数日前から、野球の真の世界一を決める大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されている。
オリンピックでも野球は正式種目となっているが、米国チームはプロ選手が参加しなかったり、日本もプロアマ混成だったりと、中途半端な「世界一」であったことは否めない。その点、WBCは各国の最有力選手が参加する大会である。楽しみであるとともに、是非、日本チームが優勝して欲しいと思う。米国ドリームチームに勝つのは並大抵の事ではないと思うが...
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さて、WBCの開催決定と前後して、野球のオリンピック正式種目からの除外というニュースが流れてきた。北京五輪の次の2012年に開催されるロンドン五輪では、野球とソフトボールは正式種目から除外されるというのである。
その後、両競技団体から復帰の嘆願書が出されたため、IOCが改めて審議したが、決定は覆らなかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060209-00000249-kyodo-spo
WBCの立ち上げと、オリンピックからの野球の除外。この2つの動きは、連動しているように見える。WBC立ち上げの動きに反発して、IOCが米国の国技とも言える野球を除外したか、あるいは逆にオリンピックからの野球除外の動きを受けて、WBCを立ち上げたのかも知れない。
ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/)のIBAFワールドカップの項他によると、米国側は当初、WBCの2005年春の開催を提案していたが、利益分配や開催時期を巡って日本球界が反対し一旦は延期となっている。その後、日本球界も嫌々ながら受け入れ、2006年春に開催されることになったようだ。
その間、日本球界を巡っては、実に様々なことが起こった。
・近鉄の身売りと1リーグ制に向けた動き。
・ライブドア・楽天の参入騒動。
・ダイエーのソフトバンクへの身売り。
・西武の有価証券報告書虚偽記載による堤オーナーの逮捕。西武グループは
銀行管理下に。
結果的には、このゴタゴタによって、12球団のうち3球団の経営主体が入れ替わったことになる(西武、ダイエー、近鉄)。
そしてそれは、日本球界がWBC開催の受け入れを決定した時期と重なる。プロ野球機構は、球団の多数決で意志決定されるようなので、3球団の経営主体が替わった事の影響は大きいだろう。もし巨人の渡辺オーナーが目論んだように1リーグ制に移行する事ができ、堤オーナーが失脚することもなければ、WBCは開催されなかったのではないか。
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さて、周知のように、西武の堤オーナーはJOC(日本オリンピック委員会)のキーパーソンでもある。系列のプリンスホテルなどにウィンタースポーツ選手を多く抱えており、冬季オリンピックを語る際には欠かせない人物である。堤オーナーの失脚は、IOCにとって重要なスポンサーを失うことを意味するだろう。
ここに、オリンピックについて面白いエピソードがある。藤原肇「小泉純一郎と日本の病理」から抜粋する。
「グルノーブル冬季五輪大会では、私は市長のアタッシェに就任していたため、各国の選手団長と同格のCパスを持っていた。このCパスの上にはBパスを持つ人々がいて、それはグルノーブル市長やIOCの役員だった。だが、さらにその上にはAパスを持つ人がいて...この人々が王侯貴族たちだった...オリンピックの実態は、王侯貴族たちが4年に一度集まるためにあり、スポーツ大会の上にサロンがあると初めてわかった...」(引用終わり)
藤原氏によると、オリンピックの中核には、ウイーン体制そのままの欧州の王侯貴族たちがいるのだと言うのだ。
日本人の感覚からは信じがたい事ではある。また、やや大げさな描写である感は否めない。が、おそらく、これに近い実態はあるのだろう。少なくとも、札幌や長野のオリンピックを調べて見れば、運営の中心が国や自治体の役人でないことは、分かるはずだ。
さて、オリンピックの中心にいるという欧州の王侯貴族たちは、自分たちの重要な後援者でもあった堤オーナーの失脚をどのように見ただろうか。
想像力をたくましくすれば、オリンピックを運営している欧州の王侯貴族たちと、WBCを立ち上げた米国財界との対立構造が見えて来るように思う。
そして、日本球界とそのオーナーたる財界人は、欧米の綱引きに翻弄されているようにも見えてくるのである。
オリンピックでも野球は正式種目となっているが、米国チームはプロ選手が参加しなかったり、日本もプロアマ混成だったりと、中途半端な「世界一」であったことは否めない。その点、WBCは各国の最有力選手が参加する大会である。楽しみであるとともに、是非、日本チームが優勝して欲しいと思う。米国ドリームチームに勝つのは並大抵の事ではないと思うが...
