3.結果、従業員は政府から年間16億ドルの援助を受けていることになる
4.副社長が部内通達で、年金や健保のコストカットのため、体の弱い者や
永年勤務の社員を減らし、体の丈夫な若者だけをパートで雇うように指示
した
このうち、4.については、以下のページにもう少し詳しく紹介されているので、引用する。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2005_12/america_01.htm&no=9
「10月26日付のニューヨークタイムス紙が報じた記事。これはウォルマート役員が書いた極秘メモの露見を伝えるものであった。メモには、労働時間の削減による更なるコスト削減、フルタイムからパートタイムへの転換、中高年労働者の排除、医療費負担を軽減するために健康に問題ある従業員を医療保険の適用除外とする計画などが記されていたとされる。加えて、長時間労働の強制、女性労働者への差別、児童労働などについてウォルマートが残していた記録が明るみに出たと同ホームページ(ウォルマート従業員会ホームページ)は掲載している。」
「ウォルマート従業員会」は、同社の従業員の組織。ウォルマートが労組の設立を頑なに拒んできたため、会社を刺激しないよう、労組ではなく従業員組織として立ち上げられた組織である。
実は、低賃金の労働条件は、ウォルマートが労働組合の設立を阻止してきたから可能であったのだと言われている。ウォルマートは全米最大の雇用主であるのに、これまで労組が設立されることはなかった。全米のナショナルセンターであるアメリカ労働総同盟・産業別組合会議も、日本の連合と同様に組織率の低下に直面している。そのため、最大の従業員を抱えるウォルマートでの組織化は、大きな課題として活動してきたのだが、同社の抵抗でなかなか労組設立に至っていないのである。
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小売業は、製品の仕入原価と従業員の賃金が主なコスト。仕入原価が一緒なら、従業員も「安く」仕入れれば、激安でも利益が出るってことなんでしょう。が、それが社会の犠牲の上に成り立っているとすれば、本末転倒であると思えるのだが。
映画の公式ページは、コチラ。
http://www.walmartmovie.com/
DVDも売っている(ただし、リージョン1なので日本のDVDプレーヤでは再生できない)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000AYNG1G
ウォルマートは言うまでもなく世界一の小売業で売上高はなんと30兆円。「エブリデイ・ロープライス」という激安戦略で売上を急速に伸ばしてきた企業である。
この映画では、その激安路線を支えているのが低賃金労働者であること、そしてその低賃金労働者を支えているのが、政府の補助である事が明らかにされている。記事では、次のような驚くべき事実が紹介されている。
1.従業員の8%が生活保護を受けている
2.社員の半数は健康保険料が払えないため、政府の医療福祉を受けている
3.結果、従業員は政府から年間16億ドルの援助を受けていることになる
4.副社長が部内通達で、年金や健保のコストカットのため、体の弱い者や
永年勤務の社員を減らし、体の丈夫な若者だけをパートで雇うように指示
した
このうち、4.については、以下のページにもう少し詳しく紹介されているので、引用する。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2005_12/america_01.htm&no=9
「10月26日付のニューヨークタイムス紙が報じた記事。これはウォルマート役員が書いた極秘メモの露見を伝えるものであった。メモには、労働時間の削減による更なるコスト削減、フルタイムからパートタイムへの転換、中高年労働者の排除、医療費負担を軽減するために健康に問題ある従業員を医療保険の適用除外とする計画などが記されていたとされる。加えて、長時間労働の強制、女性労働者への差別、児童労働などについてウォルマートが残していた記録が明るみに出たと同ホームページ(ウォルマート従業員会ホームページ)は掲載している。」
「ウォルマート従業員会」は、同社の従業員の組織。ウォルマートが労組の設立を頑なに拒んできたため、会社を刺激しないよう、労組ではなく従業員組織として立ち上げられた組織である。
実は、低賃金の労働条件は、ウォルマートが労働組合の設立を阻止してきたから可能であったのだと言われている。ウォルマートは全米最大の雇用主であるのに、これまで労組が設立されることはなかった。全米のナショナルセンターであるアメリカ労働総同盟・産業別組合会議も、日本の連合と同様に組織率の低下に直面している。そのため、最大の従業員を抱えるウォルマートでの組織化は、大きな課題として活動してきたのだが、同社の抵抗でなかなか労組設立に至っていないのである。
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小売業は、製品の仕入原価と従業員の賃金が主なコスト。仕入原価が一緒なら、従業員も「安く」仕入れれば、激安でも利益が出るってことなんでしょう。が、それが社会の犠牲の上に成り立っているとすれば、本末転倒であると思えるのだが。
映画の公式ページは、コチラ。
http://www.walmartmovie.com/
DVDも売っている(ただし、リージョン1なので日本のDVDプレーヤでは再生できない)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000AYNG1G