核燃料の「国際管理構想」の実現性が急速に高まっているそうである(フォーサイト2月号参照)。
核燃料の国際管理構想とは、ウランの濃縮や再処理によるプルトニウム抽出などの核燃料生産を特定の施設(国)にしか認めず、他の国ではその燃料を利用した発電のみが認められる、という構想である。
最近のイランの核開発の問題でも明かなように、核の平和利用と軍事利用の境界は極めてあいまいである。それほど高度な技術が無くても、発電目的の燃料から、プルトニウムが抽出できることが、北朝鮮によって実証されてしまった。日本のような先進国が核兵器を開発できるであろうことは当然としても、インドネシア等の東南アジア諸国だって、北朝鮮よりは技術レベルは高いだろうから、原子力発電を導入すれば核兵器を作れることになってしまう。
つまり、核不拡散のためには現在の核保有国以外への原子力発電自体の普及を抑止せざるを得ない状況に追い込まれているのである。
そのような状況で出てきたのが、核燃料の国際管理構想である。
構想には、二期目から原子力推進に政策転換したブッシュ政権が協力を表明しており、日本も経済産業省の総合資源エネルギー調査会が協力を打ち出したという(同記事)。
構想が実現すれば、発展途上国にも原子力導入の可能性が広がり、原子力発電が急速に拡大するかもしれない。先進国においては温暖化対策で石油から原子力へとエネルギー転換が進んでいるが、温暖化対策が途上国にも義務づけられれば、途上国でも同じ動きになるだろう。
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数年前まで、原子力には逆風が吹いていた。
2003年1月には、高速増殖炉もんじゅに設置無効の判決が出され、同年の8月にはゼネラル・エレクトリック社の元社員による内部告発から原発のトラブル隠しが発覚し、原発の相次ぐ停止の事態へと進んだ。
それからわずか数年しか経っていないが、状況は大きく変化している。原発の新規建設を停止していた米国が、新たな発電所建設を決定し、さらには核兵器燃料をプルサーマルも再開されるようだし、国内でも佐賀の玄海原発でのプルサーマル導入が地元議会で容認されるなど、状況変化が著しい。エネルギーを巡って大きな転換点に来ているように感じられる。
エネルギー問題の今後を占ううえで、地球温暖化対策の動きと併せて、同構想についても注目しておきたい。
核燃料の国際管理構想とは、ウランの濃縮や再処理によるプルトニウム抽出などの核燃料生産を特定の施設(国)にしか認めず、他の国ではその燃料を利用した発電のみが認められる、という構想である。
最近のイランの核開発の問題でも明かなように、核の平和利用と軍事利用の境界は極めてあいまいである。それほど高度な技術が無くても、発電目的の燃料から、プルトニウムが抽出できることが、北朝鮮によって実証されてしまった。日本のような先進国が核兵器を開発できるであろうことは当然としても、インドネシア等の東南アジア諸国だって、北朝鮮よりは技術レベルは高いだろうから、原子力発電を導入すれば核兵器を作れることになってしまう。
つまり、核不拡散のためには現在の核保有国以外への原子力発電自体の普及を抑止せざるを得ない状況に追い込まれているのである。
そのような状況で出てきたのが、核燃料の国際管理構想である。
構想には、二期目から原子力推進に政策転換したブッシュ政権が協力を表明しており、日本も経済産業省の総合資源エネルギー調査会が協力を打ち出したという(同記事)。
構想が実現すれば、発展途上国にも原子力導入の可能性が広がり、原子力発電が急速に拡大するかもしれない。先進国においては温暖化対策で石油から原子力へとエネルギー転換が進んでいるが、温暖化対策が途上国にも義務づけられれば、途上国でも同じ動きになるだろう。
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数年前まで、原子力には逆風が吹いていた。
2003年1月には、高速増殖炉もんじゅに設置無効の判決が出され、同年の8月にはゼネラル・エレクトリック社の元社員による内部告発から原発のトラブル隠しが発覚し、原発の相次ぐ停止の事態へと進んだ。
それからわずか数年しか経っていないが、状況は大きく変化している。原発の新規建設を停止していた米国が、新たな発電所建設を決定し、さらには核兵器燃料をプルサーマルも再開されるようだし、国内でも佐賀の玄海原発でのプルサーマル導入が地元議会で容認されるなど、状況変化が著しい。エネルギーを巡って大きな転換点に来ているように感じられる。
エネルギー問題の今後を占ううえで、地球温暖化対策の動きと併せて、同構想についても注目しておきたい。