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さて、WBCの開催決定と前後して、野球のオリンピック正式種目からの除外というニュースが流れてきた。北京五輪の次の2012年に開催されるロンドン五輪では、野球とソフトボールは正式種目から除外されるというのである。
その後、両競技団体から復帰の嘆願書が出されたため、IOCが改めて審議したが、決定は覆らなかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060209-00000249-kyodo-spo
WBCの立ち上げと、オリンピックからの野球の除外。この2つの動きは、連動しているように見える。WBC立ち上げの動きに反発して、IOCが米国の国技とも言える野球を除外したか、あるいは逆にオリンピックからの野球除外の動きを受けて、WBCを立ち上げたのかも知れない。
ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/)のIBAFワールドカップの項他によると、米国側は当初、WBCの2005年春の開催を提案していたが、利益分配や開催時期を巡って日本球界が反対し一旦は延期となっている。その後、日本球界も嫌々ながら受け入れ、2006年春に開催されることになったようだ。
その間、日本球界を巡っては、実に様々なことが起こった。
・近鉄の身売りと1リーグ制に向けた動き。
・ライブドア・楽天の参入騒動。
・ダイエーのソフトバンクへの身売り。
・西武の有価証券報告書虚偽記載による堤オーナーの逮捕。西武グループは
銀行管理下に。
結果的には、このゴタゴタによって、12球団のうち3球団の経営主体が入れ替わったことになる(西武、ダイエー、近鉄)。
そしてそれは、日本球界がWBC開催の受け入れを決定した時期と重なる。プロ野球機構は、球団の多数決で意志決定されるようなので、3球団の経営主体が替わった事の影響は大きいだろう。もし巨人の渡辺オーナーが目論んだように1リーグ制に移行する事ができ、堤オーナーが失脚することもなければ、WBCは開催されなかったのではないか。
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さて、周知のように、西武の堤オーナーはJOC(日本オリンピック委員会)のキーパーソンでもある。系列のプリンスホテルなどにウィンタースポーツ選手を多く抱えており、冬季オリンピックを語る際には欠かせない人物である。堤オーナーの失脚は、IOCにとって重要なスポンサーを失うことを意味するだろう。
ここに、オリンピックについて面白いエピソードがある。藤原肇「小泉純一郎と日本の病理」から抜粋する。
「グルノーブル冬季五輪大会では、私は市長のアタッシェに就任していたため、各国の選手団長と同格のCパスを持っていた。このCパスの上にはBパスを持つ人々がいて、それはグルノーブル市長やIOCの役員だった。だが、さらにその上にはAパスを持つ人がいて...この人々が王侯貴族たちだった...オリンピックの実態は、王侯貴族たちが4年に一度集まるためにあり、スポーツ大会の上にサロンがあると初めてわかった...」(引用終わり)
藤原氏によると、オリンピックの中核には、ウイーン体制そのままの欧州の王侯貴族たちがいるのだと言うのだ。
日本人の感覚からは信じがたい事ではある。また、やや大げさな描写である感は否めない。が、おそらく、これに近い実態はあるのだろう。少なくとも、札幌や長野のオリンピックを調べて見れば、運営の中心が国や自治体の役人でないことは、分かるはずだ。
さて、オリンピックの中心にいるという欧州の王侯貴族たちは、自分たちの重要な後援者でもあった堤オーナーの失脚をどのように見ただろうか。
想像力をたくましくすれば、オリンピックを運営している欧州の王侯貴族たちと、WBCを立ち上げた米国財界との対立構造が見えて来るように思う。
そして、日本球界とそのオーナーたる財界人は、欧米の綱引きに翻弄されているようにも見えてくるのである。